古き時の追憶
夜に足を引き摺りながら歩く、血まみれの狐がいた。
「まさか…ここまでやられるなんて…逃げ切れた?」
背後を振り返る、追っ手はいない…振り切れたようだ。
「あぁ、疲れた……」
近くにあった大樹に寄りかかる…雨が降っていたからだろうか?
あまり良い感じはしない。
気が緩んだからか、眠気に襲われた……
(まずい…今見つかったら……)
「!?大丈夫ですか!!」
(誰だ………?)
その時の私は知らなかった、この出会いが私を変えたことを、
私は何も知らなかった、何も見えない、深淵のような絶望を……