同士

同士


カリファがエニエス・ロビーで一味入りする√ ナミ視点?





ウソップの作ってくれた完成版”天候棒”と航海士としての知識がなければ、こちらがやられていた。誘導と策略を積み重ねて、サンダーランス=テンポを直撃させることで辛うじて倒すことができた。あちらも色々背負っているだろうが、こちらも仲間の命がかかっている。負けるわけにも手加減するわけにもいかない。W7についてから厄介ごと続きだったのだ。目の前の女がCPだとわかったときにも、船長…ルフィは静かに目を伏せていた。


「ルフィ・・・」

そう呟いてCPの女が倒れる。正直聞きたくなかった言葉だ。聞かなければ楽だっただろう。W7で、ルフィと深い仲になっているようだった。ガレーラで最後に会ったときには、何やらルフィに手ひどい罵倒をしていた。…でも、今の呟きを聞いてしまえばわかってしまう。彼女も”そう”なのだろう。「私たちがあなたたちの大切なニコ・ロビンを攫ったわ。」「あなたは彼の女なのでしょう?」「私程度に浮気されている程度で大丈夫?」「私は政府の暗殺者、あなたたちは海賊よ!」「私たちは殺し合うだけよ!!」戦闘中、やたらルフィのことについて言及してきたり、感情を発露させたりしてきたのだ。何も思うところがなければ、こうもしつこく話を振ってきたりしないだろう。ガレーラでの言葉通りの内心ではないことはよくわかった。同じ男に惚れたのだ。飄々としているようで、ひどく情が深く不器用な男を知っている。きっと彼女も同じ手合いだ。諜報部員らしく即座に割り切ることはできていないのだろうとは想像が付く。


どうやら島ごと全てを吹き飛ばすバスターコールという者が発令されているらしく、ここで気絶している彼女を放置すれば十中八九巻き込まれるだろう。別に助ける義理もない。彼女は明確に敵に回った相手であるし、そもそも同じ男に惚れた相手だ。常識的に考えて助けない方が当然だろう。


でも、ここで彼女が死んだことを知れば”彼”が何を思うのかも想像が付いてしまう。私だって彼を愛して、彼に愛されているのだ。思考パターンぐらいもうわかっている。彼は冷徹なようで傷つきやすい人だから。ウソップ相手にけじめをつけたときも、ひどく揺れていた。彼がひどく不安定になっていることもわかっている。


「はぁ…仕方ないわ…」

きっとこれは海賊としては間違った選択だ。でも仕方がない。W7についてから厄介ごと続きだったのだ。彼の傷つき具合は相当だった。彼にもご褒美が必要だろう。気を張りがちな彼が甘えられる相手は多い方がいい。こんな言い訳をしながら敵を助けてしまうが仕方がない。厳しいようでなんだかんだいって甘い部分のある男の女なのだ。私が甘くたって当然だ。彼女を背負って仲間と合流するため、部屋を出る。ゾロ当たりには文句を言われるだろうが、同じ男に惚れた同士として置いていくのはなんとなくいやだったのだ。



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「ありがとう」「何?急に?お小遣いなら上げないわよ」「ふふ…ただの感謝よ」

今、W7を出港したサニー号の上で彼女と話している。あの後目を覚ました彼女は呆然としていた。死んだものと思っていたら敵に助けられ、破壊の具現であるバスターコールからも逃げ切り全てをエニエスロビーから奪い返したというのだ。信じられないのも無理かもしれないが、現実だ。ガレーラを出る前に、彼女はルフィ、アイスバーグさんと話して、W7を出てうちの船に乗ることが決まった。


「あの時あなたが私を倒してくれたおかげで、私はここにいられるんですもの」

彼女が船に乗ることが決まったときルフィはとても嬉しそうにしていた。尋ねると、「秘書がついて威厳も出るだろ」と、ごまかしていた。ロビンとはどうもギクシャクしているようだが一味にもすぐに慣れるだろう。W7の騒動で腕のいい変態サイボーグと元政府所属の天然秘書が加わった。相も変わらず色物ばかりが増えていく船だが、皆ルフィに惹かれた仲間だ。破天荒で困った船長だが三人も恋人が船に乗っているのだ。無茶をするなら”私たち”が支えよう。


今日も変わらずグランド・ラインを進んでいく。とりあえずは、つかの間の休憩を楽しもう。


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