創世神性輪廻 神様なんてぶっ飛ばせ!!スーパーインド大戦7
ホログラムが乱れ一瞬映像が途切れる。ユダナに向かってどこからともなく現れた槍はスヨーダナ・キャスターの左手に収まった。霊基が槍に相応しい姿に変わる。黄金の鎧は白銀と青に、髪はカルナと同じ白髪に、左側に赤いリボンがカーリー神と同様に結ばれている。白を基調に青と金糸で彩られた腰布が揺れる。
「・・・YHVHは、どこにいる?」
「YHVHは天の先にいます。」
ユディシュティラは天をさす。
「汎人類史の私が天に最も近い場所に辿り着いた時、天国への道が開かれました。この世界で最も高いところはここです。私に延命の宝珠はもうありません。まもなく天への扉が現れるでしょう。」
それは、ユディシュティラが死ぬ必要があると言うことだった。
「スヨーダナ。あなたの武器に私の権能を付与しましょう。」
「・・・お前は『人』として死んでおけ。」
人として死ぬことは、できなかった世界線が多い「ドゥリーヨダナ」にとっては特別なことだった。好き勝手にやった正史が一番マシな世界線だなんて巫山戯ているにも程があるとも。
「あなた本当に身内に甘いんですね。」
「侮辱か?」
「兄上、処す?処す?」
「兄さん、ヴリコーダラ正気に戻したの俺、だから俺が殺る。」
「母上のちょっといいところ見たいと思わないかしら?」
「うぇ、殺意のジョットストリームアタック・・・」
「何もしなくてももうすぐ死にますよ。」
「今のうちか。」
「もう半分死んでるので勘弁してください。」
太陽が翳っていく。暗くなっていく世界で一筋の光が残る。ユディシュティラの心臓の脈が徐々に緩やかになっていく。
「チトラーンガダー、これを。」
アルジュナから差し出されたガーデンヴァにチトラーンガダーは首を横にふる。
「これはお前の、お前にのみ許された力だ。アーチャーとして呼ばれたとて、それを私が使うことは、」
「俺が矢になる。」
間髪入れずに告げられた言葉にチトラーンガダーは息を呑んだ。
「そ、それは、それなら、打てるかもしれんが、アルジュナ、お前は、」
「どうせ終わるなら、好きなようにこの身を使う。俺は、貴女がいい。」
アルジュナはわずかの間であったが心を通わせたチトラーンガダーに全てを託すとそう決めていた。
「貴女は俺の伴侶ではない。けれどもアルジュナの伴侶なのだから。」
チトラーンガダーに手のひらにアルジュナは自分の手のひらを合わせる。アルジュナの輪郭が徐々にぼやけ、白銀の粒子となって矢に再合成されていく。最後の粒子が矢に変わる瞬間、アルジュナは満足そうに笑っていた。
「ドゥフシャーサナ。」
「ヴィカルナ。」
ナクラとサハデーヴァが従兄弟の名を呼ぶ。呼ばれた本人はひどく嫌そうな顔をしている。その表情はスヨーダナ・キャスターと瓜二つであった。
「嫌だね。」
「断る。」
「俺たちもそろそろだ。戦力は多い方がいいだろう。」
「まだ諦めんな。」
ドゥシャーサナとヴィカルナの手のひらの上には淡く紫に光る蓮の花が鎮座していた。
「兄上の余剰魔力の結晶だ。くそっ、秘蔵だったのに!」
「使えばまだ持つだろ。ドゥリーヨダナを運んでくれ。」
「概念ギー壺なら盾にはなる。壺の強度を信じろ。」
「ユダナがまたしても何も知らないドゥリーヨダナ(ユユツ)になってしまう・・・」
「お前は大丈夫なのか?」
「カルデアの魔力を浴びた。まだもつ。」
天からの光は一段と強くなる。残されている時間はほぼない。
「YHVHの扉は彼方です。ビーマ、案内を頼みます。」
ユディシュティラの鼓動が止まる。天の扉が開く。ヴリコーダラを先頭にスヨーダナ・キャスター、立香と続き、最後にユダナを抱えた双子が光の扉に消える。
「無様だな。」
太陽が、徐々に人の形になっていく。その体に鎧はなく、胸の宝石も存在しない。感情が消えたような能面で太陽神が立っている。
「・・・死んでいる弟にかける言葉がそれですか?」
「?」
