双玉恋慕

双玉恋慕


『…立香さん。わたし達の旦那様。どうかわたし達と契約してください』

『私達で転身するのなら、ちゃんと立香様好みの衣装をご用意します。私達の外見も変えますし、必要なら戦闘スタイルだって。…私達……立香様になら、握られても良いです』


───


そんなやり取りから数ヶ月。私達の日々はいつもと変わらず、慌ただしく過ぎていく。


「今日は何してるの?」

『ひゃっ!?』

「ご……ごめん。そこまで驚くとは思わなかった」

『もう、脅かさないでくださいっ。手元が狂ったらどうするんですか!』


姉さんは立香様にめっ、と人差し指を立て、母親が子供をしかるような仕草をした。だというのに顔は微笑んでいて、暖かい雰囲気を崩さない。…こんな姉さんは初めて見た。いや、元がステッキなので当然といえば当然なのだが。


『で、どうしたんです? 二人揃って』

『そろそろ夕食ですので、お呼びしただけですが』

『え、もうそんな時間? …あー、ほんとですね。ありがとうサファイアちゃん! さ、行きましょ!』


るんるんとステップでもしそうな足取りで私達の手を引く姉さん。…やはり、始めて見る。


───


『どうですか?』

「段々上達してきてるよサファイア。やっぱり、蓄積された経験値は裏切らない…!」

『良かった…』

『わたしも良かったですよー。ヘルズキッチンで得た学びは無駄じゃありませんでしたね!』

「だね。…あれがなかった場合、何か凄まじい劇物が出来上がってた気がする」

『…やろうと思えば今でも作れますよ? よろしければ…』

『「遠慮しておきます」』


梅自体は良いものだと思うのだが……まあ、郷に入っては郷に従えというし、料理は今の路線で行こう。


『ところでサファイアちゃん、イリヤさん達はいずこに?』

『イリヤ様の部屋で女子会だそうです』

『えぇ? 水臭いですねぇ、ルビーちゃん達も入れてくれれば良いのに!』

「案外、二人に気を使ったのかもしれないよ? だってほら、この前の夜は三人でほぼ独占してたし」

『立香さんはイリヤさん達に甘いですねぇ。解釈から対応から、まるで高級スイーツです』

「ええー? オレそんな甘いかな?」

『ええ、とっても。わたし達姉妹がメロメロになるくらいには甘々ですっ』


食堂で食べるのとは違う、穏やかな夕食の風景。それを見た私は、『こんな幸せな時間がずっと続けば良いのに』と思わずにはいられなかった。


───


そして夜。…美遊様達が席を外している以上、こうなるのは必然だと言える。


『こういうの、淫水焼けって言うんでしょうか。…ふふっ。ちっちゃくなったりおっきくなったりして、かわいい…♥』


うっとりとした表情の姉さんがペニスに頬ずりしている。

私はそれを横目に、ぬらりと舌を滑らせていく。


『立香様、私と姉さんの奉仕はいかがでしょうか…♥』

「…凄くイイよっ…。気持ち良いし、征服感もあるっ…」

『『良かった…♥』』


…姉さんのフェラは……なんというか、『上手い』。男性経験なんて立香様しかないはずなのに、一体どこで覚えてきたのか。…もしかすると、生みの親が参考にした人格ベースに秘密があるのかもしれない。


『…あ……んむ……ん♥ …ぁ……立香、さん───♥』


…それは、ひどく丁寧で熱心な動きだった。

竿をなぞり、カリの裏側を優しく突く舌の先端。

カウパーで濡れだしている亀頭に口づける小さな唇。

ぴちゃぴちゃ、ちゅぷちゅぷと、姉さんの赤い舌が立香様のペニスを這う。丹念に、僅かな隙間さえ残さないようにと、亀頭の全てをテロテロと舐めている。同時に玉袋を舐めている私が霞みかねない程、そのフェラは上手だった。


───


目の前で、立香様と姉さんが繋がっている。性器同士と、恋人繋ぎの両手。三重のそれが両者の絆を示していると思うのは、私の勝手な感傷だろうか。

立香様が下から突き上げ、姉さんが腰を振る。その度に水音が鳴り、私の鼓膜を打った。

交合の激しさは、秒刻みで増していく。恋人繋ぎはいつの間にか解かれており、立香様の手は姉さんの太ももに、姉さんの手は立香様の胸板に移っていた。

馬鹿みたいに、盛った犬か猿のように乱れている。


『旦那様が悦んでくれて、わたし嬉しいですっ…♥』


そう語る姉さんの股間を、カウパーと愛液の混合物がいやらしく彩っていた。


───


ルビー、そしてサファイアとまぐわい始めてから二時間は経った。淫らな触れ合いは、その興奮の度合いを高めつつ未だに続いている。

───ルビーのカラダがもたらす快感は、イリヤ達のそれとはまた異なるものだ。

ただ、共通して言えるのは……どちらも、他の男に渡したくなくなる気持ち良さだということ。


『立香さん…♥ もうっ…♥♥♥』

「オレも、そろそろイく…!」


股間の奥底から駆け上がってくる熱を思う存分吐き出すべく、ルビーの手をより強く握る。


『───あはっ、出しちゃえ』

「ッ!!!」


───ドビュッ!! びゅくんっ…!! ビュルルッ!! ビュルルるるッッ!!!


日頃はトラブルメーカーなルビーだが、こうして愛し合うようになって分かったことがある。

…ルビーは割と魔性の女だ。男に従順かつ寛容で、その実全て掌の上……なんて雰囲気を醸し出している。彼女が本気を出したら、男なんていとも容易く手玉に取られることだろう。


(おっかない相手に手を出しちゃったな)


まあ、そこが燃える訳だが。


───


───結論から言えば。…肉体のない知性体が、肉体など得るべきではなかった。又聞きに又聞きを重ねた眉唾な話だが、時間神殿から逃亡した魔神柱の中に、肉体を得たがために堕落した個体がいたという話すら聞く。今の私達姉妹は、それと同じ轍を踏んでいる。

…だというのに、私達はこの堕落を幸福だと感じる。だから、もう戻れない。


『イ゛くうううううううッ♥♥♥♥♥』


そうして私は、また一歩元の世界から離れていった。

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