反逆の芽
「くそっ!一体どうなってる!?」
ビル郡の街並みに爆撃音が鳴り響く。数十人で一斉に射撃、砲撃、爆撃、あらゆる手段を用いて円の中心にいる人物を攻撃する。
耳をつんざくような爆音と衝撃が上がり、土煙が吹き上がって、キヴォトス人であっても並大抵の者は大怪我、ひいてはさらに酷い状況にもなり得るほどの火薬を使った砲撃が追い打ちをかけた。
「はぁ……!はぁ……!ここまでやれば……ッ……!?」
次の瞬間、土煙がふっ、と風に吹き飛ばされ、爆心地の中心に佇む一人の女の姿があらわになる。
「あら、この程度?私に歯向かうというのだから少しは期待していたのだけれど……残念だわ」
そこに佇んでいたのは陸八魔アル————現キヴォトスにとって、最強と言っても過言ではない存在。
キヴォトスにおける殆どの勢力を手中に収め、あらゆる生徒を手篭めにして自身の傘下へと加えてしまうという。
街を歩けばそのほとんどが陸八魔アルのヘイローをかたどったチョーカーを身につけており、話題はいつもそれで持ち切りだ。
あれだけの攻撃を受けてなお傷のひとつも見当たらない陸八魔アルは服についた埃を軽くはらい、自身の愛銃をリロードする。それと同時に、耳元に仕込んでいた通信機を起動して状況を確認していた。
「私よ。ヒナ、住民の避難は終わった?」
「もちろん。GPSが示してるあなたの座標から5kmは離してる。その場所にいるのはそいつらだけよ」
「そう、ありがとう。それじゃ、少しは本気を出してもいいのよね?」
「うん。今のあなたの本気がどれくらいすごいのか……楽しみにしてる」
ここ最近、陸八魔アルは銃を携行することすらしなくなった。風紀委員会最高戦力の空崎ヒナを一方的に打ち負かし、トリニティにおいて最高の怪力を誇る美園ミカを逆に抱き潰し、キヴォトス内でもトップクラスを誇る神秘を持つ小鳥遊ホシノを片手で抑え込んだ。それだけの力を持つがゆえに、易々と振り回せるものではなくなっていた。
周囲への被害を考えれば、武器を携行する理由がない。ましてや、今の陸八魔アルの体はキヴォトス内のどの物質よりも強い。銃弾や爆撃など、そよ風にもならない。
反撃をする必要すらないのだ。
しかし、今は違う。目の前にいるのは明確な敵意を持った「反逆者」。そして、周囲に生物は誰一人として存在しない。
ここまで状況が揃っているなら、「力の差」というものを理解させる必要がある。
がちゃん、と片手で構えたスナイパーライフルの銃口が主犯格の脳天を捉える。今までは微塵も感じさせなかった圧倒的な威圧感、生物としての格が違うと本能が理解する恐怖。
思わず体が震え、武器が手から離れる。その瞬間、発砲音とともに自分の頬をかすめるように銃弾が過ぎ去り、一筋の赤い線が頬に刻まれる。
そして、数秒後。
十数棟のビルが折れるように貫かれ、周囲一帯を更地にしてしまう程の爆発が巻き起こる。先程反逆者たちが放った爆発の比ではない。数倍、数十倍を超えるほどの巨大な爆発。数km先で起こったはずの爆風が体を吹き飛ばしそうになるほどの勢いのまま吹き付けて、とうとう反逆者は膝をついて戦意を喪失してしまった。
勝てるはずがない、こんな怪物に。
「ノワール・シュート」
「どうだったかしら?私の一撃は。これでわかったでしょう?私に歯向かうことがどれほど愚かな事だったのか」
がくがくと怯えて身体を震わせながら強く頷きを繰り返して、目に涙を浮かばせながら生を懇願する。
「本当はもっと強い一撃を打ち込むこともできたのだけれど……そうするとあなたたちを巻き込んでしまいそうで使えなかったの。まあ、でも……その様子を見る限り、これでも十分だったみたいね」
「お、お願い、します、私たちが悪かったです……どうか、命だけは」
「命?最初から取るつもりなんてないわよ。……そうね、その様子を見ていたら興奮してきちゃった。場所を変えましょう?」
私たちは従うしかなかった。ひとつでも間違えれば、そこに残るのは死の一文字だけだと思っていたから。
「……あの」
「どうしたの?このホテル、すっごくいい所なのよ?」
