前編
事の始まりは数日前。海軍部から母港へと届いた一つの通知からだった。
「何度見ても悪趣味な命令ね」
その通知のを片手にネルソンが目つきを険しくする。それはまるでその紙を通してこのイかれた命令を考えた存在を睨み殺そうとしているようだった。
「……で、本当にコレをやる訳?」
紙面から目を離したネルソンが、ちらと今もこちらを録画するカメラに意識を向けた後正面の相手に、しっかり閉じられたカーテンを背にして執務椅子に座る小さな人影にそう問いかける。目つきは鋭く、声音には険がある。一見先ほどまでと同等の殺気や嫌悪がそこにはあるようだが、実際はそうでもない。如何にも不愉快で不機嫌だという表情や声音を崩さなかったのは結局のところ、この後の事を考えると込み上げてくる恥ずかしさや、少しばかりの昂りを相手に悟られまいとするカモフラージュでしかなかった。
「撤回のためには止むなし……だからね。本当、ごめんね。ネルソン」
目の前の男……否、男の子の表情は、彼とネルソン双方の薬指にはめられた指輪の輝きとは対照的に曇っていた。
*
『新懲罰規定』それが母港に届いた厄介な通知であった。その内容は『トラブルを起こしたKAN-SENの尊厳を陵辱する事で今後再発しないよう戒める』という、例えいやしくも兵器相手であるとはいえあまりに常軌を逸したものだった。一応、身動きを封じて無理矢理に犯してしまうとかではないが、こんなものが正式に効力を持てば確実に母港の指揮は下がり多大な混乱を引き起こすことは間違いない。そのため指揮官は通知が届いたその時から、各陣営を始め考えられる限り方々へ働きかけをして海軍部へ撤回を求めた。女性として愛するのはケッコンしたネルソンただ一人であるとはいえ、母港の皆に並々ならぬ愛情を抱いている指揮官としては当然看過できないものであったから、書類の書き過ぎで彼の利き手人差し指のペンダコはここ数日で酷く悪化していた。
その過程で発覚したのはこの通知が正式な諸々の手続きを全て経た効力のある書類であるにも関わらず、海軍部にこれを認可した記憶のあるものがいなかったという事だった。何者かは知らないが、おおかた母港に無用な混乱を招き、あわよくば内乱であるとかサボタージュであるとかを引き起こそうという魂胆だったのだろう。
ただ、ここで厄介だったのがこの通知が不正な手段とはいえ『正式な諸々の手続きを全て経た効力のある』ものだった事だ。海軍部としても例外処置として即刻通知をシュレッダーにかけて綺麗さっぱり消し去ってしまいたかったのだが、今日認めた例外が明日か明後日か遠い未来かに牙を向くやもしれない。これが外部によってなされたものであるなら、尚更そういう不安が出てくる。その例外を隙として内部からアズールレーンを崩そうという陰謀。そういう可能性もないではない。
そうであれば一分の隙もない正式な手続きを以てこの命令を撤回するしかなかった。そして、それには実際に罰則を適用したことで発覚した問題点の詳細なレポートも必要だったのだ。
ネルソンとしては肌と肌を重ねる時、相手を慮り優しくすることしか知らない指揮官に酷い責めをされると想像すると下腹がきゅんとするのを抑えられなかった。別に指揮官との夜の……時には朝とか昼とか丸一日とかであったりもするが、ともかくそういうひと時に文句があるわけではない。むしろ、最上のものだと彼女も思っている。それでも、決してあり得ないifを体感できると思えば、興味を抑えられなかった。
第一、自分以外の何者にも指揮官とあのような内容の事をさせたくはない。単純にその相手が傷つくのも指揮官がその相手を傷つけるのもネルソンとしては本意ではない。ついで言えば、愛する人が自分以外の女とこんな事をするのは許せないという想いも、あるにはあった。
