友人に誘われてモンプロを見に行ったらどハマりした話(後編)

友人に誘われてモンプロを見に行ったらどハマりした話(後編)


前回までのあらすじ:オタク、モンプロ初観戦するってよ

第一試合の熱も冷めやらぬ内に、ジャージークさんがリングの中央で第二試合の宣言をする。

「さあ、まずは新人2人によるドタバタなプロレスをお楽しみいただけたかと思います。ですが、我々が魅せたいプロレスにはもう一つ別の形があります。第二試合ではそれをたっぷりご堪能いただきましょう!赤コーナー、慈愛のブルゾネスラー、ブラウスイープーッ!」

名前を呼ばれて入場したのは綺麗なドレス(ラビュリンスのお姫様っぽい?)に身を包んだ儚げな雰囲気の選手。パッと見てレスラーっぽくないな…と思ったら豪快にドレスを脱ぎ捨ててリングコスチューム姿となり筋肉アピール。うん、心配とか必要なさそう。

「青コーナー、厳格なるブルゾネスラー、ガン〜ジーヌーッ!」

次に入場したのはチケットをもぎってくれた金髪ロールの選手。なんと、紅茶の入ったカップとソーサーを手にした状態で優雅に入って来た……しかもリングインの際にコーナーの柱を紅茶をこぼす事なく飛び越えるオマケ付き。どういう原理?

かくして第二試合のゴング。そこで展開されたのは、第一試合とは打って変わって美しい肉体の躍動だった。

先手必勝とばかりにブラウスイープさんが低いタックルを仕掛けると、ガンジーヌさんは後ろに倒れる勢いを利用してブラウスイープさんを脚で持ち上げ空中へ跳ね上げる。ブラウスイープさんが空中で体勢を立て直す間にガンジーヌさんが振り上げた脚の反動と腕を使い、両者同時にリングに着地。

今度はお互い背後のロープに自分から体を振って勢いをつけると、そのまま体当たり……と見せかけてのローンダート回避。更には飛び込み前転でのラリアット回避や馬跳びでのタックル回避など、何度もロープを使ってのダイナミックなアクション。

それは、お互いの呼吸が合っていればこその美しいコンビネーション。会場の誰もが息を呑み、声を出す事すら忘れたようにリングの上に魅せられていた。

そしてその均衡は、互いにラリアットを当てた事により次の段階へ。今度はガンジーヌさんが放つチョップをブラウスイープさんが腕で捌き、お返しと放たれたキックをガンジーヌさんが脛で受け流し、投げようとしたガンジーヌさんを逆にブラウスイープさんが投げ返す攻防戦。リングの中央、まるで2人がダンスを踊っているかのようで、しかしお互いは闘志を隠そうともしない表情で技をかけ続ける。

舞踏の様な武闘は、やがてその均衡を崩しだし。ブラウスイープさんがローキックの連打に膝をついた瞬間、ガンジーヌさんが大きな胸でブラウスイープさんの顔を塞ぎつつ関節を極めて動きを完全に封じ。ジャージークさんのレフェリーストップにより、第二試合の終了を告げるゴングが鳴り響いたのだった。

そしていよいよ第三試合。ジャージークさんがリングの中央に立ち観客を煽り出す。

「第二試合では打って変わって、美しいリング上の死闘をご覧いただけたかと思います。これこそ我々ブルゾネスラーが目指す、『魅せるプロレス』の一つの形でもあります。さぁ、いよいよ本日のメインイベント、強く美しく逞しい戦士達の戦いをその目に焼き付けていただきましょう!赤コーナー、美しき我らがレジェンド、ザ・カーマデーヌ!アンド、レディ・アステリオン!」

掛け声と共に颯爽と現れたのは破茶滅茶に背の高い2人のレスラー。そういえば会場入り口で案内してた覚えがある、あの成人男性よりデカい姿は見間違えるはずがない。カーマデーヌとアステリオンと呼ばれた2人は、何と特大のミルク缶を互いに投げ合いジャグリングしながら入場。友人O曰くバターを作るパフォーマンスの一環なんだとか。なにそれすごい。

「続きまして青コーナー、逞しき我らがレジェンド、グレートガヴナン!アンド、アウズンブラマスク!」

対する2人は、先程の2人とは対照的にのしのしと歩いて入場。だが、その威圧感はこれまでの選手とは比べ物にならないほどに強く、少し離れた私達の席まで伝わってきた。などと考えてると、カーマデーヌさんとアステリオンさんの写真が貼られたプラカードを大きくアピールしてから頭突きで粉砕。うん、悪さを醸し出してるのかもしれないけどちょっとお茶目なアピールだな?

