「再結成」
※ぬいクルーシリーズの世界線ですがぬいぐるみは出てきません。その代わり麦わら屋が出てきます
今回は正史ローさん視点のお話です ifロー=ロー で表記しています
キャラ崩壊注意!!!
もう1人の俺が自分の世界へと戻ってから数日が経った。あの後応急処置を終えたベポを船に連れ帰り話を聞いたがクルー達はみな一様にすごい剣幕だった。ベポを傷つけローを奪って行ったドフラミンゴに、自分を犠牲にする選択をしたローに、そして何よりその場にいれなかった自分達に皆腹を立てていた。かくいう俺もローが無茶をしたことに関しては怒りを感じていたが、今までの自分を振り返ると何も言えなくなる。俺はドレスローザでの1件の後クルーと再会して残された方がどんな気持ちになるか考えろと散々怒られて今がある。あいつらを進んで危険に晒す気はねぇがそれでも何も言わずに置いて行くのは辞めようと思うくらいには反省していた。だが……ローはそんなやり取りすら出来ずに別れてしまったのだ。あいつの心はクルーをゾウに置いてきた時から成長してない。だからこそ伝えてやらなくてはと思う。突き放すだけでは守れない物があるとあの世界のクルー達が伝えれなかった分も自分を犠牲にするのがどれだけ馬鹿なことかを教えてやらなくてはならない。その為にもあちらの世界へ渡る方法を探しているが未だに手がかりは掴めていなかった。
「くそっここもハズレか……ヘルメスってのは何処にあるんだ」
手がかりになりそうな文献がないかと歴史の古い町や古書店のある島に立ち寄っては資料を読み漁る。古い遺跡があると聞き立ち寄った島だが今回もハズレだったようだ
「おいおいこんな何も無いところに一人で来ちゃ危ないぜ。俺たちみたいなのが出るからなぁ」
イライラと立ち去ろうとしている所に下品な笑い声と共に声が掛かる。どうやらゴロツキどもの根城になっていたようだ
「俺は急いでる。テメェらの相手をしてる暇なんざぁねぇんだ」
「そういう訳には行かねぇな。俺達のアジトに足を踏み入れたからには身ぐるみ全部置いてけよ」
雑魚ばかりだが人数が多い。相手にしていたらキリが無いだろう。無視して通り抜けようとRoomを出そうとするが
「 おー!トラ男じゃねぇか!こんなところで何やってるんだ!?」
もっと面倒臭い奴が来ちまった。
「少し調べ物をしていただけだ。俺は忙しい」
「そーなのか。確かに前より目の下のクマ増えてんぞ!寝てねぇのか?」
「関係ねぇだろ」
「おいこら無視してんじゃねぇぞ」
「ところでコイツらなんだ?」
「ただのゴロツキ共だ」
「んじゃあぶっ飛ばしていいんだな?」
「何ごちゃごちゃ言ってやがんだあんま舐めてると痛い目に「ゴムゴムのー」あ?」
「ムチー!」
「うぎゃあああ」
「うしっこれでゆっくり話せるな!」
麦わら屋が一撃でゴロツキどもを薙ぎ払う。忙しいというさっきの言葉は全く聞こえていなかったようだ。相変わらずの様子に溜息を着く
「まぁいい……俺もニコ屋に聞きてぇことがある」
「ロビンに?さっきの探しもんと関係あんのか?困ってんなら手伝うぞ?」
「……これはうちの問題だ。とにかくニコ屋と話をさせろ」
「分かった。ロビンと話したらちゃんとどういう訳か説明しろよ!」
教えろ教えろとうるさい麦わら屋を無視して港に向かう。こうなった麦わら屋は執拗い。いざとなったら話すしかないだろうと思いながら久々にサニー号へと足を踏み入れた
「あらトラ男くん?どうしたの?」
甲板で黒足屋に入れてもらったドリンクを飲んでいたナミ屋が俺に気づき声をかける。ほかの船の人間が乗り込んできてるのにこの反応……本当に大丈夫かこいつら
