僕と皆と

僕と皆と



「ご主人様は甘えん坊ね」


シトリスが来てから数週間、お嬢は彼女によく甘えていた。

ベッドの上で胸に顔を埋めて、頭を撫でられている姿は人としてどうかと思う。


「お嬢様取られちゃった……」


「絵面が酷過ぎるよ」


同じベッドの上で僕とリセはそれを見て呆れていた。

シトリスは困ったように笑うと、僕達の方を向く。


「ご主人様は普段からこんな感じなのかしら?」


「僕らに甘えてくる事は無かったね」


「シトリスちゃん程じゃないけど私もおっぱいあるよ!」


ジーナとリセは甘えたいタイプじゃない、等と訳の分からない答えが返ってくる。


「どういうこと?」


「人間の趣味趣向は分からないな……」


蟲惑魔と人間の違いなのだろうか?いや、考えるだけ無駄な気もしてきたな……


「分からないって言えば、落とし穴に落ちてみたいって言うのも分からないね……」


「私もびっくりしたわ」


「いつもの事だよ」


僕達を集めてお願いがあるというので聞いてみれば、庭に落とし穴を作って欲しいと言う。

うん、やっぱり考えるだけ無駄だな。

シトリスの胸に埋まっていた顔を上げると、お嬢は僕を呼ぶ。


「そうだね、もう寝ようか」


「お嬢様と寝る!」


シトリスからお嬢を預かるとリセが反対側から抱きついてくる。


「シトリスちゃんもどう?」


「私は遠慮しておくわ、ご主人様が熱くて倒れないか心配だし」


「今は涼しいから良いけど暑くなったら考えないといけないね」


僕とお嬢だけなら良かったけど、リセも抱きついて来るので夏場は問題になるだろう。

いっそベッドを分けるべきなのだが、僕とお嬢が一緒なのでリセからのクレームが凄い。

腕の中で既に寝息を立てる彼女を抱きしめ、三人でベッドに倒れ込んだ。


翌朝、いつものスーツに着替えた三人でお嬢を連れて庭に出る。

彼女の足取りは軽く、楽しみな事が伺える。

普通の人間にとって蟲惑魔の落とし穴は恐怖の対象でしかないと思うが彼女は違うらしい。


「お嬢、走ると落ちるよ」


「落ちたいのだからそれで良いと思うのだけど」


「落ちる瞬間も楽しみたいって言うと思うんだ」


シトリスの疑問に答えながら歩く。

植物の生い茂る庭の前で止まるお嬢。手を振って早くと催促された。


「設置場所には自信があるよ!えっとね……」


「リセ、ストップ。とりあえず散歩してみなよ」


慌ててリセの口を塞ぐと彼女は説明されない内に庭へと消えた。


「暫く休憩になるかな」


「あの調子だとすぐ落ちると思うけど」


「落ちたら分かるしお話しよ!」


庭先に置いてある椅子に腰掛ける。


「多分普段の倍以上掛けて歩くから大丈夫だよ」


束の間の休憩という事にしておこう、たまには蟲惑魔だけで話も悪くない。

結局、お嬢の話題しか出なかったけど。


「落ちたね」


「えー、ジーナの落とし穴なの?」


「私じゃないわ、救助は製作者が行くのよね?」


「まぁお嬢の事は大体分かるからね、行ってくるよ」


庭を歩く。僕の落とし穴はあの夜お嬢を匿った場所の手前だ。


「どうだい?僕の落とし穴は」


穴の中を覗くと面白かった!と返事があった。

蔦を伸ばしてお嬢を引っ張り上げる。


「落とし穴はアトラクションじゃないんだけどね」


土の付いた服を少し叩いてやる。一旦風呂に入ったほうが良いな、このまま連れて行こう。

他の落とし穴がまだあるんだけど、と言う彼女を連れて屋敷の浴室へ向かう。


「リセがお嬢を救助したがってるから別の日にしよう」


お嬢は納得して歩き出した。

長い廊下を彼女の手を引いて歩く。

僕よりも少し低い背、柔らかい手の感触。今は僕だけのモノだ。

待てよ、今なら二人きりで楽しめるのでは?曲がり角で足を止める。

僕にも独占欲と言うものがあったらしい。そこからの行動は早かった。

壁際を歩いていた僕は互いの位置を入れ替え、彼女の背中を壁に押し付けると僕の名前を呼ぶ唇を奪う。

いつものように口内を舐め回し、互いの舌を絡める。暴れようとしていたがすぐに大人しくなるお嬢に気を良くし、片手で胸を愛撫する。

すぐに彼女の息が荒くなり、口を離す。

僕達の間に銀色の橋が掛かり、すぐにぷつりと切れた。


「抵抗しないのかい?」


片手で肩を押さえたまま胸の愛撫を続ける。このまま続けて良いらしい。

胸から手を離すと今度は服の上から秘裂に触れる。


