君のための祈りを

 君のための祈りを


 古い記憶の中で君が泣いている。

 そんな君を慰めることができずに、ただ傍にいることしかできなかった。

 泣いていたばかりの君の顔に、笑顔が多くなったのは何時からだろう。

 嬉しそうに、その日あったことを話す君の姿を見るのが好きだった。

 そんな日がずっと続けば良いと思っていた。


 そんなこと叶うはずもないのに


 君はまた、あの頃のように泣いている。

 でも、もう傍にいることはできない。

 だって、その涙の理由は他でもない僕だから。

 何度名前を呼ばれても、振り向くことさえできずに、君を置いていく。

 それが君のためだから。

 僕が君を縛りつける鎖なら、今それを解いてあげる。

 君はもう自由なんだ。

 さよならは言えない。

 ありがとう。さえ伝えることができない。


 ただ、許されるなら、君の幸せをずっと願って 

 

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