「いや、そうじゃなくて……なんで、私は裸にさせられ、いえ、裸になってるんでしょうか……」
陸八魔アルと敵対し、絶対に勝てない勝負に挑み、完膚なきまでにに心を折られた敗残者。
それなのに、最上級スイートホテルに連れ込まれて手厚くエスコートを受けながら「服を脱いで」と命令された。間違いなく自分とは不釣り合いで煌びやかな景色にこの待遇。正直、この状況は少し理解に苦しんでいる。
「簡単よ、それは————」
陸八魔アルの股に生える、規格外の男根。それが少しずつ膨れ上がり、スカートを押し上げてびきびきといきり立つ。戦闘中は必死になっていて気が付かなかったが、貧相な体つきの私よりもずっと背が高く、頭ひとつ分を超える差があった。
私の背は155cmだったから、陸八魔アルに近寄られると否が応でも特大サイズの胸が目につく。
「あなたを完璧に服従させるため、そして……」人差し指でつんと押されるだけで私の体は簡単にぐらついて、そのままベッドに倒れ込む。
すぐに陸八魔アルが上から覆いかぶさり、私の顔をじっと見つめた。
「あなたに快楽の悦びを知ってもらうためよ」
絶対的な強者の象徴が完全に隆起し、それを体に打ち付けられる。これから行われることに頬を赤らめ、そこにはどこか期待して股を濡らす自分がいた。
その肉棒は、太さ、長さともに規格外と断言できるサイズだった。いくら陸八魔アルにとって私の体が小さいとはいえ、べちん、と叩きつけられたそれが私の股から胸の下までに打ち付けるとは思ってもいなかった。叩きつけられた瞬間、私の股からは透明な液体が勢いよく噴き出す。私の腕よりも太く見えるそれにそっと手首を合わせてみると、当然のように肉棒の方が大きく、おののく私に陸八魔アルは不敵な笑みを浮かべている。
次に、その胸。馬乗りになる形で全身を包み込まれている私の目の前には、大玉スイカと比べても遜色ないほどの巨大な胸がふたつ。陸八魔アルがゆっくりと体を下ろし、その規格外の胸が私の体を覆い尽くす。
興奮と緊張、そして恐怖で息を荒らげる私を見かねた陸八魔アルが、私の口を無理やりこじ開けて舌をねじ込んできた。
口内のあらゆるものを蹂躙する、めちゃくちゃなテクニック。ひとたび舌が私の口を這う度に、腰がびくんと浮き上がってたまらない。しかし、体重を使って無理やり上から反りを押さえつけられて、じたばたとと悶えても身動きひとつとれないままに私は何度も絶頂を繰り返して嬌声を上げていた。
「ん……ぷぁっ、あなたの味、とっても素敵だったわよ」
「あ……ふぁ……は、い……♡」
頭がとろけるように甘い。キスひとつでこんなことになるなんて、また、思ってもいなかったことが増えてしまった。とろんと溶ける表情に、陸八魔アルの巨大なそれがびくびくと反応して、くすりと笑う。
「あら?ここはもう準備万端よ?本当は口も、胸も、あらゆる場所を征服して……それから全てを食べてあげようと思ったのだけど。あなたがこんなに求めているなら焦らす必要もないわよね?」
「あ……ぅ……優しく、お願い、します……私、こわれたく、ない……です……」
「そうなの?ふふっ、わかったわ……」
くちゅ、と先端と秘部がくっつく。小さな割れ目に不釣り合いな大きさをあてがわれ、ほんの少し挿れるだけでも体がびくんと跳ね上がる。
ぐっと私の体を掴む力が強まり、次の瞬間、私のナカを叩き潰すように、陸八魔アルは絶大な大きさを誇るそれを根元までぶち込んだ。
「あ゛っ……ッう゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ゛!?!?」
私の体は簡単に肉棒に持ち上げられ、腹の形が大きく変形して、ぼこんと膨れ上がっている。ひとたび抜いて、もう一度突き刺すたびに、どこまで挿れられているのかがはっきりと目視できるほどの大きさだった。
「でも、そのお願いは聞いてあげられないわ。今からする行為は私に歯向かった『おしおき』なんだから。ほら、まずは一発……これで気絶するなんて情けない所は見せないでよ?」