それに、交換条件というか贖いとして近い内に消化せねばならない分の有給休暇をフルに使って可能な範囲でこちらの願いを全部叶えてくれるというのは魅力的だ。レポート作成資料として様子を全部録画はするが、管理はネルソンに一任して最後は目の前でカメラごとデータを完全に壊す。それを血判付きの誓約書を用意しロイヤルの女王と神の御名に誓うまでするといった、怖いくらいの指揮官なりの誠意を見せられれば断る気にもなれなかった。
*
「それじゃネルソン、まずは、その……」
出会って数年、ケッコンをしてから一年と三ヶ月と十一日。それでも、着任時の年齢があまりに幼かったのと、おそらく単純に少し遅いタイプなのとでまだ声変わりの始まっていない指揮官の高めな声は躊躇で震えていた。
「スカートを捲って、ぱ……パンツを見せなさい」
尊厳を陵辱するというのはつまりこういう事だ。立場を盾に上司から恥ずかしい行動を強制されたり、卑猥な事をされたり。逆らえない状況でその様なことをして、相手のプライドを徹底的に貶め傷つけ、二度とこんな目に遭いたくないと思わせる。艤装さえあれば、KAN-SENによればそんなものな頼らずとも簡単にくびり殺せる相手。それも、普段は穏やかな笑顔で自分たちのために為せることを為して尽くそうとしてくれる、人畜無害か子供の指揮官にそんなことをされれば、ショックはより大きいだろう。
ネルソンは一つため息をついてからタイトで身近な裾を摘み、ゆっくりとたくし上げていく。変に意識してると思われたくはないので気合いを入れすぎる訳にはいかないが、かといって愛する人に見せると分かっている以上手を抜く訳にもいかない。いつも通りの白色は……自分が自分で思っている以上に変態な趣味を持っていた場合、つまりはこういうシチュエーションに雌の本能を強く刺激されて濡れてしまっ時直ぐにバレてしまうから絶対にNG。そうして選んだ、少し布地が小さ目な黒いパンツが指揮官の目線の先に晒されていく。
「ちょ、ちょっと、何あんたが恥ずかしがってんのよ!?」
「いや、だって、その……」
黒い布地の全貌をすっかり晒しきった頃、指揮官は目を逸らしていた。口をもごもごさせる彼に抱いたのは怒り……などではなく、激しい羞恥心だった。もちろん、初めから一抹のというには些か大きな羞恥を抱いてはいた。だが、既に身を重ねあったのは一度や二度の仲ではないのだから、結構心に余裕があった。だが、こうまで指揮官に恥ずかしがられてしまうと、そんなものどこかへ消え去って生娘だった頃の感覚に立ち戻ってさえしてしまう。
「いいから、ちゃんと見なさいよ!そうしてたら意味がないじゃない!!」
だから、その上擦った叫びは殆ど無意識というか、焦った末によく分からないことを口走ってしまった故のものだった。それで少し冷静になってくると、別に目を逸らされたままでも書類の方はどうとでも出来たのでは?という想いに駆られてくるが、もう後の祭りである。
「そう……だね。いや、そうだ。君にこんな事をさせておいて、求めた側のボクが目を逸らしてちゃいけない。指揮官としても、君を愛する男としても」
普段なら、男がどうこう言うなんて十年早いと揶揄っては、内心そう言うところが好きなのだと上機嫌になるところだ。しかし、今のネルソンにはそんな余裕はない。指揮官の熱く、生真面目な視線にまっすぐ見つめられてしまえば、顔の赤らみも増してしまう。今すぐにでも裾を下ろしてパンツを隠したいが、懲罰規定では懲罰者。つまりは指揮官が良しと言うまで下ろしてはならない事になっている。指揮官を焚き付けてしまった手前、なあなあで済ませようとも言いづらい。
「下ろしてよし」
それから十分か、五分か。たぶん実際の時間はせいぜい一分程度経ってようやく許可が出されて、ネルソンは裾をたくし上げるのを止めた。隠したいという気持ちがはやったのか生地が伸びてしまうのも気にせず、服の構造上そんな事をすれば服から胸が溢れてしまいかねないことも忘れてしまって、裾を下の方へと引っ張ている。ケッコン以来いくらか和らいでしまったとはいえ、普段のツンケンした態度を知っているだけ指揮官はその姿を見て、執務机が彼の下半身を彼女から隠してくれている事に感謝した。そして、自らの股の間のモノが硬くなっていることに自己嫌悪の情も抱いていた。
