勝者と敗者
〈ダービーが終わって数日経ったとある日の練習コース〉ニ:私に死に物狂いで構っている暇があるのなら、1秒でも多く
担当のトレーニングにでも付き合ってやるのが道理ではないかい?
道:うるせえ…! お前はライダーであいつ(クラウン)の
幸せを壊す可能性があるやつだ、だから絶対ぶっ潰す!
ニ:はぁ...勘違いも甚だしい
そもそもの話、彼女(サトノクラウン)が
レースで結果を出せていないのは
彼女とそのトレーナーである君自身の問題だろう?
根本からして君が私に当たり散らすのなどお門違いも良いところだ
私は君と違って予定も押しているのでね、悪いがここでお暇させてもらおう
道:おい! まだ話は終わって...! クソ...ッ!
クラ:ミッチー!
道:クラウン...何だ...?
クラ:...悔しいけど、ニラムさんの言う通り
私がクラシックで結果を出せなかったのは私自身の落ち度よ...
「サトノ家の悲願を叶える」、とか大口を叩いておきながら
皐月賞では1番人気に押されながらも出足がつかなくて6着、
ダービーでは中団から抜け出すのが遅れて脚が届かず3着...
...ホント、私ってば何をやってるのかしら
道:違う! お前のせいじゃねぇ!
...お前が春のクラシックで結果を
残せなかったのはひとえに、俺が無力なせいだ
俺がもっと効率的なトレーニングをさせていれば、
もっと的確な指示をしていれば、もっとレースの展開を
読めていれば、お前はこんな辛い思いをしないで済んだ!
悪い...少し熱くなり過ぎた、頭冷やして来る...
クラ:ちょ、ちょっと! ミッチー...!?