同棲宣言(プロット)
ふわふわとした柔らかな感触に目を覚ますと、見慣れた赤い色が視界に広がる。そういえば、明日はお休みだからと彼女が泊まったことを思い出す。規則的に聞こえる穏やかな呼吸音が心地よく、もう少しだけ聞いていたくなる。だが、残念かな。もぞもぞと動いたかと思うと、閉じられていた瞼がゆっくりと開き、青色の瞳がこちらを見上げる。
「おはようございます。エランさん」
「おはよう。スレッタ」
もう何度繰り返したのかも分からない朝の挨拶を交わし、その額に唇を落とした。
※あの日以来、スレッタが泊まることが増えた。スレッタの職場からもそう遠くないし、出勤時間も変わらない。じゃあ、いっそうのこと一緒に暮らすか
「お待たせしましたエランさん」
「じゃあ、いっそうのこと一緒に住むか」
何かが落ちた音がしたので見ると、スレッタが目の前で座り込んでいる。
※(出掛ける約束。スレッタの準備をソファーに座って待つエラン。上記の独り言。聞こえるスレッタ。鞄落として座り込む)
「大丈夫?」
「あ、あの……今、一緒にって……!」
「ああ……」
考えていただけのつもりだったが、どうやら口に出ていたらしい。
「あの……それって、おはようの時も、おやすみの時も、ずっと、ずっと、一緒ってことです……か?」
「いや?」
「嬉しいです!」
そう言うと、彼女は首に思いっきり抱きついてきた。
「じゃあ、これからはずっとエランさんと一緒にいられるんですね」
※どうせ結婚して一緒に暮らすことになるんだし、それが早くなっただけ。と周りに言って納得させればいい。それに何より、虫除けにもなる
一瞬の静寂。お互いの視線が絡み合う。閉じられた瞳。どちらからともなく口づけを交わす。わずかにきしむソファの音。柔らかな彼女を抱き締めながら、少しずつ深くなっていくそれに、身体の奥底が熱くなっていくのを感じる。名残惜しいが、今はその時ではないと自分に言い聞かせ、ゆっくりと離れる。
くったりと、胸にしなだれかかる彼女の濡れた唇を指の腹で拭いながら、抱き締めなおす。
「大丈夫?」
「だい、じょうぶ……です」
苦しかったのだろう。甘やかに乱れた息。布越しに伝わる鼓動は、何時もよりも速く感じる。
「そう?じゃあ、もう一度しても大丈夫だね」
「エランさん……今日はなんだか意地悪です」
そう言いながらも、受け入れる彼女の唇に、今度は啄むような口付けを何度も落とす。
(流石にこれ以上は、ということで一旦止めて、お互い少しだけ乱れた服を整え出掛ける準備をあらためてし直し、出掛ける)