初日の出を背景にライオンの頭が見える数時間前のこと

初日の出を背景にライオンの頭が見える数時間前のこと


「……てめぇら、こんな時間に揃って何してんだ?」

「おれは見張りだ」

「おれは天体観測だ」

「おれは星占いだ」

「そうか」


「……おーい、ロー。これを運んでくれ」

「"シャンブルズ"」

「おっとと…多少こぼれたが、大丈夫だな」

「これは…?」

「ホットワインだ。あたたかいうちに飲めよ」

「ありがたい、いただくとしよう」


「さすが美味いな」

「だろ?一度こういう気候で飲んでみたかったんだよ」

「たまにはこういうのも良いな。よし、ツマミでも作ってこよう」

「待て、ドレーク。クラッカーがここにある」

「ホーキンス…お前すごいな…?なんでそんなモン持ち歩いて…」

「ラッキーアイテムだ」


「そういや占いっていうと、天体観測と星占いって見え方違うのか?同じ星空見てるんだろ?」

「全然違うぞ」

「ああ。まったく違う」

「どっちも同じに見えるけどなァ」

「政府のCPと海軍の海兵を指して"どっちも敵だ"って言ってるのと同じ暴論だ」

「それ、前に麦わらが似たようなこと言ってたぞ」

「つまりサンジは彼と似たり寄ったりか…いい友達を持ったな」

「ハァ〜…友達じゃねえっつってんだろ」

「あれで友達ではないのか…?」

「…ちげえ」


「それにしても、麦わらの連中はどうしておれたちの行く先々で問題ごとを起こしてくれるんだろうな」

「たしか前に"発端は巻き込まれだ"と言っていたな」

「どうしておればかり貧乏くじを引き続けているんだ」

「放浪が趣味だと何か通ずるものがあるんじゃあねえか?」

「んな訳あってたまるか」

「だが現に、彼らの案件を提示してくる確率は、現状サンジとローのふたりで約九割を占めているぞ」

「まあ、彼らは賑やかで楽しいからいいんじゃないか?」

「アイツらに巻き込まれて犯罪組織や政府と戦ったこと、もう忘れたのか恐竜頭」

「鳥頭みたいな表現に使うのはやめてくれないか…」


「…さてと。グラスを洗ってくるからまとめて寄越してくれ」

「おれもそろそろ船内に戻るとしよう」

「ずいぶん冷えたから、おれは入浴してこようと思う」

「湯冷めして風邪引くなよ…ああそうだ。ホーキンス、星占いでなにか視えたか?」

「……強いていうなら、3時の方角に注意。大いなる凶星ではないが気をつけるが吉」

「わかった」

「じゃあおやすみ…おっと、ひとつ言い忘れていた。あけましておめでとう」



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