「次は……胸を見せなさい」
「……わ、分かったわよ」
実際の規定だと次段階はブラを見せるなのだが、構造もあってネルソンはそのたわわに実る胸を窮屈に締め付ける服の生地一枚で覆っているのみなのでそのステップは飛ばさざるをえない。ネルソンの細い手のひらが、その深い谷間にすっかり姿を消す。羞恥からくる熱が、その谷間を汗でじっとりと潤していた。ぴっちりとした生地でつっかえるものだから胸の形が少し歪み、そしてようやくその重量級の胸が片方露わにされる。若い女性の身体を持つ彼女の胸は相応にハリを持っているが、それでもあまりの質量に胸の形を球には保っていられず、少し崩れる。もう片方の乳を布地から解放するのは簡単だった。
手を後ろに組んでその胸を、先端のピンク色の蕾を白日に晒す。パンツを見せていた時すでにいくらか冷静さを失っていた指揮官ではあるが、その度合いが増している。無理もない。指揮官は純真な子供で、生真面目な仕事人でもあるが、やはり男。つまりはおっぱいが好きなのだ。そんな指揮官に見られていると思うと、ネルソンの顔の上気や鼓動も増してしまう。
紳士であろうとする指揮官は、平静を保つためか身を重ねる時の胸への愛撫はどこか遠慮がちなのだ。だが、これほどの熱視線に晒されているとその平静さの下に如何程のリピドーを隠していたのか察せられる。……はしたないとは思うけれど、次にシようとなったらもっと胸を責めて欲しいとねだって、思う存分堪能させてあげようか。極度の緊張というか非日常感の下では妙な思考になるものだが、今のネルソンの状態はそれだった。
「次、裸になりなさい」
「そ、その口調、に、似合わないわね。あんたには、さ」
「……言わないでよ。別人になり切らないと、やってられないんだからさ」
冷徹で事務的な口調は規定の通りなのだが、似合わないものは似合わない。子供の口調でもなければ、優しい指揮官の口調でもないが、まあそんな口調では例え真似事とはいえ懲罰官らしさに欠けるから仕方がない。そんな、下らない軽口を言って気を紛らわせなければネルソンも、指揮官もやってはいられなかった。
彼女の服が締め付けるの胸元だけではない。その豊満な尻も、むっちりとした太もももかなりのつっかえなのだ。少しの悪戦苦闘の後に服を脱ぎ切り、その時に思わずずり落ちたパンツもついでに下ろしきる。つまり、今のネルソンは素肌に軍服風のコートとハイソックスのようなロングブーツのみ。脱ぎかけであるからと先に脱いだが、これでは自分がとてつも無い変態のようだ。焦ってコートを脱いで床にぱさりと落とし、ブーツを半ば放るように脱ぎ捨てる。
裸なんて何度も見られている。指揮官と一緒にお風呂に入ることは珍しく無いし、エッチもたぶん人並みかそれより少ない頻度でしている。……二人とも調べたことがないので本当に人並み以下なのかは知らないのだが、とにかく指揮官に裸を晒すことなんて珍しく無い。なのに初めて夜のように、それ以前にトラブルで指揮官に裸を見られてしまった時のように前屈みになって両腕で胸と股とを隠してしまった。
「両腕は後ろで組んで直立しなさい」
「……っ!…………は、はい」
指揮官も自分同様に心中の動揺が著しいのだろう。冷酷なサディストの演じ方により力が入っているのが、それを感じさせる。照れであるとか普段の彼らしい感情の籠った声には同時にらしからぬ冷たさが感じられて、ネルソンは思わず萎縮した。これは結局のところお芝居でしかない。懲罰官とその毒牙にかかる哀れな女。それを演じているだけと分かってはいるが、まるで本当に意に沿わない罰を受けさせられているようで、胸と股とを隠す手を羞恥や反抗心、それでも従わざるを得ないという屈辱や諦観に震わせながら後ろ手に組む。
