勝と実について ある親戚の証言より

勝と実について ある親戚の証言より


夜見佐家の男性は代々姿が似てるって言う特徴がありましてね、ええ、勝くんと実くんもそうですよ。私も実際見たことがあるんですが血の繋がった兄弟じゃないのにも関わらず、本当に背も顔も似てるんです。

Qお二人はどのような方でしたか?

ええと勝くんも実くんも優秀な方でした、ただ勝くんは人見知りで、実くんは活発な子でしたね。あとたまに入れ替わってたっていうのも聞いたことがあります。

Q入れ替わってた?

はい、本人から聞いてたんです。兄弟同士の仲は悪くないので、中学時代から度々入れ替わってたらしくて、似てるもんだから案外ばれなかったそうですね。

Qもしかして勝さんと実さんって事件の時にも入れ替わってた?

そうでしょ、だって勝くんが25歳だったなら父親は13歳で子供作ってたってことになるでしょ。

違うんです勝くんが20歳で実くんが25歳なの。逆なの。そしたら辻褄が合うでしょ。

Qええと、状況がややこしいので一旦整理しますね。まずお母さんの喜久野さんは15歳ちかくも年齢を若くしていたと。これは親戚が金持ちだから目をつけたってことでいいんですよね。

そうだと思います。

Qそして、勝くんは叔母の子供で実くんは実の子供で、それで年齢は事件当時の発表とは真逆だったと。

はい。

Q一体何故こんなことに?

…夜見佐家というのはまあ、地主だったってことは知っているでしょう。本家は由緒正しい家でなければならないという意識が強くて、ええとなんというのかな、夜見佐の人間でおかしなことをしたり、世俗的なちゃらちゃら~としたやつは夜見佐家の人間じゃないって雰囲気なんです。喜久野さんは若い時モガというのになってましたからそれが父親の怒りを買ってしまったといのは彼女から聞きました。でね、何が気に食わなかったのか分かりませんけどね、猛さんは大嫌いな喜久野さんに自分にとって目の上のたんこぶ?と言いますか、あまり親戚にいて欲しくない連中をそこに押し付けたそうです。

あと、夜見佐って名前は日本神話の黄泉津大神から来ているって言われています。この神様は元はイザナミという神様でしてね、私も詳しいのは忘れちゃったんですけど死者が生活するところの黄泉って場所の神様なんですよね、神様と言っても色々あるのに、なんで黄泉から取ったってずっと疑問です。

ああ、話が脱線してしまいましたね。喜久野さんの所は言い方が悪いんですけど掃き溜めみたいな感じで猛さんが気に入らない親戚を押し付けていたのかなと。兄弟がなんで入れ替わったのかは分かりませんけど、いずれにしても歪な家庭だったそうです。

1960-05-07

紛らわしいようで申し訳ないけど実くんが実の息子で、かつ20歳であってるよ。入れ替わっていたのは事実だから親戚の色んな人も勘違いしていたってね。

1960-05-07(中村)


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