命消えども、愛消えず
その日はとても暗い夜の浜辺だった
貴方は私の隣でとても悲しそうな眼差しをしていた。
今日、私と貴方の生は消える。
死ぬのは怖いけど、貴方がいてくれるから怖く無いや。
二人、海に沈む。
とても冷たく、どこか心地よい。
海は全ての生命の母というらしい。だから何処か温かさを感じるのだろうか。
貴方は目を閉じ、死をただ待つ。
言葉は、要らなかった。まぁ、海の中、喋れるわけもないが。
私の生命も、じきに燃え尽きるだろう。
だけど、愛の炎は消え無い。
私と貴方があの世で逢えるように、祈ってみよう。
そして最期に伝えよう。
生きている間は呪いになるかもしれない言葉を。
「愛してるわ、貴方」
………〇〇海岸にて、失踪中の呪術師二名の遺体を確認。
遺体は一級術師 雪白文花と 四級術師 〇〇と判明。
遺体の首には深い切り傷が有り、呪霊とならなかったため、
恐らく呪具でお互いの首を切り、死亡。
遺体の状況から、心中と思われる。