勃発

勃発


神永 side in

教会へ向かったフィリアを見送り1度家の中へと戻る

「彼女は教会へ向かったのね」

「ああ、護衛につこうかと思ったんだが…」

「断られたのね、まぁそうでしょ」

そう言って美作は礼装の準備を始める、ランサー陣営へと攻勢をかけるための準備だ

「貴方も礼装を用意しておきなさいよ。相手は代行者、危険度だけで言えばあのセイバーのマスターを超えるんだから」

代行者、神の御名のもとに異端を排除する聖堂教会における戦闘要員。多くの魔術師がその手によって排除されており魔術師からは蛇蝎のごとく嫌われている。つまりは対魔術師戦におけるエキスパートとも言えるのだ

「聖杯戦争に参加する代行者なんて確実に対魔術師用の概念武装を持っててもおかしくない、可能な限り対処法を用意するわよ」

「わかった、持てるだけ式神を用意しておく」

そう言って部屋の奥のタンスから綺麗に整列している式神を鞄の中に入れる、鞄何故か分からないが魔力を通すと恐ろしく固くなるので最低限の武器になるだろう

「ライダー、そっちはどうだ?」

「問題ありません、セイバーとの傷も癒えていますし万全です」

「わかった、それと美作そんなに持ってけない」

ついでに後ろの方でパンパンになったバックを無理やり閉めようとする美作に注意を飛ばす。

「そ、そうは言っても私たちが生き残るにはできる限り手段を用意しないと…」

なんか情緒不安定になってないか?いや確かにそれほどヤバい相手ではあるが…

「落ち着け、少なくとも俺達にはライダーが本来より使用出来る魔力量が増えてるアドバンテージもある。少なくともあのランサー相手には負けない筈だ」

そう言って美作の手を取ってまっすぐ顔を見つめながら宣言する

「俺が、必ずお前を守る」

「…神永クン似合わないわね、そのセリフ」

軽く吹き出して笑いを堪えながら立ち上がる、その顔には先程まであった不安定さはない

「あ〜、何弱気になってたのかしら!」

そう言ってバックの中の無駄な礼装をポイポイと投げる

「何時もどうりに行きましょ!私たちには大きなアドバンテージがあるのだし」

令呪を見ながら美作はそう言ってくる。

「…そう来なくっちゃな、準備できたら行くぞ」

そう言って投げ捨てられた礼装をライダーと共に片付けながら戦いの準備を行う。


──────決着まで残り、二騎

神永 side out


穂乃果side in

月が照らす京の町、私達3人は街の外れにある廃病院へと向かう。

セイバーのマスターの手記によればここにランサーのマスターであるハインリヒの拠点がある筈だ。

「しかし、セイバーのマスターは凄いなここまで調べあげてるなんて」

「あれだけの工房を用意したんだもの、使い魔も相当数放っていたんでしょうね、っと着いたわね」

そう言って話を切り上げる、目の前には月明かりと街灯があるとはいえ影となりこちらを見下ろす廃病院があった。

「…どんな罠が仕掛けられているか分からない、慎重に行くわよ」

「了解です、私が先頭で行きましょう」

ライダーを先頭に廃病院の敷地へと足を踏み入れる、全員が敷地内に入った瞬間足元に亀裂が走った──────!

「なっ!?」

『土葬式典、私が最も得意とする秘蹟です』

その声は病院から響いてくる、地面の亀裂の先には一本の黒鍵が刺さっていた。

『主の御名の元、貴方たちを大地へと還す秘蹟です。祈りながら死んでください』

その言葉と共に地面の亀裂が大きくなり、私たち3人を呑み込まんとする。これは不味い…!何か対応しようとした瞬間、神永クンが行動を起こす

「ライダー、任せたぞ!」

その言葉と共に鞄から無数の式神が宙を飛ぶ、そしてそれらを足場としライダーが私たち2人を抱え、跳躍する。

「主殿!着地します!」

その言葉と共にライダーは地面へと着地する。

土葬式典を発動させた黒鍵が塵となる、使い捨てなのか…?

『まぁあの程度で倒せる相手ではありませんよね、では改めて自己紹介をば』

病院から響く声は入口から聞こえてくる

『第八秘蹟会所属、ハインリヒと申します。ランサーのマスターとして、そして代行者として貴方たちを倒させていただきます』

その言葉と共に病院の入口から二つの影がこちらへと向かってくる。

「ではランサー、ライダーをお願いしますね?」

「おお!マスターよ、心得た!」

その言葉と共に鎧を着た男が槍を構え凄まじいスピードでライダーへと向かってくる。が、しかし

「…鈍い」

その一言と共にライダーの姿が掻き消える。

戦いの火蓋が切って落とされた

穂乃果 side out

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