卍解歓迎決闘編 中盤
稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主「こほ...いけませんね 大きな声を出すとやはり体に響きます」
開始の合図で大きな声を出したからでしょうね...私が咳き込んでいると市丸さんから声がかかる
「センセ わざわざそないにせんでも僕がやりましょか?」
ああ 市丸さんを心配させてしまいましたね...しかしまぁ開始の合図の後はこちらから呼びかけること無いので大丈夫でしょう
「どうやら平子さんと稲生さんは当初の予定通り距離を取ったようですね 市丸さん、阿散井さんそして朽木さんも当分は動きは無いですしお茶でも飲みましょうか」
「ええ...お構いなく?」
「受け取っておいた方がいいぜルキア この訓練は俺がやった時は相当長丁場だったからな」
稲生さんは200年前に戦場で鴉(ケンちゃんズ)を用いたこの対人間の策を使ってから死神側も同じようなの状況になった際に冷静に対応出来た方が良いだろうと
五番隊の隊士に藍染さんと共にこの訓練を実施してきました...私がこうやって監修したのはかなり久しぶりに感じますが
「いやあ...僕懐かしく感じますわ この訓練」
お茶を一口啜った後に市丸さんが呟く
「確か市丸さんはこの訓練を一人で正面突破していましたね 喜ばしい事です」
本来は複数人で行うこの訓練だが藍染さんも稲生さんも市丸さんなら一人でも問題は無いと推していた
「俺の時は雛森と吉良と組んでだったな...腰を据えて何かしようとすると鬼道がとんできてたから雛森を吉良がおぶった後に掴趾追雀じゃなくて天挺空羅を応用して位置を特定したんだったか 俺が鴉を散らして吉良が始解で斬って稲生さんを逃走できなくしてそこで降参された」
雛森さんは鬼道もさることながら頭が柔らかい回答を出してくれますしそこでしっかり協力できるお二人も流石ですね
「そ...そうか 市丸殿は一人でと言っていたが一体どうやって?」
ルキアさんが恐る恐るというべき様で市丸さんに話しかける
「僕の時は単純明快や ただ開始と同時に稲生さんの足を始解で斬って終い...とはならずに鴉で守りつつ補肉剤で足を治そうとしとったから指を斬ってこんどこそ終いや
そないに斬られたんやから恨み言でも言われる思てたけど焼肉奢られつつ褒められ続けてから僕あの人苦手や」
溜息をつきつつ市丸さんが答える 市丸さんは下調べをして訓練の趣旨を理解していた...事前に調べて対策を練ることもこの訓練の回答の一つですからね
「...私は稲生殿に訓練などしてもらったことが無いのだが 十三番隊所属だというのに...」
全てを聞いた朽木さんが項垂れながら愚痴を吐いた
この三人がこの場にいるのは市丸さんは私の傍にいる必要があるから 朽木さんは稲生さんが『最近副隊長になって気を張り過ぎておるから息抜きさせてやりたい』と監督役に一人として指名し 阿散井さんは市丸さんが『ルキアちゃんは僕の事嫌いやと思うんやけど』と急遽呼び出された
─継家side─
日が昇る頃に始まった訓練は未だ終わらず日が沈もうとしている
「檜佐木君を見ていると自分の体力なさを改めて実感するな」
「いや...休憩も碌に取れてない状況でよくやれてると思うぞ」
平子真子の霊圧を頼りにこの森を探しているがまったく相手の居場所を掴めていない
掴趾追雀は地面に書いて詠唱している間に妨害が飛んでくる...他を応用となるとそもそも難易度が高すぎる
「どうにかして鴉を撒く必要があるな...しかしどうしたものか」
どうにかして鴉の動きを抑え妨害が入るのを止めるないし逸らすことが出来れば良いのだが
「すまないな檜佐木君 直ぐには解決策は思い浮かびそうにない」
檜佐木君を守るためと言って卍解を得たが訓練とはいえこの体たらくとは自身を情けなく感じすらする
「大丈夫だ継家 いざという時は俺を頼れ!お互いに背中を預けあって戦う必要があるからな」
檜佐木君はそう言ってくれる...背中を預けあうか 私の背中は彼にとって信頼できるものになれているのだろうか
策が一つだけ思い浮かんだ 檜佐木君に多大な負担を用いるが
「思いついた策がある 檜佐木君に相当な負担を...」
「構わねぇぜ」
「良いのか?君にばかり負担を押し付ける策だぞ」
「ああ 俺じゃ何も思い浮かばないし無策に動くより何倍もマシだ...それに継家が考えた策ならちょっと悪辣そうだが効果はありそうだしな」
悪辣か...それで君の役に立てるのは悪くない
「ならば体力が尽きる前に仕掛けるとしようか...!
『卍解─花玻璃ノ外典(はなはりのげてん)』」
卍解によって始解で削り取った力を敵の分身へと変え戦わせる...だが今回は敵ではなく
「檜佐木君の分身を19体作成した...鴉共も区別がつかないだろうな」
「つまり一人一人は二十分の一の俺か...追撃自体はそこまでの威力はないだろうからそれぞれ数回なら耐えられるはずだ」
檜佐木君が20人もいるこの光景はなかなか良いものだ...カメラを持ってくればよかったかもしれない
─稲生side─
「平子隊長...吾はお主が苦手じゃった」
「なんや唐突に」
「なんか知らんハゲを藍染と言って可愛がっておったから不気味すぎてのう...」
「藍染のパチモンってハゲとったんか...⁉いやそれなら話しかけとかんかい!」
今の所継家たちは大きく動くことはなく追撃を避けるためにゆっくりと動いているようじゃ
「そういや開幕なんで斬魄刀投げたんや 最初に始解して逃げるゆうのは聞いっとたけどな」
「だってのう...同時に始解したらお主の始解の影響でケンちゃんズがみんなダメになるからじゃな」
空を飛ぶという高度な芸当を上下左右がアチコチ変わる中でやれというのは酷じゃ
「藍染の時も『同士討ちの影響を受けるから』と言って吾が斬魄刀を投げて逃げ始めてから鏡花水月を使っておった 今思えば吾に始解を見せん為だったかもしれんのう」
「あいつは何を考えて行動しとったんや...?」
藍染は入隊当初からちょくちょくお菓子を上げたりしておったが 隊長になってからは吾が死んだ後の為に十三番隊及び他の隊士に何かしてやりたいと藍染の死神の改革なんぞを上と取り次ぐのを手伝ってやったりしてあげておった...可愛い後輩じゃったんじゃがのう
「...ん?鴉の連中の動きおかしないか?」
「どうやら向こうも決心がついたようじゃのう 刀を持て平子隊長...夕飯は焼肉が食えそうじゃぞ」
ケンちゃんズが混乱したように動き計二十の輪が形成された
今日こそは吾が奢ると胸に決めつつ野営のための火を消した