前途多難
「それじゃルフィ♡いれるね♡♡♡」
その少女は仰向けに寝ている少年に膝立ちで跨りながら宣言する。
最初に始めたのはどちらだったのか。そのきっかけは今ではもうわからないが、初めての日以来病みつきになったかのように互いの体に触れ、高めあってきた。
だけれども、いや、だからこそもう我慢できないと決心した少女は先ほどの宣告後も少し逡巡したものの、意を決して体重をかけ――。
「あ゛ーーーーーーーーーーい゛だい゛ーーーーーーーーーーだめ゛、ごれ゛だめ゛ーーーーーーーーーーーーーー」
初めて経験する未知の痛みに叫び、飛びのき、蹲る。
「な゛んでだよーーーーーーしっかり準備すれば痛くないってーーーーーーーーー!!!!」
痛みから逃れるためか、それとも悔しさのためか、握り拳を作り床をバシバシと叩きつつも少女は叫ぶ。
少年は痛みを訴える少女になにかしてやれないか、しかしあまりの剣幕にかける言葉も見つからず、労わるために毛布を掛けてもいいものかとおろおろしてしまっている。
「も゛ーーーーーーーーーーだいなしだよーーーーーーーーーーじゃん゛く゛す゛ーーーーーーーーべっ゛く゛ま゛ーーーーーん゛!!!!!!!!!!」
他人が聞いたらものすごく誤解されるようなことを叫んでいるが安心してほしい。
少女はあくまでも今あげた人物の部屋で見つけた資料本から得た知識の事をいっているのであり、この二名が手ほどきしたわけではないのだから。
ややあって、少女は落ち着きを取り戻し少年から受け取った毛布にくるまり小さくなる。
「ごめんね……なんか、思った以上に……痛かった……」
「だいじょうぶ、じゃねえよな……あんなにさけんでたし……」
「次やるまでにはもっと慣らしておくか、するときの準備もっとしたほうがいいのかもね……」
「おれ、ウタがいたいおもいすんのやだよ……」
「痛くならずにできる方法あるみたいだし、その、今日の事は気にしないでね?」
そうしてぽつりぽつりと言葉を交わしていく二人。
果たしてこの困難を乗り越え二人は無事結ばれることができるのか、その時少女が痛みを感じるのか感じないのか。
それはまだ先のお話――。