名女優が大好きなマーメイドが大好きな名女優
「マリリンちゃんって美人だしかっこいいよね。憧れちゃうな」
「マイティーったら急にどうしたのよ。私を褒めても何も出ないわよ」
今日もこの二人は一緒にいた。広大な土地があるのにも関わらず常に一緒にいる様子だ。
「だって初めての場所でも、初めての相手でも人見知りしないし、いつも堂々としてるから…。私とは真反対だもん」
「マイティーの目にはそう見えるの?」
“今日のマリリンはマリリンじゃない”
これはマリリンが克服したトラウマだ。マリリンが異国の地で主演女優賞を手にしたとき、その美しさに似合わない泥臭さやド根性さが話題になった。今となれば、それもあのときのどん底があったからこその輝きなのだろうか。
「…もしよ。もしも、私がどんなに頑張っても結果が出なくて。周りの人はみんな私に期待してくれてるし、応援だってしてくれてる。それなのに心が、身体が、全てがぐちゃぐちゃになって、追いつかなくて、噛み合わなくて。周りはどんどん先に行ってるのに、私だけ立ち止まるどころか後ろ向きに歩き出して。私を支えてくれてる人みんなの期待を裏切った。そんなみっともない姿の私でも…?」
「それなら私がマリリンちゃんがスッキリするまで胸を貸すし、どんなマリリンちゃんも私は大好きだよ?」
「マイティー…」
女優の涙は安くないみたいだ。マリリンの目は潤んでいながらも、一滴たりとも垂れていない。
「マリリンちゃん、頼りないかもだけどいつでも隣にいるマイマイに頼っていいからね」
「ちょっとマイティー!顔近いわよ」
「でもマリリンちゃんも嫌じゃないんでしょ?」
「……ったくその魔性っぷりどこで覚えてきたの?」
仲良く顔を寄せ合い、仲睦まじい様子を見せつけるようだった。それは何も知らない者が見れば、恋仲と勘違いするほどの距離だ。
「マイティー、これからもずっと一緒にいましょう。」
「もちろん!」