「こ、これで、いいワケ?」
声の震え、合わせられない視線。いや増していくこの場の異常さと、頭頂部から脚の爪先まで余すことなく本当に懲罰官になってしまったかのような指揮官の視線に犯されているという事実が、『そういう役になりきっている』というより『本当に罰せられている』かのような感覚にネルソンを陥らせる。太ももを、それからふくらはぎをツーっと伝って床へと垂れた水滴は汗であったと、ネルソンは思いたかった。
ネルソンの気の強さを表しているとも、口先で反抗心を示すしか無い無力で哀れな様を表しているとも取れる、どこか反抗的な問い掛けに指揮官は黙して答えない。ただ椅子を引いて立ち、静かにこちらへと歩み寄ってくる。その足音は静かな室内によく響く。その一歩一歩にはネルソンの心中へある種のちょっとした恐怖心を植え付けるような、抵抗しようという心を蝕むような威圧的でいやらしい響きがある。それと同時に、懲罰規定の次の段階を否応にも思い起こさせて彼女の下腹を雌の本能に疼かせた。
ネルソンの目前で指揮官が踵を揃えて立ち止まる音に、彼女は思わずビクつきなざら一瞬目を瞑ってしまった。彼我の身長差は著しく姉弟どころか人によれば母子の関係と勘違いされてしまいそうな肌で、艤装を使うまでもなく組み伏せられるほどの腕力差もある。だが、今のネルソンには指揮官との体格差も忘れ、彼には敵わないと思ってしまうほどに雰囲気に飲まれていた。
指揮官の手の動きにネルソンは身体が反応しそうになって、留まる。今や彼女は、すっかり自分が身体を隠すことも、自分の豊満な身体に延ばされる手を払いのけることも出来ない身であると思い込むまでになっていた。
「ひゃっ!?」
指揮官の小さな手のひらがネルソンの毛の一本も生えたことのないツルツルの股をさわさわと撫ではじめた。彼と愛し合う時いつもそうであるように、その手つきに乱暴さはない。だが、この異常な状態がそう思わせるのか、いつも以上にいやらしい手つきであると彼女には思えた。
「もう濡れてるなんて……興奮してたんだ?無理矢理裸にされてたのに?」
「そん、な……わけ……!」
ネルソンはそう言うけれど、それが覆しようのない事実であることを他ならぬ彼女自身の身体が示していた。淫靡に湿る彼女の女性器が。
なおも指揮官の愛撫。否、懲罰は続く。股全体を優しく撫でられ、割れ目に指を沿わせられ、あるいは時に尻を揉まれ。視姦による昂りで、ネルソンの全身はすっかり敏感になっていた。元々そこも弱いところであったとはいえ、それでも普段ならくすぐったいと思う程度。だというのに内腿へのひと撫でが性感帯を責められたかのように思える。
しかし、指揮官の手は膣内を掻き乱すとかクリトリスを弾くとかいった決定的な事をしてはくれない。息は荒くなり、指揮官の肩に身体を預けなければ立っていられないほどなのに、イけない。もどかしくて切なくて、ネルソンの頭はどうにかなってしまいそうだった。
「あっ、そう言えば忘れるとこだった」
「へっ……?」
自分の身体に隠れて具体的に何をしているのかはネルソンには分からない。暫く指揮官はゴソゴソと何やら探していたらしいが、ようやく目当てのもの見つけたようだ。
「ひっ!?」
冷たい液体がネルソンの尻に垂らされて、彼女は思わず変な声をあげてしまった。重力と魅力的な丸みに従って垂れたその液体の一筋が彼女の可愛らしいアナルを撫でた。彼女に構わず指揮官はその液体を彼女の尻全体に延ばし、塗りこんでいく。
「立ってるの辛いでしょ?」
それが指揮官元来の善性からくる気遣いか、尋問官だとかが自分の仕事の効果を増すためにあえて優しい振りをするのと同じようなものであるかなど、この異様な空間にあってしかも性的な切なさに身も心も満たされているネルソンに分かりはしない。ともかく、指揮官は彼女が傷つかぬように優しく床へと横たえた。ただ彼女を寝かせる都合上のことでしか無いとはいえ、やはり指揮官の小さな身体に抱きしめられるのは心地が良かった。
