哀悼歌

哀悼歌


まーたオシャが痛いことされてます

閃堂もレ…されるよ!

俺の性癖にしか配慮してないです

文字化け多用してるけど一応解読しなくても異星人の仕草とかで感情とか指示とかは読み取れるようにしてある筈なのであんま気にせず読み飛ばしても多分大丈夫です オシャもほぼ旦那様が何言ってるか分からないけどボディランゲージから読み取って行動してる(設定)し



 ここに連れて来られてからどれくらいの時が経ったのか。窓のないこの部屋では分かりようもない。薄暗く、重苦しい空気と性の臭いが漂う4畳程度の広さの小部屋。それがかつてU-20日本代表エースだった閃堂秋人にとっての、今の世界の全てだった。

 死刑囚の独居房のように重厚な鉄製の扉と味気ない質素な壁。その中央に設置された分娩台に、苗床は手足と胴を固定するかたちで拘束される。個室待遇なんて言えば聞こえは良いが、娯楽が何も無いどころか身動き一つすら許されず、ひっきりなしに異星人たちがやって来ては種付けと出産を繰り返す。防音なんて当然配慮されていないし、そもそも部屋の扉には小さな覗き穴が空いているから他の苗床たちの嬌声や悲鳴も丸聞こえだ。きっと閃堂の声も周りの部屋に聞かれてしまっているのだろう。そんな環境で閃堂は、気が狂うことも出来ずに毎日泣いて鳴いて許しを請いながら、人としての尊厳を凌辱される暮らしを送っていた。


「うぅ……、もぉやだ…、もう産みたくない…帰りたい……父ちゃんと母ちゃんに会いてぇよぉ……」

 ずびずびと鼻を啜りながら、既に本日三体分の精液を注がれぽこりと小さく膨らんだ腹を眺める。今日はあと何体相手しなければならないのだろう。せめて機嫌の悪いやつじゃありませんように。殴られたり変な薬を使われたりするのは嫌だ。ただでさえ閃堂はよく泣いて折檻を食らっているのだから。

 がちゃ、と独居房が並ぶ通路の先の扉が開く音がした。また化け物が来たのだ。今回は誰が使われるのか。自分じゃなければ良い、なんて間接的に他の皆が犠牲になることを願うようなものだけれど、こんな状況だからつい思ってしまうのは許してほしい。

 ふとそこで閃堂は、聞こえるのが聞き慣れた異星人の足音だけではないことに気付く。もう一つ、規則的だけれどゆっくりとした、異形たちよりも軽い足音。

 ──ぺた、ずる…、ぺた、ずる…、ぺた……

(…これ、片足引き摺ってんのか?)

 異星人の足音が部屋の前で止まったところで、ガチャリと解錠の音が響きハンドルタイプのドアノブが動く。俺かよ、と叫びそうになったのを寸前で堪えたのは褒めてもらいたい。

 部屋に入ってきた異形は、左手に細めの鎖を持っていた。鎖の先はまだドア枠の外側に伸びていて、閃堂からは見ることが出来ない。濃紺の手がくいくいと鎖を引いてそちらの方に呼び掛ける。

『豈阪&繧、譌ゥ縺乗掠縺』

「い…っ、…あまり引っ張らないでくれ、良い子だから」

 上手く歩けなくしたのはあなただろう、なんて聞こえてきた抗議の声には、言葉に反して甘い情愛と悦びの色が乗っている。

(この、声って……)

 ようやく異形の元まで辿り着いてその胸に飛び込んだ"彼"は、閃堂が思い浮かべた通りの人物だった。

「蟻生……!!」

 もう二度とまみえることはないと思っていたイタリア棟のチームメイトの姿に、つい声を上げてしまう閃堂。こちらを見た異星人にヤバ、マズった?と身震いしたが、ヤツは特に怒りをあらわにする様子もなかった。大きな掌が、蟻生の顎を掴んでこちらを向かせる。