「言わなくてもいいですよ。わかっています。無様ですね。」
最後の反逆者が宝珠を残して死に、兄が太陽になり、下の弟から順に死んでいった。自分だけが宝珠の力で生き延びていた。下の弟たちは全て遺体を触媒に呼び出したサーヴァントだった。街も、民も、魔力で作った人形だった。どれもこれも、正史の通り、残った人間はユディシュティラだけだった。
「直接手を下した結果がこれですよ。本当に、どうして神は苦行が好きなんでしょうか?」
「俺は知らんが。」
光源はその輝きを失っていく。やっと、ここで終われるのだ。
「満足、したか?」
どうだろう、ユディシュティラは思う。大地の女神のorderを叶えるために粛清を繰り返した。半神が支配する国に統一した。それからは叩いては壊し、支配して、法を説いた。考える必要などどこにもなかった。ただ目の前の秩序を維持していけば良かった。弟は暴風で雷だった。二つがあれば人々はひれ伏した。それが正しいと信じていた。
「・・・どうでしょう。私は、人として死ねと言われてしまったので。」
せめて、神殺しと共にあれたなら、こんな世界を招いた元凶としての責任をとれたのかもしれない。望んだことが叶わないことが、こんなにも後悔として残るなんて。
「私は、いつだって後手に回りすぎでしたね。」
民が減りすぎて取り返しのつかないところでしか気がつけなかった。弟たちが倒れるまで半神といっても人の子であることを理解していなかった。
「ああ、まだ、私はーーー」
夢で見た彼らは、好き勝手に生きていた。好きなように生きて、生きて、生き抜いて、死んだ。正しくない、人悪のカリスマ。
「満足していないのに。」
ユディシュティラの瞼は落ちる。太陽は翳り世界は暗闇に満ちた。
ピックアップ2
SSRスヨーダナ・キャスター復刻
SRユディシュティラ(バーサーカー) 期間限定
実装予定はなかったのに満足していないと言ったのでカルデアにきた暴走しきったユディシュティラ。
星4の方がカルデアに行きやすいので!!ということで自らランクを下げて登場。その代わり期間限定となった。
ノーマルよりも遠慮がない。頭バーサーカー、狂化EX、秩序・善特攻、バスター宝具。
従兄弟とカルデアを満喫するためにきた!!!!!のテンションが続く。
「私はドゥリーヨダナとスヨーダナと殺し合ったことないです!!」とことあるごとに言う。
カード編成?BBBAQですが何か?
余談
「俺に魔力操作を教えてくれ。」
見た目だけでいえば少女に見える少年はbarの店主に不躾に要求した。テーブルの上には賭場で巻き上げたQPがある。
「ほう、私にかネ。」
「対価は足りんか?他に何が欲しい?」
「いやぁ、君がその悪人顔して大丈夫?」
「弟たちには好評だが?特に汎人類史のドゥフシャーサナにはアンコールをもらったぞ。」
「君、もしかして中身は一番ドゥリーヨダナと近いネ?」
「侮辱か?」
「まさか!良い付き合いができればと思っているヨ。」
良い笑顔を二人で交わし合う。机の上のQPはいつの間にか仕舞われていた。
「私の場合は蝶だが、スヨーダナ・キャスター、君が一番最初に思い浮かぶものがいいだろう。それを型にして魔力を注いで形にする、または魔力の塊から形に合わせて実体化させる、いずれかがやりやすいだろう。最初は私が補助するヨ。」
「・・・こうか?」
「蓮?睡蓮かな?若造より上手いネ。」
「よくそんな生き物みたいに飛ばせるな。」
「私のは蝶の概念だからネ。時々捕まえる輩はいるがネ。」
「・・・聞かなかったことにしよう。」
「・・・一杯飲んでいくかい?ノンアルコールもあるヨ。」
「いただこう。」
※侮辱か?→私がドゥリーヨダナと名乗ると存在が不安定になり消える可能性を知っていてそういうことを言うのですか?
賭場に行くことは身内が推奨していないので兄と弟がいない隙を狙ってダーオカとくろひーあたりから巻き上げました。
余談になりますがスヨーダナ・キャスターは黒ひげのバフがかかります。