「なんだ……次会う時は敵同士じゃなかったのか?」
鍛錬を一段落したらしいゾロ屋もにっと笑いながら声をかけてくる
「事情があってな……ニコ屋いるか?」
「私はここよ?」
奥からひょっこりとニコ屋が顔を出す本を読んでいたらしい
「単刀直入に聞く、ニコ屋ヘルメスという名に聞き覚えはないか?」
「ヘルメス……確か読んでいた文献にそんな名前が乗っていたわ。使用者を望む場所に連れていく道具だとか……」
「そのヘルメスを探している。場所は書いてなかったか?」
「島の名前が乗っていたけれど……その島はもう海の底に沈んでしまっているはずよ?」
「チッ」
海の底という言葉に思わず舌打ちが漏れる
「なんでそんなもんが必要なんだ?ワープするってだけならトラ男にはRoomがあるだろ?」
鼻屋が不思議そうに尋ねる
「…………」
俺がどう説明したもんかと考えていると不意に黒足屋がパンパンと手を叩いた。
「ほらほら野郎ども詮索は飯の後にしろ。トラ男お前も食ってけ、酷い顔色だぞ。まともに睡眠取ってねぇだろ。栄養あるもん作ってやるから」
「俺も疲労回復にいい薬調合してやる。それ飲んでちょっと休んだ方がいいぞ」
トニー屋も俺の手を引き食堂へと連れていきながら顔色等を確かめてくる。確かにローが連れて行かれてから文献探しに必死であまり寝ていなかった
「メシー!肉ー!」
麦わら屋が叫びながら食堂に飛び込んでいく。自分でも知らないうちに張っていた緊張の糸がプツリと切れた感覚がした。黒足屋の飯を食べトニー屋に薬をもらってから俺はぽつりぽつりと今回のことを麦わら屋たちに説明していく。ヘルメスとは平行世界の移動を可能にする道具であること、それを使ってやってきた別世界の俺を保護したこと、その世界線では俺と麦わら屋がドフラミンゴに負け別世界の俺は拷問を受けていたこと、その別世界の俺がドフラミンゴに連れ戻されてしまったこと……突拍子もない話だが麦わらの一味は誰1人怪訝な顔をせず話を聞いていた
バンッ!
話を聴き終わった麦わら屋が勢いよく机を叩く
「なんでそんな事になってるならもっと早く言わねぇんだトラ男!」
「あいつを拾ったのは俺達だ。既に同盟を解消した麦わら屋達には本来関係がない話で……」
「関係ねぇわけねぇだろ!!!」
「ちょっとルフィさん落ち着いて」
骨屋が止めようとするが激高した麦わら屋は俺の胸倉を掴んで揺さぶる
「この世界だろうが別の世界だろうがトラ男はトラ男で俺の友達だろうが!友達がそんな目にあってるのに何もしねぇなんてことあってたまるか!!!」
「友達じゃねぇ」
やっとの思いでそれだけいい胸倉から手を振り払う
「事情が事情だからな。巻き込みたくねぇトラ男の気持ちもわかるが、ルフィの言うことも一理あるぜ?一緒に旅した相手と同じ顔同じ声の奴が知らないとこでボロボロになってるなんてのはどぉにも寝覚めの悪ぃ話だ」
ロボ屋が窘めるように言う
「そうだのぉ関係ないと言われても納得いくまいて」
海峡のジンベエまで麦わら屋の意見に賛同する。こいつらは揃いも揃ってお人好ししかいないのか?
「トラ男!俺はその別の世界のドフラミンゴが気に食わねぇ!だから絶てぇぶっ飛ばす!!!今度はお前が手ぇ貸せ!」
本当に麦わら屋は人の話を聞かねぇ。話せばろくな事に成らないのは嫌という程理解していたはずなのに予想通りの反応に何処か安心している俺がいる
「あぁ」
「海賊同盟!再結成だ!!!」
麦わら屋が両手を突き上げ高らかに宣言する。こうしてハートの海賊団と麦わらの一味の同盟が再び世間を騒がれることとなったのだった