前編後〜後編前の時間軸想定。おねしょ。小スカ。
体調問題なし、技のキレ良し。
今日はここまでにしよう。
手持ち達をボールに戻し、自室へと帰る。
みんなの調子が良かったので、いつもより少しだけ長く外にいた。ポケモンの生活リズムを崩したくはないので、少しだけ。
自室に着くと手洗いなどを済ませ、すぐに机へと向かった。今日の対戦相手のことを思い出し、あの時こうすればもっと…あのポケモンへの対策は他に…
「ふぁ…」
白紙がびっしりと文字や線でいっぱいになってから、漸くスグリは眠気を自覚した。ポケモンの体調には気遣うくせに、自分の体調には気付かないのだ。
少しだけと、ベッドに横になると、スグリは数秒で眠りについた。ほぼ寝落ちに近い。
ただでさえ林間学校以降、睡眠時間が減っていたのに、今日は特に遅くなってしまった。そんなの成長期の子どもの体には、酷い疲労を与えるに決まっていた。
そして、疲労や睡眠不足というのは、脳や心にも負担をかけてしまう。
スグリは夢を見ていた。
「………」
あれは過去の自分だろうか、何か呟いている。
ふと、目が合った。
「弱いから」
今は違うと否定したかったが、喋ることも動くことも出来ない。
過去の自分が近付いてくる。
「俺が弱いから!」
「ーー!?」
そこで目が覚めた。心臓が早鐘のように脈打ち、冷汗が額をつたって落ちた。
服が体に張り付いて気持ち悪い、と思ったところで違和感に気付いてしまった。
「え……」
下半身が湿った感覚。恐る恐る布団を捲ると、濡れたシーツ。
間違いなくそれは、スグリのおねしょの痕跡であった。
怖い夢をみて、おねしょ。
その事実は思春期の少年には、耐え難いものだ。
恥ずかくて、林檎のように真っ赤に染まった顔を、涙が濡らしていく。
「っ…うう……」
こんなの、惨めだ。どうしよう…洗わないと片付けないとバレないように、この歳にもなって おねしょだなんて…
嫌な匂いを放つおしっこ、体の熱を奪っていく汗、止まらない涙。ベッドも、そこに座り込んだままの少年も、どうしようもないほど、ぐしょぐしょになっているのだった。