否定
ああ、疲れた
本当に、疲れた
これまで、ずっと頑張ってきた
もういいじゃないか、諦めてしまおう
俺には無理だった
俺には助けられなかった
目の前で手が届かなくなった命を数えることもできなくなってしまった
今ここで、絶ってしまおう。
この命を
不幸中の幸い、俺は呪術師だ
適当に自死の縛りでも結べば、簡単に死んでしまえるだろう
これでやっと、解放される
…でも、俺が死んだら…誰がアイツを止めるんだ?
きっとアイツはいつか、できもしない呪術界の革命をしようとするだろう
俺では実力的にアイツを止めることなどできない
どちらにせよ、死ぬんだ
これでも別にいいだろう
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構築術式
拡張術式『改竄』
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ああ、気持ち悪い
俺は今、自死の縛りにより底上げされた術式効果で自らを再構築している
自分という存在が壊されるたびに、強い苦痛を感じる
刻一刻と死が迫る
それに伴い、俺は呪力の核心へと近づいていった
肉体が再構築され、最適化された超人の肉体へ
呪力が再構築され、炎の特性を持った呪力へ
術式が再構築され、火炎を司る火炎操術へ
変貌してゆく
そして、最後に魂が塗り潰される
少しずつ意識が薄れる中、心に最後に浮かんだのは学生時代の強い後悔だった
「…ここは?俺は…誰だ?」
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「ふざけるな…私は…ただ…」
「もう、失いたくなかったんだ…」
「…焔、どうして…!どうしてだ!!」
「どうして…」
「…あんなものを残して死んだんだ?」
「はは、は…ははは…」
「…最後に残ったのは…私だけ…か」