指揮官の身体が離れていく。そうしてようやくネルソンは彼の手に懐へ入れておくには少し大きめな、それでもカテゴライズするなら小瓶というべきものがあるのに気づいた。ネルソンは身を包む切なさと、そんな中触れた指揮官の優しい温もりとでうっとりした目で彼がその瓶の蓋を開け、その中身をかなりの量彼女の腹の上に垂らすのを見続けていた。
「うんっ……!」
指揮官がその液体をネルソンの胸と女性器とにしっかりと塗り込んでいく。双丘の麓からほぼ完全に勃起してしまっている乳首の先端まで。女性器の割れ目。ぷにぷにとした肉に覆われたその内側の、彼女の指と指揮官の雄の部分のみしか知らない秘処へと十全に染み込むように。優しく念入りな手つきにネルソンは艶かしく喘いだ。
そこまでは良かった。場の異常さを、指揮官からの愛を求める一匹の雌としての本能が少し超えたからか何かを塗り込むため指揮官が自らの全身を弄るのをどこか穏やかな気持ちで受け入れられたから。だが、今は違う。
「なに……!?なに、塗ったのよぉ……あんたぁ」
身体の内から熱いものが込み上げてくる。切ないというには余りにも激しい感情、火照り。『もっとおっぱいもお尻も虐めて欲しい』『指揮官のおちんちんを、いやらしい私のおまんこに突っ込んで欲しい』『この火照りをどうにかできるなら指揮官に見られたって構わない。今すぐにオナニーをしたい』『優しくしてくれなくてもいい。犯してくれていいから、はやく何とかしてよ指揮官』そんな卑しい思考に、彼女の思考も心も乗っ取られていく。愛液の分泌量も激しく、床に水溜りを作りそうな勢いだ。そんな中、ネルソンは懲罰規定の一文を思い出した。
『前段までの内容では懲罰として不足。あるいは特別に反抗心の強いものには特殊薬品を使うこと』
つまりこの液体は、
「びやく?なんてよく作れたね明石は。……効き目が激しすぎるけど」
その言葉にネルソンは絶望というと少しオーバーだが、強いショックを覚えた。媚薬を塗られたからではない。『身体的な接触によって、より強い羞恥と屈辱とを与える』というのが先程の段階であるが次の段階といえば
「それじゃ、『よし』と言うまでしっかりとポーズをとり続けるように」
少し素の口調に戻っていた指揮官がまた懲罰官の役にその精神を乗っ取られ、ネルソンはその命令に従うしかなくなる。ブリッジというほどでは無いが、股を開き両手足をついた体勢になる。まるでツイスターゲームの一場面のような状態では、愛液でグチョグチョに濡れている女性器を隠しようがない。愛する人に、その人が演じる憎い懲罰官に、自分が卑しい雌であることを晒す他ない。その恥辱にネルソンの誇りは傷つけられ、彼女の雌の本能の疼きは甚だしくなっていく。なのに、その肉欲の炎を自分で慰めることは、許されない。
「規定だと膣内を晒させる訳だけど、片手を離させるというのは危ないか」
本能を刺激され、その疼きに悩まされていたのは何もネルソンだけではない。指揮官もまた、ネルソンの痴態にその小さな肉棒をすっかり固くしがらも、本能のままにまだ幼さ故の柔らかさが残る小さな手のひらでシゴくことが出来ないでいた。今の彼女をオカズにオナニーをするのは規定に無いが、その趣旨に一応適ってはいる。だが、ネルソンを苦しめておいて自分だけなど、指揮官にできる訳もなかったから、何とか本能を抑え込むために彼はやはりらしくもない小さなサディストの役を演じることにした。
ネルソンに背を向け、『見られていない今のうちならば』という悪魔の囁きを彼女に突きつけながら執務机の方へとゆっくりと戻り、その棚を探る。
「あった、あった」
またネルソンの所へ戻ってきた指揮官の手にはセロテープが握られていた。
「あ、あんた、何する気よ!?」
