創世神性輪廻 神様なんてぶっ飛ばせ!!スーパーインド大戦3

創世神性輪廻 神様なんてぶっ飛ばせ!!スーパーインド大戦3


白い階段を登る。真っ直ぐに見えて曲がっていて、塔の中なのに広い空間の中は不気味で居心地が悪い。

「チトラーンガダー、大丈夫かな。」

「アルジュナが本気だったら最初の出会い頭で死んでおった。」

「真面目ちゃんだからな。仕事はこなしてしまう優等生ってのは難儀だな。」

「今頃チトラーンガダーがなんとかしているよ。ブラフマーストラの使い手だしね。あのアルジュナには負けない、負けられない。」

「そういうものなのでしょうか。」

「マシュ、人には意地を通さなければならないこともある。負けると分かっていてもな。」

百王子の長兄にもなれず、殺戮機構にもなれず、魔性すら持っていない、いつ消えてもおかしくない存在であったスヨーダナ・キャスターにはわかる。無駄になるかもしれなくても、勝てなくても、そうしなければならない瞬間というのはやってきてしまうものだ。階段はもうすぐ途切れるだろう。身に覚えのある風が、階段の奥から吹き込んでいた。

 

 

階段を上り切った先にいたのは巨大な狼であった。

「想定外なんだが?」

「今回のトンチキはビーマだったね。」

「おいおい、トンチキは俺たちの専売特許じゃなかったのか!」

「ビーマさんは大食漢であることを狼腹、ヴリコーダラとも言われていました。」

「マシュ、説明ありがとう。」

風と爪の連撃をかわして、マシュは盾でいなしてマスターを庇っていた。爪だけならともかく真空の刃は四方八方から飛んでくるためジリ貧の状態であった。

「摩耗するにももう少し別のやり方があっただろうに。」

百王子がいない世界。宿敵もなく、ただ秩序の歯車となった。抗うこともできず、ただ無為に時間を過ごした結果がその姿なのだろう。

「おい。立香!兄上連れて上へ行け!」

「兄さんをよろしく。」

「・・・大丈夫か?」

「俺たちは兄上の弟だぜ?」

「通信機の予備は借りておきます。先に行ってください。」

「立香、マシュ、行くぞ。」

「わかった。」

「お気をつけて!」

上階へ向かう階段へ向かう三人から気を逸らすためにドゥフシャーサナは弓を打つ。ヴィカルナの槍もその分厚い毛皮を貫通しない。さてどうするか、ドゥフシャーサナは考える。避け続けるにも限界がある。現に防ぎきれない細かい傷は手の指を超えていた。風を受けて分かったが。風の刃の乗る魔力は見覚えのある魔力であるが、どこか違う。であれば、正しい風神の力を流し込めば話が可能な状態に持っていける可能性はあるとは考えた。その方法は単純である。

「おい!ランサーのビーマ、聞こえてんだろ!!今度はお前がトンチキの原因だぞ!責任とって武器をよこせ!!」

「風神の加護で殴ればどうにかなるって安直過ぎない?」

「うるせーヴィカルナ!!他に代案があるか?!」

「ない〜!!」

通信機越しだが、バツの悪そうな顔をしているビーマの姿が頭をよぎる。そういうところはセイバーのビーマとよく似ていた。

『アーユスを残して神性特攻で倒せばよかっただろ!』

「それやるとうちのビーマが拗ねるからな。そうなるとカルナがめんどくさい。」

別のビーマと楽しくタイマンをすると、セイバーのビーマが拗ねる。そうなるとどうなるか。スヨーダナ・キャスターへの付き纏いが始まる。そうなるとどうなるか。アーチャーのカルナがアシュヴァッターマンを巻き込んでストライキを起こすのだ。そうなるとどうなるか。周回ローテーションが崩れて各方面から苦情が出るだろう。今回は主にランサーのビーマに皺寄せが行く事になるだろう。

『・・・いいが、どうやるんだよ。俺はレイシフトできねぇぞ。』

「ハタヨーダナの時にやっただろ!!あれだよ!」

『無茶言うな!お前の血は飲んだことねぇよ!!

