優しい?世界(ルフィ視点)
嘘かと思った。嘘であってほしかった。見間違いであってほしかった。だが、目に映るソレは真実だった。ある日消えた幼なじみが、なぜか人間屋にいた。
幻ではないかと思い、ナミに訪ねる。
「なぁナミ、あれ」
「あれ見えるか?」
「見えるわよ!馬鹿にしないで!」
「見間違いかもしれねぇんだけどよ。
おれあいつ、みたことあるかもしれねぇ」
「…あの紅白の髪の女の子?」
「あぁ あいつだ。」
言われて気付いた。あんなおめでたい髪の色のやつはそうそういない。
「続きましてこちらの少女!なんとあのエレジア事件の生き残りにして歌の天才!!その名をウタ!!」
「っ!?」
やっぱりそうだ。あってた。
「なぁナミ」
「言いたいことは分かる。見間違いじゃなかったんでしょ?」
察してくれて助かる。
「ああ」
「じゃぁ助けるしかないわね!」
そのあと、仲間に事情を話し、ウタにもお金を出す。競り落とすことにした。
初めはキツかったが、人魚であるケイミーの情報が出されると、ウタに掛けたお金を取り消して、ケイミーに掛ける人が現れた。ウタは競り落とせそうだが、ケイミーはキツいと思っていた時、後のおれの師匠であるレイリーがオークションをぶっ壊した。助かった。とほっとしていると、ナミが声をかけてきた。
「で?彼女?ウタだっけ?早く迎えに行きなさいよ。顔見知りなんでしょ?」
声にならない返事をして、ウタのもとに駆け寄る。
「へぇ麦わら屋も奴隷なんてとるんだな。」
「みそこなったぜバカザル。」
ローとキッドの声が聞こえた。
どうでもよかったが、ウタを、”奴隷”とし買ったという所は後で訂正しておこう。
おれは買ったのてはない。救ったんだ。
「ウタ。」
帰ってきたのは、予想外の言葉だった。
「はい。これからよろしくお願いしますご主人様。歌えます。殴ってもいいです。家事も少しなら出来ます。」
オークションは解散したというのに、ロボットの様にそのセリフを言う。
「ウタ。俺だ。ルフィだ。わかるか?モンキーDルフィだ。」
「っ!?ルフィ!?ルフィなの!?」
「あぁルフィだ。」
「ごめんなさい気付かなかった。」
以前の彼女なら、謝らなかっただろうと思うと、なんだか悔しかった。
そして、おれは彼女を強く抱きしめた。
ウタも、抱き締め返してきたが、その腕は、細く、弱々しい物だった。
「へぇ、どうやら思い違いだった、みてぇだ。」
「見直したぜ、バカザル。」
訂正の必要はもう、無さそうだ。
「お前ら紹介するよ!こいつはー・・・
彼女の歌声により、ルフィの兄の命が救われるのは、また別のお話