卍解歓迎決闘編 序
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主「平子隊長 そこの形式はもう既に変わっておるぞ!それは藍染が改定する前のやり方じゃ!」
「またか...前の方がやりやすかったんとちゃうか?」
平子隊長はうんざりといった感じで机に突っ伏した
「いや 確認の手間や通す必要がある部署の数から違うからのォ...吾も手伝うから修正せぬか」
「というか...なんでお前は十三番隊やのうて五番隊に入り浸っとんねん!」
ガバッと上半身を起き上げつつツッコミを入れてくるのは関西弁使いのサガなのじゃろうか
「なんでも何も...五番隊の事務仕事の補佐じゃよ 十三番隊の仕事をさぼって良くこっちで作業しておったからおおよそ何をすれば良いかは知っておるしな」
「あの雛森って子は...」
「あの子なら今日は健診じゃ 肉体的にも精神的にも傷は大きい...他の隊士もそうじゃ じゃからこそ吾はお主の事務仕事の手伝いという仕事を上から任された次第じゃよ」
藍染の裏切り...そして幽閉 これらは五番隊隊士にとって大きな"しょっく"であった
そして新たに招かれたかつて大罪人として語られた元五番隊の平子真子...五番隊の者にとっては関わりづらいじゃろうし吾が間を取り持ってやるのも仕事じゃ
「そういやあの悪戯小僧も来ーへんようになったな どこでまたヤラカシとるやら」
「どうやら継家は卍解を習得したらしいからの...それに関して一つお願いがあってじゃな あの子の鼻をへし折っておきたい」
「新人いびり...いや継家の方が年上か」
うむと頷き物思いに少し耽る 新たに力を手に入れた時や慣れが入ってきた時...そういう時こそ気を引き締めねばならない 海燕の時のようにはしたくない
「という訳で明日教員を通じて決闘を申し込んでおる!期間は最長三日間じゃ つまり今から徹夜で三日分先んじて終わらせるぞ」
全て聞き終わった時平子隊長は深ーーーく溜息をついて吾をシバいた
そして当日寝不足の状態で吾と平子隊長は現場の森についた
そこは鬱蒼としており人々は滅多に寄り付かないことで有名であり誰かが巻き込まれる可能性もない
「今回は私と檜佐木とタッグでお前と平子隊長のタッグを倒せと言われているが…」
「うぁ?そうじゃよ 仔細は教員に逐一確認せよと文に書いておったじゃろ」
「なんでお前はそんな登山でもするようなバッグを背負っている?」
吾は指摘された通りパツパツに詰めた背嚢を背負ってここに来た そして今開戦目前でも手放してはいない
「欲しがりじゃの...ほれ"ちよこれーとばー"と水500mlじゃ 再度聞くが教員から仔細は聞かんかったのか?」
感謝の言葉を述べつつ受け取った檜佐木が罰が悪そうに頭を掻く
「一応一通りは聞きましたが 昨日も締め切りがなかなか厳しくて...継家も業務がありますし 最近何度もこういった訓練はしてますからね」
一応日時や場所などは聞いてから来たらしいが...制限時間に関してまでは頭が回らなかったようだ
「お互いに配置につかれましたか?問題なければ始めますよ?」
教員が十二番隊の虫を使って吾達に声をかける
始めの言葉が放たれた時それぞれが動き出した
「刈れ──『風死』」
「また不意打ちされるのはごめんだ 既に解号が無くとも始解は出来るぞ」
向こうはどちらも始解...不意打ちをされてもマズいし今は至近距離じゃから良い判断じゃと思うぞ
「おりゃあ!飛んでけ堅獄鴉!」「あぁ...ホンマに眠いわ」
