創世神性輪廻 神様なんてぶっ飛ばせ!!スーパーインド大戦 プリテンダードゥフシャラー分離イベント
大地は限界であった。人間だけでなく、悪鬼、羅刹もその地に蔓延り荷重に女神が耐えきれなくなったからだ。女神の悲鳴は天に届いた。神々は重い腰をあげ早急に対処を行なった。半神による世界の支配であった。まずは巫女を用意した。神を呼び出しその身に宿す力を与えた。都合のいい国の王妃とした。障害を取り除くため、不要な王弟は歴史から消した。半神は一人たりとも無駄にはできない。まずは生活に欠かせない太陽の子を、次に秩序と保つため法の子を、全てを薙ぎ倒すため風の子を、さらに打ち倒すものとして雷の子を、教養と美しさの双神の双子を、創らせた。ここに、神の支配する国ができた。
まずは悪鬼、羅刹の類を一掃した。半神の子は成長が早い。優れた指導者をあてがえばすぐに子はそれだけで一騎当千の兵器となった。まつろわぬ者たちも処分の対象となった。法に従うものには神の加護を、そうでないものには凶兆が訪れた。従わない国は滅びた。人類は、滅びの道から抜け出すことができた。悪きものを取り除き、良きものを残す。選抜し、抹消して、数を減らし、維持をする。秩序が支配する世界こそ、破滅を回避する手段であると神々は疑わなかった。人々は謀反を起こさない。人々は自分の役割を全うする。その日々が続く世界であった。
日々の中で、神々は気がついた。これは閉鎖された、終わりゆく世界であると。
大地が崩壊しなくとも、何も変わらない世界は淘汰されてしまうことに気がついてしまった。世界が終われば神といえども世界と共に終わるしかない。そこに一つの火種が落ちる。不要とした王弟の、あったはずの未来を垣間見たのである。すなわちマハーバーラタ、本来あるべき人類削減の正答を見てしまった。終わる世界を終わらせないためにはどうすればいいか、火種を撒くのである。間引きすぎた今の人類では困難である。あるところから引っ張ってくるしかあるまい。そう、神々は考えたのだ。
ストーム・ボーダー内で、一つの霊基反応が消えた。
けたたましい音で目が覚める。
『異常事態、異常事態、藤丸立香、マシュ、女神以外のインド系サーヴァントはすぐに集まってくれ。繰り返すーーー』
目覚めは最悪である。せっかくの周回の休みであるというのに、どうしてこうなるのかとスヨーダナ・キャスターは同じく目を開けたカルナとアシュヴァッターマンと顔を見合わせた。今日はエミヤに弁当を作ってもらってシュミレーターでピクニックというものをしたかったのだが、マスターと交渉しなくてはならないと決意を新たにした。
「・・・またアーユスが増えるのか?」
「俺じゃないかもだろ。ビーマあたりおかしなことになってたりするかもしれん。」
「なんでアーユスばっか増えるんだろうな。」
「電子世界でどうして亜種が生まれるのか俺にもわからん。」
「不毛だ。(わからないことを言っても仕方がないので早く行きましょう。できる限り早く終わらせてシュミレーターに行きましょう。ドゥリーヨダナ亜種だとしても我々の時空の亜種ではないでしょう。無関係であればピクニックできるでしょう。)」
とりあえず、現状把握をするしかなく、三人で司令室へ向かうことになった。
司令室ではすでにほとんどのインド系サーヴァントが集まっていた。姿が見えないのは、指定のあったインド女神系サーヴァントとガネーシャ神、そして、
「プリテンダーのドゥリーヨダナ、ユユツの方の反応が消えた。」
思いっきり身内であった。
「なんでドゥリーヨダナじゃなくてプリテンダーのドゥリーヨダナのユユツの方・・・ユダナの方なの?」
「シャクニ、弁明はあるかい?」
「ギー壺の因果をいじった時に、良くないことは全部あれに押し付けるようにしたな。」
シャクニが悪びれもなく言う。ハタヨーダナの一件はシャクニも思うところがあったのだろう。だからといて人身御供にしていいわけではないが、正直スヨーダナ・キャスターもギー壺にならずに済んで恩恵を被っているので何もいえない立場である。
「トンチキ王子が悪いってことだな。」
「冤罪だが?シャクニ叔父のせいだが?」
「やはりシャクニは殺すしかないのでは?」
「しまっちゃうお兄さんはちょっとステイして。あとでいくらでもギー壺して。」
「ハタヨーダナと同じ理屈で連れられた感じ?」
「持ってかれたのはユユツだぞ。あの真面目が機構になれるか?」
「無理だな。善を成そうとしていたことは事実だしな。」
「当機構もあのドゥリーヨダナを取り込んでも本来の機構の機能が発揮できないと予測できる。」
未だ観測できていないドゥリーヨダナを外部から必要とする世界線、これからの予定がまるっと潰れる予感にアシュヴァッターマンの顔が曇る。機構としてのドゥリーヨダナを必要とする世界線に、機構化したドゥリーヨダナや百王子、ドゥフシャラーは連れて行けない。バーヌマティーもドゥフシャラーの思いを背負っているため何が起きるかわからない。ラクシュマナたちも無理である。ユユツオルタはこれまでのことを考えると相手も対策していることが予測される。つまり、残っているのは機構化しないヨダナ属、スヨーダナ・キャスター、アルターエゴドゥフシャーサナ・ヴィカルナである。
「・・・俺か。」
「ごめん、今日休みだったのに、終わったらちゃんと時間取るよ。箱イベが来なかったら。」
「俺らはいいぜ。兄上と一緒ならな。アーツ宝具周回できないアーチャーじゃないしな。」
カルナが無言で弓を出すのをアシュヴァッターマンが抑えている。よくできた弟である。
「ペーパームーンでも異常は検出されている。想像通り、特異点はインドだ。そこにプリテンダーのドゥリーヨダナ、ユダナ君もいるだろう。」
「トリスメギストスが計測するに、あれはすでに終わっている世界線です。放っておいても消える特異点ですが、ユダナの存在の保証はできません。サーヴァント一基の損失で特異点は解消されますが、それはお望みではないですね。」
「これまでの世界線と違うとすると、ドゥリーヨダナの存在を必要としているがドゥリーヨダナがいない世界であること、ハタヨーダナの世界線であれば機構として確立できない点ですぐに他のドゥリーヨダナに手を伸ばしてもおかしくないのにそれをしていないとなると、そもそもドゥリーヨダナがいない世界線であることが予測される。」
「ドゥリーヨダナがいなくても人類が減らせる世界線・・・」
機構に頼らず人を減らすことはできる。できることを偽王時空の五王子は立証した。
「偽王時空の偽王が存在しない世界線?」
「あれはユディシュティラがカウラヴァの運命を嘆いたことで起きた結果だろう。そこに私がいないのであればユディシュティラが民を殺すことを選ぶはずがない。」
偽王が言うことは尤もである。
「レイシフトしてみないとわからないだろう。今回はスヨーダナ・キャスター、アルターエゴのドゥフシャーサナ、ヴィカルナ、チトラーンガダーに適性がある。神性サーヴァントは弾かれる。ユユツオルタも弾かれている。機構化の恐れがあるヨダナ属は適正があるが連れてはいけない。でも今回はマシュのメンテナンスは終わっているからね。マシュも同行できる。」
「先輩、スヨーダナ・キャスターさん、ドゥフシャーサナさん、ヴィカルナさん、チトラーンガダーさん、よろしくお願いします。」
そうして、カルデア一行は半神が支配する秩序の国へレイシフトすることになったのである。