「ああ?食っただろ!忘れたとは言わせねぇぞ!!バターケーキ!!」

「アルジュナがおすすめとして愚兄のを勧められたって泣いてたぞ。」

「俺たちの浸かったギーは、美味かったか?!」

「あ、俺も含まれてる?」

管制室のビーマを見る皆の目は簡単に予想できた。アルジュナからオルタのビーマに苦言を呈されていたことを暴露されたことをランサーのビーマは知らないだろう。ランサーが一番トチ狂ってるとかほんとありえないよな、と二人は思う。

『・・・できるかどうかわかんねぇぞ。』

「やるだけやりやがれ!」

「マジで使うのか?」

「槍はお前の方が得意だろ。お前が使え。」

「え〜まぁ、いいや。こいよ。ビーマ。俺がどうにかしたら兄さんに褒められるのは俺だな。」

「あぁ?ふざけんなよ。アイデアは俺だろ!!」

『やるぞ!トンチキ王子どもが!!』

「露払いはしてやる。一撃ぶち込め、ヴィカルナ!!」

「うわ、本当にきた。マジで食ってやがる。信じられん!」

ヴィカルナの槍に旗がかかる。アーチャーのドゥフシャーサナの矢と違ってその旗はボヤけている。ギーと血液の献身の違いとでも言いたげに透けた蛇が蜃気楼のように揺れる。

『早くやれ!少ししか持たねぇぞ。』

「えーと、『風神の力、此処にあり』?」

爪と風の合間をぬって、旗槍が狼の胸を突く。毛皮を貫くことはなかったが、風が、だんだんと止んでいく。獣の姿が人の姿を取り戻していく。

「適当だな、もう少しちゃんと使ってやれよ。」

「勝手にギーからバターケーキ作るやつに配慮なんているか?」

「ないな。」

『えー。君たち、ランサーのビーマとオルタのビーマにも間接的にダメージが入ってるから、君たちのお兄さんに使う優しさを少しはビーマにあげなさい。』

ビーマの返事がない。ゴルドルフの台詞から思いの外ダメージを受けているらしい。

「俺たちアルターエゴだからな。」

「兄さんに内包されない俺たちが俺たちとして存在できる意義を奪うな。」

長兄に戻ることができない百王子、人理にサーヴァントとして召喚されるには後ろ盾がない彼らが存在を確かにするために一側面を引き延ばすことでカルデアに召喚されることに成功した。その意義が通せなくなった時、彼らは夢幻のようにカルデアから消えてしまうだろう。

「それで?お前はどうしたいんだ?ヴリコーダラ。」

通常のビーマよりも色素の薄い髪を靡かせて、狼から人型に戻った風神の半神が立っていた。

「・・・目的は、完遂された。あとはユディシュティラが上手いことするだろう。さっさと行け。」

「馬鹿かお前。そんなお前を置いていってみろ。兄上に何言われるかわからん。」

「カルデアのビーマの魔力を浴びたんだから、この世界の理くらいどうにかできるだろ。気合いで跳ね除けろ。」

両サイドから腕を取って半神を階段へ引っ張っていく。

「俺は、お前たちを殺そうとしたが?」

「俺たちはビーマに殺されたことがない。」

「兄さんは身内に甘い。お前のその顔は卑怯。捨ておけない。」

初めて、仮面越しでなく、顔を合わせた時のビーマに似ていることを二人は思い出した。迷子のような、どうしていいかわからないというような、幼い子供の表情をした身内を放っておくことは彼らの兄はできない。兄がしないのであれば、弟である自分たちが取る行動は決まっていた。

「いくぞ!ヴリコーダラ。どうせ止めるならお前が止めろ。お前たちの世界に責任を持て。」

「兄さんに尻拭いさせるな。」

掴まれていた腕は離され、自由になった半神は、少し考えたそぶりを見せた後、自らの意思で階段を登り始めた。

 

 

 

 

余談

ヴリコーダラ(ビーマ) 星5 アサシン(期間限定)

1臨が狼(縮尺自在。50kg-120kgで変更可。)、2臨、3臨で人型になります。2臨は髪の色素が落ちていて、3臨では通常ビーマ色になります。多分簡易霊衣で2臨に狼耳と尻尾がつく。

ドゥフシャーサナ・ヴィカルナ(アルターエゴ)と同時ピックアップでイベント開始とともにガチャが開始されています。

ヴィカルナはマスターがいないと口が悪い。ストレート度直球悪口もいう。

 

どうしてヨダナオルタスレなのにビーマが増えるんですか?

→書いてる人がケモナーだからです。でっかい犬は正義。

 


Report Page