とりあえず吾は継家の顔面に向けて斬魄刀を丸ごと投げつけておいた 平子隊長は逆撫を始解しグルグルしつつ全力で後方へと走る...霊圧をまき散らした後に吾もそれに続く
「花典でそんなことをしたら当分拗ねるぞ...」
「すまん継家...鼻血で息が詰まるなら言えよ とりあえず追いかけるぞ!」
「血止めくらいなら自分で出来るから問題はない!」
重い荷物を背負いながらで逃げ切れるのかと言えば...まったく問題はない
「こんな素面でも迷いそうな森や...右も左も前も後ろも逆さまになったらお手上げやろ それでそっちはどうや?」
「うむ 問題なく鴉はばら撒けたぞ!斬魄刀も鴉がちゃんと持ってきたから大丈夫じゃ」
カァと仕事を終えた合図をする鴉を見て順調だとほくそ笑む 向こうは大変じゃろうがな
「見失っちまったな...今は感覚も問題ないし距離も離れていそうだ」
私と檜佐木君はあちこちへと反転する視界に翻弄され低速であった二人に追いつくことは出来なかった
「すまない檜佐木君 隊長格をして完全に逃げの一手とは思わなかった」
一度足を止め自身の鼻血を止めつつ周りを見て...気づいた
「鴉が既に配置されている」
今私たちの上では約5羽ほど円を描いて周回する鴉や木に待機している鴉が多量にいる
先ほど斬魄刀ごと投げていたが...持ち主の手から離れていても始解は出来る場合があると聞いたことはある あの時ばら撒かれた霊圧を元に作りそのまま配置したのだろう
「摑趾追雀を使って霊圧を探り当てるか?稲生の霊圧は鴉がいるせいでで分かりづらいからな...平子隊長の霊圧から探ろう」
地面に文様を書き準備をする...あの反転する視界はどうしたものか
「ああ...それはいいんだが一つ気になることがあってな」
「なんだ」
「あの人いつも何か渡すとき明らかに多い量を渡す癖があるんだ...なのにチョコレートバーと水を普通の量しか渡してこなかった」
「それがなんだ?後で金の使い過ぎで飢えた時に食い凌ぐためか?」
「ちがうわ!つまり...この食べ物に関してなにか重要な意味があって渡したんじゃねえかと思ってな」
さて 摑趾追雀は確か南の心臓 北の瞳...そう詠唱を思い返していると周りの鴉が一斉に飛んで...離れた場所で旋回し始めた
「攻撃してくるのか...?継家!一度鬼道は止めて構えろ!」
そう言っていたのも束の間旋回していた物とは別に鴉の群体がこちら目掛けて飛んできた
<<聖噬(ハイゼン)>>
私たちの視界は青い色で塗りつぶされた
「おー おー 派手な花火やな」
「鴉が全部飛んだときは動きを止めて何かしている時の合図じゃ つまり妨害すべき"たいみんぐ"じゃ」
吾は次の機会の時のためにまた滅却師の霊圧で作った鴉に仕込みを始める
「大気の戦陣を杯に受けよ(れんぜ・ふぉるめる・う゛ぇんと・い・ぐらーる)」
あとは一声"はいぜん"といえば爆発する...便利じゃのう
「しっかし妙にえげつないなあ センセからでも習ったんか」
「これは同胞...いや200年前に滅却師を狩る時に用いたものじゃ 常に相手を監視下に置き疲弊させ確実に滅する 昔は攻撃は他の隊士に任せていたし今回は兵糧攻めもあるがのう」
人は強くなるために恐怖するべきじゃ だがただ恐怖するのでなく前に進むか泣きながらでも後退する勇気が必要じゃ...ただ不満を覚えて立ち止まるのだけはダメじゃ
「かつて雛森と阿散井と吉良の三人組とギン一人がそれぞれこれを打ち破ったことがある 吾はあの二人に打破してほしいと願っておる」
「それはええことやな ところで俺の分のハンモックは無いんか」
吾は"はんもっく"の上でぽてちを食べながらも答えた
「床で寝ておれ」
吾はまた頭をシバかれた