先輩とのことがネットニュースになる話
その日、ブルーロックに激震が走った。
始まりはドイツ棟だった。
「ねぇ潔くん。こんなものを見つけたんだけど…」
一番初めにそのことに気づいたのはモデルとしてよくSNSを見る雪宮だった。雪宮は潔に近寄り手に持っていたスマホの画面を見せた。
「なんだ?…!?」
そこには想像を超えたことが書かれていた。雪宮がなぜ一番に自分に見せたのか、瞬時に理解した潔は即座にある人物へとその画面に映っていたページを共有した。
ある人物…それはイングランド棟の千切だった。ベッドに放置してあったスマホが、ピコンとメッセージが届いたことを告げる音を鳴らした。そのことに気づいて確認すると、それは潔からのものだった。
「こんな時間に…珍しいな」
そんな風に呟きながら『これを見ろ!!』というメッセージ付きで送られたリンクを踏む。一瞬のラグの後、ページが表示される。
「は?」
一度見た程度では飲み込めず、ページを数巡する。ようやく内容を飲み込めた千切は少し深呼吸をし、綺麗なフォームで走り出した。目指すは食堂。周囲に気を使いつつも一息に駆け抜けていく。
食堂に着いた千切は入り口から全体に視線を巡らせる。目的の人物を見つけると、その人に向かって勢いよく向かう。
「玲王!」
その人物は御影だった。御影はいつもと変わらず凪を背負い食べ物を食べさせながら自分も朝食を食べていた。
「千切、朝からそんなに慌ててどうしたー?」
千切の様子を知ってか知らずか、いつもの爽やかな笑顔を千切に向けた。
「玲王…、これ、見ろ」
千切は手にしていたスマホを御影に見せる。それはとあるネットニュースの記事だった。
『最年少人間国宝と御影コーポレーション御曹司が熱愛!?』
御影が息を飲む。凪は目が滑っているようだ。
「…ちょっと電話してくるわ。遅くなるかもだから二人は先に食べていてくれ。あ、凪がちゃんと食べているか見張っておいてくれないか?」
「お、おう、分かった」
御影はスマホを手に食堂を出る。異様な雰囲気に気づいたのか、食堂にいる選手が何人か集まってきた。一番に声をかけてきたのは西岡だった。
「なにかあったのか?」
千切は言おうか数舜逡巡するが、結局話すことにした。
「潔からこのネットニュースが送られてきたんだ。さすがにやべぇだろと思って即玲王探してここに来たってわけ。あの様子じゃなんも知らなかったみたいだな」
手の中のスマホをプラプラさせながら見せる。
「ちょっと借りるよ~」
「おー」
千切のスマホを借りて西岡は記事を読む。二、三回読んだあと「わぁ…」と呟いて隣にいた柊に回す。柊も記事を読んで「えぇ…」と言って近くの皿斑に渡す。そんな風にして食堂にいたブルーロックのメンバーの手の間を千切のスマホが渡り歩いていく。最終的に千切の手にスマホが戻ってきて千切は言う。
「な、やばいだろ?」
周りにいたブルーロックの面々は顔を見合わせてうなずいた。