『縺サ繧、豈阪&繧薙?縺雁暑驕斐〒縺励g縺?』

「……………閃堂、か」

 暫く焦点の合わなかったシャンパンゴールドが瞬いて、閃堂の存在を知覚した。異星人に肩を抱かれてこちらに来る蟻生の姿に、閃堂は戦慄する。

 オひシャしぶりだな、なんて言って上がる口角は殴られたのか切れて腫れていて、それ以外にも顔や体の至るところに打撲痕や切り傷、火傷痕が刻まれている。目の下がくすんでいるのは涙の跡か。着せられているのは服と呼ぶのも烏滸がましいような、本来隠すべき場所を何一つ隠していない黒いレース生地の布切れ。しゃらしゃらと音を立てる装飾品はピアスになっているようで、針があられもないところを貫き彼を飾り立てている。酷い。こんなの酷い。見目に気を遣っていた、お洒落を楽しんでいた彼の何もかもを貶める行為だ。そして何より閃堂の目を引いたのは。

「おま、お前……脚っ!!!」

 サッカー選手にとって脚は命と同じくらい、いや人によっては命よりも重い。蟻生はその大切な右脚の腱に、深く大きな切れ込みが入れられていた。血こそ止まっているが、あれでは歩く度に激痛が走るだろう。

「…あぁ、これか。旦那様が飽きた傷は治してもらえるから、気にすることはない」

 まぁ、たくさん愛された証と云うやつだ、なんて頬を染めて惚気話でもしているかのように囁く蟻生に、閃堂は言葉を失う。

「お前の方は、最近どうだ?」

「どうって…」

「このあたりはあまり来ないから、詳しくなくてな。酷い扱いは受けていないか?食事はちゃんと貰えているか?」

 お前がそれを言うのか、と言いたいけれどここで言うわけにもいかなくて。どうにか閃堂は当たり障りない言葉を絞り出す。

「飯は、まぁ一応……あれを飯って言って良いのか分かんないけど……。扱いは……殴られたりすることもあるけど、ちょっと今分かんなくなった…」

「?」

 首を傾げる蟻生に閃堂は肩を竦めてお茶を濁す。数分前の自分が同じ質問をされていたら、間違いなく即答で「扱い!?めちゃくちゃ悪ィよ!!」と叫んでいたところなのだが。

「あー、えっと…ここって一応ガキ作るための施設だから、母体が使えなくなるような扱いは禁止っていうルールがあるっぽくて。最低限の安全は保証されてる、ホントに最低限だけど」

「そうか…」

 少しだけ痛ましそうに顰められる柳眉。一度懐に入れた相手に優しいところは、あの頃と変わっていない。


 唐突に、ぐい、と蟻生の肩が引かれる。

『縺セ縺?隧ア邯壹¥?蜒輔b縺鬟ス縺阪■繧?▲縺』

 再び異形は蟻生を連れて出入り口に向かっていく。

「うん?何だ、もう帰るのか?」

 蟻生の質問には答えず、異星人はすっとドアの近くの床を指差した。それに何の疑問を持つ様子もなく、蟻生は示された場所に座り込む。褒めるように頭を撫でられると自ら掌に擦り寄る友人。閃堂はもう、思考を放棄してしまいたかった。

 首輪の鎖をドアノブに繋いで、今度は異星人だけが閃堂の近くに来る。その股間は脈打ち隆起していた。

「…へ?」

 元々開脚した状態で固定されている腿を掴まれ、間抜けな声が出る。いや、ここに来た以上そういう目的が無い方がおかしいのだが。閃堂自身、扉を開けられたときは覚悟していた筈なのだが。蟻生との再会に色々衝撃があり過ぎて、頭からすっぽ抜けてしまっていた。

「閃堂を抱くのか?子どもなら俺と作れば良いだろう」

 蟻生からは異星人の後ろ姿と閃堂の脚くらいしか見えていない筈だが、何をするかは分かったらしい。もしかして、自分を庇おうとしてくれてる?なんて甘い考えがよぎる頭を、期待するなと叱咤する。この星では、希望なんてあればあるだけ心が折れやすくなるのだ。心を無にしろ、何も考えるな。多少のイレギュラーはあれど、やることはいつもと変わらない。

 

「ッあ゙…!ぃ、ぎ……っ」

 蟻生の主人に突っ込まれてから早十数分。普段相手している奴らよりも一回り大きな体躯のそいつは、持っているモノも平均より長かった。律動の度に奥が突かれて、快楽と同時に吐き気もこみ上げてくる。さっさと出して終わりにしてくれなんて懇願を込めて目の前の化け物の体を見つめていたら、ふと青い腕と脇腹の隙間から蟻生と目が合った。

