同棲キタちゃん 12月21日編

同棲キタちゃん 12月21日編


「もしもしトレーナーさん……?」


「どうしたんだキタサン? 突然電話なんかしてきて。何かあったのか?」


「トレーナーさん……今日が何の日か知ってますか……?」


「えっ? いや……知らないな……」


「バスケットボールの日ですけど、そうではないです……」


「う、うん……そもそもバスケットボールの日なのを知らなかったよ……」


「クロスワードの日ですけど、それでもないです……」


「そ、そうなのか……それも知らなかったよ……」


「語呂合わせで9月6日もクロスワードの日なんですって……」


「へぇ~……そうなのか……何で12月21日もクロスワードの日なんだ?」


「クロスワードが海外の新聞に載って、沢山のヒトに知られるようになったからみたいです……」


「そうなのか……。そ、それなら、今日は何の日なんだ?」


「…………今日は遠距離恋愛の日です」


「遠距離恋愛……」


「1221で両側の1が1人を、内側の2が近づいた2人を表していて、クリスマス前に遠距離恋愛中の2人が会って愛を確かめ合うことからそうなったらしいです……」


「な、なるほど……」


「会いたいです……トレーナーさん……」


「そ、そうは言っても今は出張中だからな……」


「ひ、ひどい……あたしがこんなに悲しんでるのに……」


「こればっかりはどうしようもないし……」


「は、薄情者……」


「ぐっ……だ、だけど出張前は『いってらっしゃい! 少しの間離れ離れですけど、あたしのことは心配しないで下さい!』って言ってたじゃないか」


「そ、そうでしたけど! けど……3日超えたあたりから胸が痛くなってきて……」


「そ、そうだったのか……。むしろなんで今まで電話かけなかったんだ……? かれこれ一週間経つけど我慢する必要なかったのに……」


「我慢出来る女はカッコいいかなって……」


「寂しがり屋なところがあるのになんて無茶を……」


「会いたいです……」


「……もう少しで会えるから」


「いますぐあいたいよ……」


「……こんなことして慰めになるとは思ってないけど、聞いてくれキタサン」


「……?」


「もし我慢出来たら君のお願いなんでも聞くよ」


「なんでも……?」


「ああ、なんでもだ」


「…………」


「どうかな?」


「…………まつ」


「ありがとうキタサン。寂しい思いをさせてごめんな」


「だいじょうぶ……あたしまてるから……」


「ありがとう、愛してるよ」


「あたしも……またね……」


「うん、またな」


ピッ……


「…………えへへ、何してもらおうかな? 頭を撫でてもらうとか? 抱きしめてもらうとか? それとも……き、キス……とかだったり……? な、なんてね! 冗談冗談!」


「でも……うん、大丈夫。この気持ちがあればきっと……あたしは……だから……」


「帰ってきたらあのヒトに、最高の笑顔を見せなきゃ……だよね!」

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