再会if

再会if

※コラさん視点


「コラさん!?コラさんよね!?私よ、ローよ!!ねぇ!!もう身体もおっきくなっちゃったし胸もデカくなっちゃったけど!!!私もコラさんが大好きなの!!!また一緒に寝てあげるし、お風呂にもはいってあげるから!!一人にしないで……!!!また置いてかないで……っ!!

……それともやっぱり、コラさんは私じゃなくて…小さい女の子じゃないと嫌…?大きくなった私はもう用済み…??」

懐かしい声がして思わず立ち止まり振り返れば、命を賭けてでも助けたかったあの珀鉛病に侵された少女の面影を残した儘、可愛らしくも美しく育った美女が俺を見上げて問い質し始める。ただ彼女の発言は、恩人に逢う感動的な場面というよりも、幼い少女を甚振った犯罪者に対する公開処刑の様子であった。

「おい、ロー!?」

思わず叫ぶのも致し方無いだろう。ローを守る様に囲んだ女性陣から送られる、軽蔑の意を含んだ刺し殺す様な視線が痛い。

「ちょっと!これ以上この子に近寄らないで!」

「こいつ危険過ぎるわ!」

「コラさんは確かに窓から外に放り出したり、殴ったり誘拐したり何度嫌と言っても無理やりする(病院に連れてくこと)危険な人だったけどそれは全部私の為だったの!!」

「目を覚まして!」

なんせ、事実なのだ。彼女を瓦礫の山に放り投げた事も、無理矢理誘拐した事も、彼女を性的な目で見ていた事も。病人とドジっ子かつ能力者同士の為、一緒に風呂に入った事も、添い寝をした事も、だ。

いやまぁ、最低限守るべき一線は超えて居ないけれど。そんなモノは、ローの唇から未だに挙げられ続けている己が幼気な少女に行った暴挙からすれば微々たる誤差でしかない。幾度目かも分からぬ自己嫌悪が己を満たす。

けれど、これで良かったのかもしれない。やっと、己という呪縛からローを離してやれる。噛み締め血の味がする唇で、彼女の為を想って諭す様に言葉を紡ぐ。

「そうだぞ、みんなの言うとおり、コラさんってやつはロクでもない男なんだ。だから、そんなろくでなしの事なんざ忘れて、お前のことを心から大切にしてくれる人を見つけるんだ」

そう告げれば、一瞬ではあるが明らかに女性陣の手が緩む。その隙を付いてローは彼女達の手をすり抜け己に駆け寄った。

「コラさん!コラさんっ…!」

己の愛し子が、あのハートの海賊団の船長が、あの頃と変わらぬ……否、あの頃よりもずっと幼い子供の様にボロボロと涙を零すモノだから。

「大丈夫だ、コラさんはここに居るぞ」

こんな穢れた手でなんか二度と触れるべきでは無いと思っていた筈なのに。大きくなったロー抱きしめて、その帽子越しに頭を優しく撫でて、宥める以外の選択肢なんか、最初から無いに等しいじゃないか。


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何時までそうして居たのだろうか。漸く泣き止みどうにか体裁を整えたローは、酷く落ち込んだ様子で俺を見上げて唇を開く。

「コラさんもう私に興味無い?今も傷だらけで、くっついたけど腕取れちゃったし、綺麗な体じゃないもんね…」

そんな事、有り得る訳が無いのに。彼女の血と煤にまみれた珀鉛病の跡も無い柔らかな頬を、優しく撫でる。確かな肉欲を宿しながら、それでもローが元気なだけで俺は本当に嬉しく、何より。

「今も昔もお前がこの世で一番可愛く見えるぜ、ロー」

そんな事を正直に言ってしまえば、花も恥じらう乙女みたいに顔を赤らめ可愛らしい表情をするモノだから。

(あ、マジで今度はやばいかも…)

なんて事を考える俺は、これからとある女性から脳内ドピンクなのをバラされ本日二度目の公開処刑を食らう…ついでに今の彼女にも性的興奮を覚える事をドジって自らぶちまける事も、俺の最愛が自身だという自覚のある彼女が自らを囮にする所為で今後は逃げ場すらも無くなるという事も、まだ知らない。

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