「誰かに見られるかもしれないのに、それでも良いんだ?」


そのまま上から刺激すると彼女の身体が跳ねる。


「とんだ変態だね」


僕の言葉に顔を赤くするお嬢。良い顔だ、たまらない。

一旦手を離し、お嬢の手で下を全部脱がせて下半身を裸にさせる。

準備の出来ている蜜壺へ指を入れ、指先を動かしていく。


「僕が開発したとは言え、今日は一段と締りが凄いね」


必死に声を抑えるお嬢を嘲笑うように指を動かす。


「声を抑えたいなら手伝ってあげるよ」


優しくキスを繰り返し、その間も指を動かして可愛がる。

そうしていると足音が聞こえてきた。

お嬢もそれに気付き、僕を引き離そうとする。それを許さず今度は乱暴にキスをして黙らせる。


「あ、ズルい!お嬢様と楽しんでる!」


「あらあら……」


リセとシトリスの声を聞くと同時に彼女は身体を震わせて絶頂した。


「ズルいも何も、元々僕の獲物だからどうしようと自由だよ」


口を離し、指を抜いて舐める。片手で崩れ落ちそうなお嬢を支えてやる。


「むーっ、私だって負けないもん!」


言うが早いかリセはしゃがむとお嬢の秘裂に口を付けた。


「シトリス、そっち支えてくれるかい?」


「構わないわよ」


シトリスに反対側を任せて2人でお嬢を立たせる。


「リセが頑張ってるのが分かるかい?」


「一生懸命吸い付いて、ご主人様の事を気持ち良くしてるわ」


時に優しく静かに、時に激しく音を立ててリセがお嬢に奉仕する。


「お嬢はリセの口淫が好きだから嬉しいよね?」


「とっても気持ち良いのよね?こんなに震えているもの」


跳ねる彼女の身体を拘束したまま左右から二人で囁く。

抑えきれない喘ぎ声が漏れ、限界が近い事を僕達に知らせる。


「もっと気持ち良くなろうか」


「もっと気持ち良くなりましょう」


片手で無防備になっていた胸を愛撫する。

指を振るように動かし、ピンと張った乳首を潰す。シトリスも好きにしているようだった。

最後のひと押しとして耳に舌を入れて舐める。

すると大きく身体が跳ね、絶頂した事を教えてくれた。


「お嬢様、どうだった?」


「リセ、口の周りがベタベタよ。少し頂戴……」


「ん、お裾分けしてあげるねー」


お嬢の身体を一人で支える。立ち上がったリセとシトリスが付着した愛液を分け合っていた。

その光景が見えるように彼女の顎に手を添える。


「道草してしまったけど、お風呂にしようか」


「道草してたのはジーナでしょ!」


「明日はリセの落とし穴に落ちると良いわね」


三人で脱力したお嬢の身体を抱えて浴室に向かった。


「うー、ジーナとシトリスちゃんばっかり……」


「いや、アレ頼まれてやりたいかい?」


「頼まれたらやるもん!」


浴室でぬるま湯に浸かりながらリセと話す。今の話題は目の前の光景についてだった。


「どう?気持ちいいかしら」


シトリスは泡まみれの身体をお嬢の身体に擦り付けていた。うんうんと頷く彼女はその感触を楽しんでいるようだった。


「え?私も前からお願い?分かった、今行くね!」


お嬢に声を掛けられたリセが飛び出して行く。

あっという間に身体を泡だらけにした彼女はシトリスとお嬢を挟んで奉仕を始めた。


「お嬢様、気持ち良い?楽しい?」


リセが抱きしめられる。笑顔で密着し合う二人は姉妹の様だ。


「蟲惑魔に好かれるなんて、とんでもない人間だよね」


人に愛されなかった代わりなのかもしれない、そんな事をぼんやり考えているとお嬢に呼ばれた。


「ジーナ、ご主人様がご指名よ?」


「ジーナもやろう、泡まみれで楽しいよ!」


「はいはい、ちょっと待って」


湯船から上がり、お嬢と仲間の元へ向かう。

近くに来た途端、お嬢に手を引っ張られて抱きしめられる。


「君を洗うんじゃなかったのかい?」


いつものお礼に洗ってくれるらしい。皆の前だと恥ずかしいな。


「お嬢様、私も洗って!」


「リセはご主人様が大好きね」


「僕も負けてないよ」


リセと取り合うようにお嬢を挟む。彼女は困ったように笑っていた。

私も皆が好きよ、と返してくれる。

浴室に僕達の騒がしい声が響く。


やがて日は落ちて、月が昇る。

賑やかな僕達の日常がずっと続きますように。



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