加筆まとめ①
ルキア捕縛回(カワキ到着時)思い悩んだ顔で夜道を走るルキア。
「――私は――…少し…こちらの世界に長く関わりすぎたのか…」
「わかってンじゃねえか!!」
死神には必要がないはずの感情に振り回される自分を無様だと自嘲しながら、ルキアは走る。その背後、電柱の上から何者かが叫んだ。
「まァ言い方変えりゃこうして現世に長居したおかげで、てめェはちっとばかし長生きできたってコトだがな! ルキア!!」
「…貴様…恋次…! 阿散井恋次か…!?」
ルキアが男の正体の気付くと同時に、足元に刀が振り下ろされる。気が緩みすぎだと告げ、ルキアの力を奪った人間の居所を尋ねる恋次。
「義骸に入っておるからといって力を奪われたとは限らぬし…ましてその力を奪った相手が人間だなどと…」
「人間だよ! できなきゃ てめーがそんな人間みてーな表情してる筈が無え! なァ! 朽木隊長!」
なんとか言い逃れをしようと苦しい言い訳を並べるルキアに、畳み掛けるように人間だと断言する恋次。
そして引き攣った表情のルキアの背後、白い襟巻きを巻いた男が立っていた。
「――白哉……兄様――――……!」
「…ルキア…………」
刹那、ルキアの頭を目掛けて恋次が刀を振り抜いた。
『――夜道は危ないよ、朽木さん』
ルキアに当たる寸前、その刀を一条の光が弾き返す。光の飛来した暗がり。闇の中から聞こえた少女の声に、恋次が鋭い声を上げた。
「!! ……誰だ!?」
『誰だろうね。少なくとも、君たちの探し人で無いことだけは教えておこうか』
「…カワキ…どうしてここに……」
カワキが夜道に銃を構えて立っていた。慌てて恋次達から距離を取ったルキアが、半ば呆然として尋ねる。
『”どうしてここに居るか“より”どうやってこの場を切り抜けるか“の方が大事だと思うけど』
「ゴチャゴチャ言ってんなよ。何者だてめえ」
『……見ての通りの人間だよ』
敵から目を離すことなく、言葉だけでルキアに応じたカワキ。刀を向けて誰何する恋次に、平然とした様子で人間だと答えた。
「オレ達はここに、そいつの力を奪った奴を殺しに来てんだ。答える気が無えならてめえから殺すぜ」
『あぁ、なるほど…そういう……』
苛立ちを隠しもせずに脅し付ける恋次に、カワキは目を細めて独り言とも思える口調で呟いた。
そして銃のスライドを引き、構え直すと静かに告げた。
『悪いけどタダで帰すわけにはいかなくなってしまったようだ。……私は志島カワキ。別に覚えなくて構わないよ、殺すから』
「そうかよ」
一触即発の空気に焦るルキア。なんとか止めようと声を上げかけたその時、恋次の頭に向かって矢が放たれた。
「!!」
「女の子相手に武器を持った男が二人がかり…見ててあまり気持ちのいいもんじゃないね…。僕はあまり好きじゃないな、そういうの」
霊子の弓と手芸店の袋を手にした石田。新手の登場に恋次は唸るように尋ねた。
「…次から次へと…! …何者だてめぇ…!?」
「…ただのクラスメイトだよ。死神嫌いのね」