身体を支える疲れのみならず激しい性的興奮とそれを抑え込むため必死に理性を働かせ誇りあるKAN-SENであると自分に言い聞かせているがためにぷるぷると震えるネルソン。そんな彼女の問いを無視して指揮官は彼女の股の間にしゃがみ込み、セロテープを適当な長さで切り取る。ほとんど動きのない室内の空気ですら今のネルソンの女性器や胸にとっては激しい愛撫のようであるのに、目と鼻の先にある指揮官の息づかいがどれほどの刺激であろうか。絶頂していないのが不思議な程であるが、
「きゃっ!?」
それでも実際に触れられる刺激よりはかなりマシなものでしかない。
「やめ、やめなさいよぉ……」
声を震るわせそうねだるネルソンを無視して指揮官は彼女の大陰唇を指で広げ、鮮やかなピンク色を晒す。そしてテープを貼って、その愛液滴るぷにぷにとした肉がまたピンクを隠してしまわないように止める。ただでさえビチャビチャな女性器である。一枚ではやはり心許ないと指揮官はもう二枚追加で貼って、もう片側もそのようにした。指揮官の目的を察したネルソンは、セロテープがビーッと出され切り取られる音にさえ興奮してしまい、せめて媚薬のせいで今の自分は正気を失っているだけなのだと思いたかった。
「これでネルソンも、少しばかり楽になったでしょ?」
テープを貼り終えてもなお指揮官はネルソンの女性器の面前、目と鼻の先から離れはしなかった。懲罰官の立場であるならば、その方が効果的であるからだ。膣内と勃起したクリトリスへとダイレクトに指揮官の息がかかる。彼は役者でもなければシャーマンでもないのだから、役を降ろして心を誤魔化すというのにも限度がある。その息は媚薬に苛まれるネルソンほどではないしろ、やはり荒くなっていて、その湿っぽい呼吸は熱っぽい彼の視線共々彼女の敏感な雌の部分をより悩ませた。
「指揮官、私……わたしぃ……」
指揮官に見られている。指揮官が自分の痴態に興奮してくれている。それは彼女の興奮をより高めていく。それに、ひと所ばかり責められていれば他の場所の切なさは却って高まってしまうもの。つまりは彼女のぷっくりとした鮮やかなピンクの乳頭も、指揮官の熱視線と愛撫求めてビクビクと切なく震えていた。興奮とはまた別のものが込み上げてくる。今それに身を委ねるのは不味い。それは懲罰に逆らうことであるし、何より指揮官に対してとんでもない粗相をする事につながる。
「もう、ガマンできなぃ……」
だから懸命に耐えようとしたけれど、今まで色々な刺激に耐えに耐えに耐え続けてきたネルソンの我慢のダムが決壊してしまうことを誰が責められようか。
「ああっ」
空気と息と視線。それらよってネルソンは激しく絶頂した。……しかも、潮まで吹いて。手足から力が抜けてへたり込むように床へ尻を着く。彼女の顔が赤らんでいることに変わりはないが、それの意味するところは興奮ではなく恥じらいになっていた。
「やだ……とまらない……み、みないでぇ……」
あまり激しさのない彼女の潮はちょろちょろと、まるでお漏らしをしてしまったように床に広がり、彼女の尻を濡らしていく。媚薬がすっかり浸透した尿道が潮によって、今までの切なさが嘘であったかのように快楽で満たされていく。してはならないと我慢に我慢を重ねて、その我慢をついに放棄する快感。媚薬に正常な思考を奪われ夢心地の状態で痴態という、お漏らしに気づいて跳ね起きる寸前に似た快感。彼女には縁のないものであるが、夢精に似た快感。そして、愛する人の目の前で潮を吹きその顔を濡らしてしまったという、栄光あるロイヤル・ネイビーの一員にあるまじき行為にそんな快感を抱き、もっと、もっとと求めて痴態を晒し続けている事実。それが、ネルソンから普段の強気を掻き消して、まるで気弱な乙女のような懇願をさせる。そんな、哀れで自虐心をそそられるネルソンを指揮官は顔にかけられた彼女の潮を拭う事なく冷酷に見つめていた。
「これは、お仕置きが必要だね。ネルソン」
そうでなければ最後の理性の一欠片もが完全に消え失せてしまいそうだったから。