同族意識

同族意識

7スレ目の72です!道楽の続き


ひとまず確認だと、薄れてしまった記憶をもとに歩き回る。


五角形のベッドがある自室、試合の振り返りをしてスポドリを飲んだロッカー、誰かが浴槽に飛び込んで誰かが怒っていた風呂場、ちょとだけ臭いトイレ、身体を鍛えてたトレーニングルーム、

………ただ純粋に楽しんでいたサッカーコート。


あらゆるものが嫌味な程、完璧に再現されている。



「案外、覚えてるもんだな」


「本当にな」


「!、カイザー、」


「……ごきげんよう世一…今回報酬を手に入れることが出来るのは優勝チームだ。争う理由はない。」

「──勝つぞ」


「!!ああ!当たり前だ!」


知っている。カイザーはネスに酷い目にあって欲しくないのだ。

それに気付いたことも伝わったのだろう。


「…やめろその面を」


「えー?」


「全く世一クンは…」


笑って、ふざけ合える。

あのカイザーと。

あの道楽はとうに100や200を超えた。

かつての嫌悪は同族意識へと変わった。

奴らの前では圧倒的な弱者なのだとわかった。



青い監獄にいた頃とは何もかもが違うのだ。




何もかもが。




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