吼える黄金

吼える黄金


バーサーカー side in

ライダーがセイバーの動きを止めた瞬間、オレは黄金喰いのに残るカートリッジのうち10本を強引に使い限界ギリギリまで攻撃の威力を底上げする。

「今です!」

ライダーからの合図だ、雷でオーバーフロー1歩手前の身体を動かしセイバーへと斬り掛かる

「黄金喰い(ゴールデンスパーク)!!!!」

速度、威力、全てにおいてセイバーへと十分致命傷を与えられる完璧な一撃だ。

だが想定外が起きた、剣を弁慶?に抑えられているにもかかわらず強引に宝具を解放しそのままの勢いでこちらに一回転して斬りかかってきたのだ。

「しまっ───」

が、止まることはできない。

ならばこちらも強引に叩きつけてやる───!

───

黄昏と雷が衝突し、屋上を光が包み込む

セイバーの一撃とバーサーカーの渾身の一撃、本来ならばセイバーの宝具が打ち勝つはずであった。

だが剣の勢いがライダーの宝具でおちていた事、体制が一回転したような力が乗り切らない不完全なものであったこと、バーサーカー側が万全の完璧な一撃であったこと、それらが積み重なり宝具同士の衝突は互角となり互いに傷を負うこととなった。

光が晴れるとそこには深手を負ったバーサーカーと悪竜の血鎧で減衰しきれず傷を負ったセイバー、そして深くは無いものの余波で傷を負ったライダーがいた。

───

(相殺されたのか……!?)

困惑、先ずそれがバーサーカーに到来した。

ライダーとの協力、互いに宝具を開帳し完璧なタイミングを作り上げた一撃だ。確実に仕留めきれたはずなのに……!

「バーサーカー!!!」

マスターの声で我に返る、まだ戦いは終わっていない。

少なくともセイバーも軽傷では無い、今が絶好のタイミングだ。

「ハッ……!あの時以来の大ピンチか」

脳裏に浮かんだのは生前の大江山での決戦だ、自身のを含め大具足が酒呑の外装と相打ちした時の危機を思い出す。生前頼りになった頼光の大将や綱の兄貴は居ない。

───だが、今ここには頼りになる未来の源氏武者がいる、ならば先達としてここで折れる訳には行かないだろう。

「スゥ…ハァァァァ……ライダー!!!!」

「!?はい!!」

「気合い入れろ!行くぞ!!!」

両腕が真っ赤に染めながらセイバーへ斬り掛かる。

(あのセイバーを倒すにゃ確実にどっちかの犠牲が必要になる、が他の奴らにそれをやらせるのはちょっと違うよなぁ…)

頭の奥底で冷静に状況を組み立てる。マスターを狙うにせよセイバーを倒すにせよどちらかが確実に斃れることになる。本来ならばサーヴァントという立ち位置から生き残ることを優先すべきなのだが…、頭では冷静になれと言っている源氏武者としての坂田金時がいる。

だが胸の、心の奥底で"英雄"としての坂田金時が高らかに吼えている。

「ゴールデンな方を選ぼうぜ!それが俺だろ!」

ああ、全く難儀なものだ。生前ならば頭に従っただろう、だが今の俺はバーサーカーの霊基で現界している。心の叫びを無視することは出来ない。

(マスター、隼人に伝えてくれ)

(何よ、何するつもり?)

(オレがセイバーを止める、その間に確実に勝つ手を打てってな)

(ちょ!?バーサーカー!!?)

「行くぜぇ!ゴオオオルデン!!!」

「ふっ!甘いぞ黄金のバーサーカーよ!」

斧の一撃をセイバーが剣で受け止める、奇しくも昨日と同じ状況だ。だが自身は深手を負いかつ令呪での強化は無い、セイバーはオレの足を強引に払いバランスを崩してきた。斧の力点がズレセイバーが抜け出し斧が地面を砕く、剣を振り下ろすセイバーに強引に蹴りを入れ距離を離す。

(長くは持たねぇぞ……!)

バーサーカー side out


神永 side in

「……神永くん、ライダーに伝えて」

───確実に勝つ策を打ってと

美作から耳打ちされた内容はシンプルだが不可能に近いものだった、だがやらざるを得ない。

念話でライダーに伝える。

(ライダー、バーサーカーからの伝言だ)

(なんでしょうか)

(確実に勝つ策を打てと)

(了解しました)

ライダーに伝え戦況を確認する、今現在セイバーとバーサーカーが斬り合いながらも時折ライダーが背中の弱点を狙う鋭い一撃を見舞おうとしている。

が、流石のバーサーカーも斜め下から切り上げられた傷のせいか動きがぎこちない。

(どうする…、このままじゃ勝てないぞ…)

だがライダーは諦めていないようで何かを狙っているような動きで動いている。

まだ、何かを狙っているのか……!?

神永 side out

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