 じっとこちらを見る視線に気まずさを覚えて、さっさと逸らしてしまえば良かったのに。後悔先に立たず。閃堂はつまらなそうな顔をしている蟻生の口元がこう動いたことに気付いてしまった。"いいなぁ"、と。

 その瞬間、どうしようもなく悲しくて悔しくなって、絶望してしまって。

「……せ」

 考えるより先に、自分を犯す異形を睨み上げ叫んでいた。

「返せよッ!!俺のともだち、返してくれ!!」

 後から後から溢れてくる涙が、閃堂の頬を濡らす。けれど化け物は返せ返せと喚く苗床に何か言うどころか一切の反応を示さないまま、無機質に抽挿を続けて射精した。

 乱雑に抜かれて、残滓が床に零れ落ちる。いつもならあぁ、また仕置を受けてしまうと気分が暗くなるものだが、今の閃堂にそんなことを気にしている余裕は無かった。


『縺倥c縺、蟶ー繧阪▲縺』

 異形はもう用は済んだと閃堂には一瞥もくれず、蟻生の首輪の鎖をドアノブから外す。だが蟻生はその場から動かなかった。

「…意地が悪いな、あなたは」

 その声と、後に漏れる吐息は湿り気を帯びている。すり、と強請るように、傷だらけの手が異形の腿を撫でた。

『菴?蜒輔?繧サ繝?け繧ケ隕九※繧九□縺代〒逋コ諠?@縺溘??豈崎ヲェ縺ェ縺ョ縺ォ諱・縺壹°縺励¥縺ェ縺?o縺?』

 異星人は至極面倒臭いです、という体をわざとらしく装いながら蟻生の頭を乱暴に掴み、備え付けの紙で拭ってすらいない萎えたものに近付ける。

『谺イ縺励>縺ェ繧芽?蛻?〒縺薙l蜈?ー励↓縺励※繧』

 直前まで閃堂のナカに入っていたそれに付着した液体を、躊躇うことなく赤い舌を伸ばして舐め始めた蟻生に、閃堂は悲鳴を上げた。

「ばっ、お前…それ今俺の尻に入ってたやつだぞ!?汚いだろやめろって!!!」

 けれど蟻生は目の前の"ご馳走"に夢中で全く聞こえていないようだ。白濁した液体を全て綺麗に舐め取ってから、小さな口がグロテスクなイチモツを咥える。その気になってもらうために懸命に口と手で夫に奉仕するその横顔は、淫靡な娼婦のようだった。

『繧ゅ≧濶ッ縺?h』

 ぽんぽん、と頭を叩かれた蟻生が口を離したそれは、すっかり元通り硬くなっていた。それに蟻生は嬉しそうに頬擦りして、ゆっくりと後孔から何かを引き抜く。

(えっ…、何だあれエッグ!!あんなもん挿れたまま平然としてたのかあいつ!?)

 異星人に渡され雑に袋に突っ込んでから荷物に放り込まれたのは、直径が少なく見積もっても三、四センチはある球体が連なったアナルパールだった。閃堂は知る由もないが、これは「いつでもすぐに自分が"使える"ようにするための下準備」という名目の下、異星人が蟻生に常に挿れさせている拡張道具の一つであった。

 立ち上がる際、傷が痛んだのかよろりとふらつきながらも蟻生は壁に手をつき異形に向けて腰を突き出す。異形はすぐに手の痕が残る腰を掴んで、しかし暫く先端を後孔に当てたまま挿れずにいた。蟻生が焦れたように、小さく腰を揺らす。

「だ、んなさま…はやく、」

『縺ゅ?、豺ォ荵ア』

「あ゙………ッ」

 挿れられた最初の一突きで、蟻生は絶頂したらしい。ぽたぽたと床に散る薄い白濁がそれを物語っていた。

『縺ュ縺、繧キ縺溘>縺」縺ヲ險?縺」縺溘?豈阪&繧薙§繧?s。縺。繧?s縺ィ遶九▲縺ヲ繧』

 へたり込みそうになる蟻生を叱るように、異形の掌が既に青痣や蚯蚓腫れだらけの尻に振り下ろされる。何度も、何度も。鋭い打擲の音と、その間もずっと続いている抽挿による水音が狭い部屋に響く。

