再会
「お兄!」
背後から聞こえてきた声にシルバーはふと振り返り、声の主を赤い瞳に捉えると優しく笑った。
「アオイ。久しぶりだな、元気にしていたか?」
「うん、パルデアはすっごく楽しいよ!お兄は?」
「俺も変わり無い。ロケット団の経営も順調だ」
ぽんぽんとテンポ良く交わされる会話にコトネは目を丸くした。
「え、シルバー君とアオイちゃんって知り合いだったの?」
「アオイとシルバーさんって知り合いだったの!?」
己が発した言葉と同時に聞こえた声――パルデアのチャンピオンランクの一人、ネモの声だ――に話し込んでいた二人は振り返り、同時に答えた。
「言っていなかったか?」
「言ってなかったっけ?」
私/俺達は、兄妹だよ。
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「それにしても、シルバー君とアオイちゃんが兄妹だったなんて、初めて知ったよ。確かによく見ると顔も似てるし、アオイちゃんがバトル強いのも納得だ」
「私も初めて知ったよー!まさか、あのロケット団を若くしてまとめ上げる、経営もバトルも凄腕なシルバーさんがアオイのお兄さんだなんて!」
取り敢えず休憩しよう、と入ったカフェで店員が注文を取って去っていった後にコトネとネモはそう言った。
「私もね、いっつもお兄が自慢げに話してる『俺のライバル』さんがコトネさんだって知ってびっくりしたんだあ!」
「なっ、ア、アオイその話は本人の前ではするなって……ジロジロ見てんなよ!!!」
「ふーん?」
髪と同じ色になった顔を隠したシルバーをからかう様にコトネはニヤニヤ笑う。それを見たアオイとネモは仲良しだね、とひっそり笑いあった。
観光中にネモからアオイのお兄さんとライバルさんに会ったよ、と写真付きで送られたメールを受信したボタンが目をむき、ペパーを引きずりながらカフェに飛び込むまであと5分。同時刻コトネから同じ様なメールが届いたヒビキがレッドとついでにグリーンも伴ってカフェに着き、ネモがネモるまであと7分である。