初めての解~上手に斬れるかな?~
「夏油様を開放してください」
二人の少女が宿儺に懇願する。
「何だ此奴等は。不快だ。殺そう。小僧はどう思う?…小僧?
…あ!気絶してる!起きろ!小僧!!」
バシバシバシッ!宿儺は虎杖にビンタをする。
「ん、んあ、あー…宿儺?あれ?俺…」
「意識を失っていたのだ!…恐らく一度に大量の指を取り入れたことで適応が追いつかなくなったのだろう…ほら。記憶を共有しろ」
「ああ…プッ。何だこいつ。命知らずな奴らだなぁ」
「どういう意味だ?」
「悪い悪い。でもさ、宿儺って、こういう奴ら嫌いじゃない?」
「ああ、嫌いだ。これから殺す」
「あ、じゃあさ。ちょっと体代わってもいい?試したいことがあるんだ」
「ほう?」
「ちょっと顔上げて」
「…?」
二人の少女が体を起こす。
「『解』」
体を起こした少女の片方の頭が宙を舞う。
「おお~!できた!本当に術式刻まれてるじゃん!」
「ククッ。試したいというのは、こういうことか」
「五条から聞いてたからさ!…にしても、すげえ切れ味じゃん!人間の首って切りにくいんだぜ?ヤバっ。これちょっとクセになるかも」
「ケヒッ!そうだろう、そうだろう!小僧も、初めてにしては上出来だったぞ?」
「マジで?じゃあ練習がてらもう一人も斬っていい?」
「仕方ないな。存分に斬るが…
!待て小僧、体を貸せ」
「宿ッ儺ァァァァァァァァ!!死ね!」
もう一人の少女が激昂しながら宿儺にスマホを向けるが―
キンッ
瞬間、少女の体は塵になった。
「あー!俺が斬ろうとしてたのに!どうしたんだよいきなり」
「あの女、術式を発動させようとしていた。あの携帯…いや、さきの様子からして、写真機のほうか?小僧では万が一のことがある。発動される前に斬った」
「何だよ~、信用ないなー。ってかさ、あんな微塵切りみたいなこともできんの?」
「ああ。小僧も訓練次第でな」
「うわあ、楽しみ~!あ、つーかさ。あの人間、粉微塵にしちゃってよかったの?宿儺、前に人間の肉を食うの好きって言ってなかった?あれじゃあ食えないよ?」
「あ。しまった」
「俺がさっき斬った奴で我慢する?」
「うむ、そうだな…だが、その前に」
「さて、呪霊。次は貴様だ。何の用だ?」
「えー…」
(宿儺って虎杖に閉じ込められるんじゃなかったの…?何か普通に肉体の主導権交代してるし…肉体を得られる縛りでも結んでもらおうと思ったんだけど…)
呪霊は目的を失った。
おわり