兄妹喧嘩
妖精國形式世界です
ドゥフシャーサナ視点
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嫌な仕事だ。
老若男女、敵味方問わず、強者も弱者も区別なく虐殺するなんて嫌に決まっている。
でも仕方ないだろう?
やらなきゃみんな死ぬんだから。
一人でも多くの人を救うために、12億もの人間を虐殺する。
それが俺らに課せられたグランドオーダー。
本当にやりたくないけど。めちゃくちゃやりたくないけど。
でも仕方ない。
このまま見殺しにするには俺らは人間を好きすぎた。
それにこのままだと神によって強制的に人類を削減する機構として覚醒させられるかもしれない。
ドゥフシャラーまで機構に成り果てるかもしれない。
それは嫌だ!仕方ないで済ませたくない!
あの優しい妹に人を殺すなんて仕事させたくない!
だから、人間を捨ててでも俺らがこの嫌な仕事をやるしかない。
仕方ない、仕方ない、仕方ない。
俺らが虐殺するしかないんだから。
……でも悪魔になった俺らがドゥフシャラーと両親を万が一にも殺さないために、彼らを戦場から遠ざけたのは許してほしい。
こんな嫌な仕事するんだからそれくらいのワガママはいいだろう?
「置いていってごめんなドゥフシャラー。お前が天国に来た時に怒られてやる。
……俺が天国に行けるかは分からないけど」
「俺らや兄さんみたいなろくでなしのために怒ってくれるなんてさあ……ドゥフシャラーは優しい子だよね」
「そうだな、自慢の妹だ。だけど手段はダメだ」
「そうだよ。人類虐殺なんてことを優しいお前がしちゃダメ」
「こういう嫌な仕事は俺らに任せておけばいいんだよ」
「「だから」」
「「久しぶりの兄妹喧嘩としようかドゥフシャラー」」