勇者ちゃんの日常

勇者ちゃんの日常

黒庭勇者さん

「ボクが! 禁止になってるニャ!?」


 勇者様の実家でのんびり『いんたーねっと』というもの使ってカードの情報を見ていた私たち。最初に聞こえてきたのはグリフォンライダーさんの叫び声でした。


「他のカードゲームだったら殿堂入りって言われるんだよな! お前の強さが認められたってことだ!」


 がははと笑うのは遺跡の魔鉱戦士さん。彼は強さが認められたことを誉めています。


「出張ばっかりしてたからねぇ」


 勇者様はお茶を飲みながらのんびり感想を言っています。

 私はその勇者様の隣で喜びを隠せずにいられませんでした。


「私は準制限になりました! もっとこれで勇者様の役に立てますね!」

「水遣いが羨ましいニャ」

「ご、ごめんなさい」


 はしゃぎすぎてしまったのを反省してこほんと落ち着きます。仲間の強さが認められたのは嬉しいことですが、カード内ではいっしょに戦えなくなってしまいます。


「まぁ、休暇を取るのもいいんじゃないのか? 温泉に入る文化ってのもあるらしいからな!」

「猫に温泉とか勘弁だニャ」

「身体洗うのも大切だよ」

「まさか、勇者もお風呂入りもとめるのかニャ!?」

「んー、私はお風呂好きだけどなぁ」

「私もお風呂好きですよ?」

「人とは違うのにゃ、獣人は」

「俺様も好きだぞ、こう耐久する感じがな!」

「魔鉱戦士はサウナ好きなだけニャ」

「はっはっはっ、バレたか」


 賑やかな会話を繰り返しながら続ける私たちの日常。平和な日々です。


「デッキ編成どうしよっか」

「グリフォンライダーが抜けた先を考えないといけないですね」

「異次元から水遣いを復活させるD・D・Rとかどうだ?」

「DDR……踊ってる水遣いとか見てみたいかも」

「ふ、ふぇ!? そんなに身体動かすの得意じゃないですよ!?」

「ふふっ、駄目?」

「だめ……じゃありませんが……」


 勇者様に誘われてドキドキしてしまいます。どうにも悪戯好きな気がします。


「イチャイチャしてるな」

「イチャイチャだニャ」

「そ、そうですか?」

「えへへ、公認カップル?」

「からかわないでくたさいっ」


 気恥ずかしくて顔をプイってします。

 でも、嬉しいからつい顔をにやけさせちゃったり。わかりやすいです、私。


「んー、悩むなぁ」

「団結の力でパワー攻めだ!」

「ワンフーとかいいんじゃないかニャ?」

「色んな意見がでますね」

「そこが私たちのパーティーのいいところだから!」


 笑顔で微笑む勇者様。

 その姿を見るだけで元気になります。これからも、勇者様と一緒にいたいと思えるほど。


「殿堂入りパーティーしないとな!」

「水遣いの準制限復帰おめでとう会でもあるニャ」

「楽しい日になりそうだね」

「新しい一歩を踏み出す日にもなりますね」

「ふふっ、そうだね」


 どんなことも楽しもう。

 勇者様と、素敵な仲間たちが一緒ならきっと、どこまでも楽しいはずだ。

 勇者様との日常。笑顔が眩しい時間が素敵だった。




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