え、と声を漏らした瞬間。深く突き刺さった陸八魔アルの剛直が膨らみ、凄まじい量の吐精が私を襲った。ごぼん、ぼごん、と音を立てながら私の子宮が一気に白濁を飲み込んで、一瞬で控えめな私の胸をゆうに超えるほどに腹が膨らむ。
接合部からは入り切らない精がぼたぼたと固形のままこぼれ落ちて、私の股の周辺は陸八魔アルの白濁でドロドロに汚れている。
何分経っても収まる気がしない。これがキヴォトスを手中に納めた最強の力なのだと改めて理解させられた。
体が震える。こんなに暴力的に、一方的に、蹂躙されるようにめちゃくちゃにされている。何度も腹が突き上げられて、一突きされるたびに出しちゃいけない声が止められない。
それなのに、どうして————
「わたしが、わるかった、です……」
「だから、もっと……」
「『しつけて』くださいぃ……♡」
————こんなに気持ちいいのだろう。
あの後、私はタガの外れた陸八魔アルにぶっ通しで犯され続けた。昼頃にチェックインしたはずのホテルからコールの電話が何回も聞こえた気がする。
私が陸八魔アルから開放されたのは数日後の事だった。何度犯され、何度精を注ぎ込まれ、何度キスをしたかも覚えていないが、少なくとも50は超えていると思う。数回気絶することもあったが、すぐに叩き起されもした。
しかしあとから聞くと、これだけめちゃくちゃにされていながら数回の気絶で済むことは奇跡にも近いことだという。
そして、この出来事があってから、私の生活には変化が訪れた。
「あ……アル……様……♡」
「ふふっ、あの日からずいぶんと変わったわね。どう?あの子たちの様子は。生活は板についた?」
「も、もちろんです!私たち一同は、もう二度とアル様に逆らうなど……!」
「ふふっ、本当にかわいいわね?私はほかの用事があるからもう行くけど、あなたも頑張ってね」
「っ……!はい!」
私を含め、あの日に集まったメンバーは戦闘能力の高さを買われ、不測の事態に備えた部隊を編成することになった。その気になれば、いつでも呼び出せる都合のいい私兵。無論、呼び出しは戦闘以外のことにも使われる。
はたから見ればこき使われていると思われるのも仕方がない。しかし、それすらも容認してしまえるほど、陸八魔アルという存在に私たちは染め上げられていた。
ぴろん、とモモトークが鳴る。『今日の夜、いつもの場所でね』数ヶ月ぶりのメッセージに、体がじわりと熱くなって股が濡れる。
ああ、反逆なんてとんでもない。アル様のモノになることができるなんて…今の私はとても幸せだ————
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おまけ
「あら、ヒナじゃない。こんばんは」
「うん、こんばんは。偶然だね」
「本当ね、呼び出して会うことはあるけれど……こうしてばったり出会うなんて久しぶり。そういえば私、あの反逆者たちを捕まえるのに少し本気を出すって言ったわよね?威嚇用とはいえあの爆発はそこそこ大きかったと思うけど、結局どれくらいの範囲だったのかしら?」
「あぁ、それなら……うん、計測結果が出てる」
「本当?」
「半径2.2km————それが、計測装置が記した結果。爆発の中心となったポイントを軸に最大で数メートルに及ぶ深さのクレーターができていて、粉々に砕け散った残骸・破片はどれも一部が融けるように変形していた、らしいわ」
「へぇ……この結果について、ヒナはどう思う?」
「……正直、弾丸一発の火力だとは思えない。普通なら、ミサイルでもないとこんな火力は出せない。でも、今のあなたの実力を考えると……妥当ってところ」
「ふぅん……ねぇヒナ、今度機会があった時はもっと人払いの範囲を広げてくれる?少なくとも3倍は広げてほしいのだけれど」
「え?それって、どういう……」
「私の全力はこの程度じゃないってことよ」
「……!」
「いつか見せてあげるわ。私の『本気』をね」
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