カーマデーヌさんがロープを飛び越え、グレートガヴナンさんがロープを跨いでリングに上がり試合開始。ここからは、会場全体がまさに熱狂的な空気に包まれた。

カーマデーヌさんの長身がロープを使って躍動し、フライングチョップやニールキックが炸裂する。グレートガヴナンさんも負けじと攻撃を受け止め、ジャイアントスイングやハンマーブローでマットへと叩きつける。更にアウズンブラマスクさんをリング上に呼ぶと同時にハイキックを放ち、カーマデーヌさんをよろめかせる。

しかしアステリオンさんがカーマデーヌさんの代わりにリングに上がると素早いタックルでアウズンブラマスクさんを倒し、更にロープに乗ると高く跳んで宙返りしながらのボディプレス!なるほどどうやらスピードタイプとパワータイプの対決らしい、とようやく気づく私。

だがアウズンブラマスクさんも簡単にはダウンしない。押さえ込みを跳ね除けると逆にバックドロップで放り投げ、続けざまに四の字固めでアステリオンさんの足にダメージを与える。カーマデーヌさんが交代しようとするのをグレートガヴナンさんが妨害し、アステリオンさんは這うようにしてロープを掴む。(ロープを掴んだら仕切り直しするのがルールらしい)

更にカーマデーヌさんが出てくるや否や、いつの間に仕込んだのかグレートガヴナンさんの毒霧が顔面直撃!怯んだカーマデーヌさんを掴んでコーナーへ大きく投げ飛ばすと、待ち構えていたアウズンブラマスクさんがその腕とツノを掴みカーマデーヌさんの動きを封じてしまう!すかさずグレートガヴナンさんがカーマデーヌさんの顔面をキック!更に胸やお腹、股間へと連続で踏み付けを行い痛めつける!まさにヒールの戦い方、誉はリングで死にました。

しかしアステリオンさんがグレートガヴナンさんにドロップキックを放ち形勢逆転。カーマデーヌさんもアウズンブラマスクさんの拘束を振り解くと素早く脱出、アステリオンさんがグレートガヴナンさんの頭を掴んだまま勢いよくコーナーを駆け上がり大きく宙を舞いながらグレートガヴナンさんをリングに叩きつける!

そしてカーマデーヌさんがアウズンブラマスクさんをヘッドロックしつつリング上に引きずり上げていよいよクライマックス。アステリオンさんがグレートガヴナンさんを入場時のミルク缶のように宙に投げ上げ、カーマデーヌさんがアウズンブラマスクさんを転がすように放り出す。すかさずカーマデーヌさんは空中でグレートガヴナンさんを捕まえて固め、アステリオンさんはロープとローンダートで勢いをつけてアウズンブラマスクさんへとダイブ!カーマデーヌさんのバスターとアステリオンさんのムーンサルトが同時にリングへと着弾し、グレートガヴナンさんとアウズンブラマスクさんはダブルノックアウト。まさに力強く美しく逞しい試合は、遂に幕を下ろしたのだった。

さて、試合が全て終わった後もプロレスイベントは終わらない。オタクの戦場、物販の時間である。

前編でも書いた通りブルゾネスラーの皆さんはスタッフも自分達で兼任しており、つまり物販会場で選手たちと接近出来るのである。なんてサービス精神…!

事前にOから言われた通り多めに用意した予算をここぞとばかりに使ってグッズを購入、以下の4人からファンサをしてもらう事に成功した。

ホルスターちゃん:タオルや缶バッジなど購入。両手でこっちの手を優しく握って握手してくれた。嬉しそうな笑顔がめっちゃ眩しい…。

エアシャリオンちゃん:フェイスシールやタトゥーシールなど購入。握手をお願いすると痛いくらい強く握って「これでアタシの事、忘れらんなくなったろ?」とニヤリ。あーダメダメ恋しちゃうこんなん。

ジャージークさん:バターやチーズを宅配でお願いする事に。選手の搾った乳で作ってるとかぱねぇ…。片手で握手しつつ肩を軽く叩いて「今日は司会だったけど、次はカッコいい試合を見せてあげるよ!」と爽やかな笑顔。見に行く〜♡

ガンジーヌさん:入場時に飲んでた紅茶のセットを購入。握手をお願いしたところ、なんとこちらの手を取り跪いて手の甲にキス。はい死んだ、オタク死にました。

因みに他の選手はと言うと、ブラウスイープさんは入場時に着てたコスプレ衣装のオークションを実施。友人のレイヤーが見たら白目剥いて倒れるんじゃないか?そしてレジェンドの4人は会場が混雑しないよう整理しつつ、ファンとの会話やツーショットに応じているようだった。本音を言えば私も声をかけてみたかったのだが会場の完全閉館時間が迫りあえなく断念。でも出口でハイタッチでのお見送りをしてもらえたので今回はヨシ!かくして私のモンプロ観戦デビューは、大満足な結果となったのだった。

だいぶ長くなってしまったがオタクはそういう生き物なので許してほしい、本当はもっと語りたいんだ…。だがここまで読んでもらえたなら、私がガッツリと沼にハマった事は伝わったはずだ。

試合の最後、カーマデーヌさんは観客に向けてこう言っていた。

「私達ブルゾネスラーは、自分達が理想とする試合を皆さんに楽しんでいただくべくモンプロの世界へと足を踏み出しました。これまでモンプロを開拓し、盛り上げてきた多くの先達に恥じる事なく、新たな星となり皆さんにその輝きを届け続ける事をここに誓います。どうか皆さん、これからも我々ブルゾネスラーへ温かい応援をいただければと願います。本日はご観戦いただき、誠にありがとうございました!」

彼女が観客へと投げかけた熱意は、きっと更なる熱を呼び寄せてブルゾネスラーを大いに盛り上げて行くのだろう。実際、私もその熱にあてられてこうして筆を取ったのだから。

いつかその私の熱が、彼女達の燃える様な願いの一部になりますようにと思いつつ。

←友人に誘われてモンプロを見に行ったらどハマりした話(前編)


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