「入院」

「入院」


※可愛いクルーの続きの話です。キャラ崩壊注意!

ifロー=ロー 正史ロー=“ロー”で表記してます。

与えてもらった部屋の一角を見る。そこには色んな海洋生物のぬいぐるみがちょこんと纏まっていた。

「ふふっコイツらも大分増えたな」

シロクマのぬいぐるみを買って以降街に行くと海洋生物のぬいぐるみを探すのが恒例行事となっていた。ローの体調が優れず街に行けない時でもこの世界のクルー達がなにか見つけては買ってきてくれるのである。つい最近イッカククジラのぬいぐるみが仲間入りしたところだ

「次は誰を探すか……」

正直このぬいぐるみを自分の世界のクルー達と重ねていないとは言い難い。だがアイツらを死なせてしまった俺に気安く名前を呼ぶ資格なんてない。だからぬいぐるみをクルー達の名前で呼ぶのは心の中だけに留めていた。

「明日にはまた浮上するって言ってたな……天日干しするか……」

明日の予定を考えながらシロクマのぬいぐるみに顔を埋める。ふと感触に違和感を感じた。

「?」

顔をあげてぬいぐるみを確認する。よく見ると耳の端が解れてしまっていた。

それを理解した瞬間頭が真っ白になる。気がつけば大慌で“ロー”の元に向かっていた

「“ロー”!」

“ロー”はクルー達に指示を出しているところだった

「今手が離せない。急ぎか?」

「それが“ベポ”が」

慌てすぎた俺はつい心の中での呼び方でぬいぐるみを呼ぶ

「ベポに何かあったのか?」

その言葉に咄嗟に振り返った“ロー”は手の中のぬいぐるみを見て納得した顔をする

「ぬいぐるみの耳が破けたのか」

「あぁ縫えるか?」

「俺は玩具屋じゃねぇぞ」

はぁと“ロー”がため息を着く。確かにその通りだ。今の所まだ何の役にも立てていない俺とは違い“ロー”はキャプテンとして毎日忙しそうにしている。それなのにぬいぐるみの耳を縫ってくれ等とくだらない我儘を言ってしまったことに今更気づき申し訳なくなる。

「そうだな……忙しいのにくだらないことを言って悪かっ」

「この患者には入院が必要だな」

俺が謝るより早く“ロー”がシロクマを手に取る

「え?」

「1日俺の部屋で預かるが大丈夫か?」

「直してくれるのか?」

「俺は医者だ。患者は見捨てねぇよ。こいつはお前の大事なクルーなんだろ?」

“ロー”がポンポンと俺の頭を撫でる。

その言葉にコイツらを大事な仲間だとクルーだと思って貰えていたことに無性に嬉しくなった。

「ありがとう」

前よりも素直に言えるようになったその言葉を笑顔と共に口に出す。


シロクマが“ロー”の腕の中で優しく微笑んだ気がした


後書き

正史ローさんifローさんがしゅんとしてたらお兄ちゃんしてくれるだろうなという確信の元SSにしてみました。

この後ぬいぐるみベポは確りと治療されて包帯も巻いてもらってifローさんのところに戻ってきます



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