呪い
(あー・・・伝書桜達ようやく結ばれやがったか)
屋根に登った俺は一人物思いに耽っていた。
・・・今日もあの時と同じ満月だ。
(はー・・・本当に・・・)
俺は伝書桜に出会った時から妙な既視感に襲われて何故か彼女を放っておく事ができなくなった。
・・・自分でもまさか他人を思いやれる余裕が残っていたとは驚きだ。
今までも表面上の心配をしてきた事はあるが内心はあいつへの呪いで俺の頭は満たされていた。
それなのに彼女と出会ってからだろうか。
俺の心にはもう一つの呪いができてしまった。
(本当に・・・)
彼女を幸せにしたい、そんな思いが。
だからこそ・・・だからこそ・・・
(本当に・・・
・・・安心した)
y談騒動で彼女が恋をしていると知った時は本当に心底安心した。
彼女と盗賊が結ばれてしまいさえすれば彼女は幸せになれるだろう。
余計な呪いに身を割かなくて済む。
これで全身全身全霊であいつを呪う事ができる。
(本当にありがとよ盗賊・・・)
これで余分は捨てた。
力もつけた。
後は見つけるだけだ。