「ぃ゙…っ、ぅ、あ……、すまな……っ」

 痛みと悦楽に耐えながら、蟻生は体勢を立て直そうと力を込める。その脚が、特に力が入りにくいのであろう右脚ががくがくと震えていて、閃堂の背筋にゾッと寒気が走る。

「やめろ……、やめろよッ!!これ以上そいつの脚に負担掛けんな!!大切な脚に……っ」

 叫ぶ閃堂に対し、不意に異形の顔がこちらを向いた。表情が分からなくても伝わるほどの苛立ちが見て取れたが、閃堂は負けじと相手を睨み返す。

『縺?k縺輔>縺ェ縺。縺薙?菴灘兇縺ァ隱倥▲縺ヲ縺阪◆縺ョ豈阪&繧薙§繧?s、譁?唱縺ェ繧画ッ阪&繧薙↓險?縺?↑繧医?。縺ヲ縺?≧縺、豈阪&繧薙?縺薙s縺ェ縺ォ豌玲戟縺。濶ッ縺輔◎縺?↓縺励※繧九?縺ォ菴輔′荳肴コ?縺ェ繧上¢?』

 髪を掴まれ、蟻生の顔が閃堂の方に向けられる。

『縺サ繧画ッ阪&繧、蜿矩#縺ォ繧、繧ュ鬘碑ヲ九※繧ゅi縺翫≧縺ュ』

 激しい行為と痛みに生理的な涙を流しながらも、そこに浮かんでいたのは恍惚の表情だった。怪我のことなんて、何も気にしている様子は無くて。痣だらけの顔は確かにこっちを向いているけれど、輝きを喪ったその瞳に閃堂は映っていない。

 それを見た閃堂の脳裏には、かつての蟻生の姿が走馬灯のように思い浮かんでは消えていく。


 ──閃堂、自主練したいんだが、1on1に付き合ってくれないか。…何故びっくりしている。別にお前が弱いなんて思ったことないぞ"俺"は。胸を貸してくれ、元日本代表エースストライカー殿。

 ──その髪、染めているのか?いや、綺麗に染まっているなと。オシャだ。さぞかし美容師の腕が良いんだろう…は?愛空?あいつ凄いな……

 ──む、バレたか。こんな時間に夜食というのはノットオシャだと分かっているんだが、どうにも腹が減ってしまってな。閃堂、お前も一緒にどうだ?今なら煮卵を一つやろう。


 あの頃の友はもう、どこにもいない。あいつに、あの化け物に壊されてしまった。

 蟻生、とぽつりと落とした閃堂の呼び掛けは、彼の嬌声に掻き消され誰にも届くことは無かった。


「ぁ、っぁ……」

 ようやく行為が終わったらしい。楔が抜かれた瞬間崩れ落ちた蟻生の体を丸太のような腕が支え、向きを変えさせる。

『閻ー謚懊¢縺溘??縺励▲縺九j縺励※繧医b縺』

 蜿ッ諢帙>縺ュと、何を言っているのかは分からないが異形は甘く囁きながら、向かい合わせになった蟻生を持ち上げ再度挿入を果たす。自重もあって不意打ちで一息に奥まで押し入られた蟻生が、仰け反って悲鳴じみた声を上げた。

『縺。繧?▲縺ィ、縺励▲縺九j謐輔∪縺」縺ヲ縺ヲ』

 ばしっ、と新たに真っ赤な紅葉がいくつも増えた尻たぶがまた叩かれると、震える長い手足が健気に異形の胴体に絡みつく。

 そのまま部屋を出ていく一体と一人。扉を開ける異星人の肩越しに、また蟻生と目が合って。幸せそうな顔のまま、彼は閃堂に向かってひらりと手を振った。


 扉が閉ざされ、誰もいなくなった部屋で閃堂は天井を仰ぐ。

「いちゃつくダシにされた、ってやつか……」

 あの野郎、俺を蟻生とのセックススパイスに使いやがった。許せねぇ。

 チームメイトとの友情やら諸々を穢されたような気分になって、あの生命体への怒りがふつふつと湧いてくる。しかし何より許せないのは、身も心もボロボロにされた友人に対して何もしてやれない自分自身だった。

 せめて、見せつけられた蟻生の痴態を一秒でも早く忘れるように努めよう。悔しいけれど、それが今閃堂が蟻生のために出来る唯一のことだ。

「あー……、誰か来て俺のことなんも考えられなくなるまで犯してくんねぇかな…」

 蟻生たちが来る前とは真逆の願いが、虚しく虚空に響いた。

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