偽典王国物語 マビノギオン

偽典王国物語 マビノギオン


この特異点は、円卓の騎士が1人、ケイ卿が聖杯の力によって作り出した特異点である。ケイ卿が聖杯に願ったこと、それは「妹のアルトリアが極々平凡な普通の女の子としての幸せを手に入れること」である。これにより、アルトリアは王にならず、代わりにケイ卿がブリテンの王となった。従来の円卓も存在しなかったことになり、代わりにケイ卿は、聖杯の力でサーヴァントを召喚し、これを新たな円卓の騎士とした。この特異点を解決するために、カルデアからはマスターと、マシュ、ランスロット、アルトリア、マリーオルタ、サンソンが派遣され、さらに抑止の守護者としてギネヴィアが派遣された。カルデア御一行にギネヴィアも味方として加わり、特異点修復に臨むことに。


登場人物

味方

・マスター

・マシュ

・ランスロット

・アルトリア

・マリーオルタ

・サンソン

・ギネヴィア

・ロオ

・ライオネル

・アグラヴェイン

・ケイ

・現地アルトリア

・シェイクスピア

・シャルルマーニュ

・ローラン

・アストルフォ

・ブラダマンテ

・エクター


現地アルトリア(以下現地トリア)がお兄ちゃんをいじめないで!と敵対。何の武術も学んでないため、ステゴロで挑んでくる。人を殴り慣れておらず、しかし一般人の割には怪力のため放置もできず、対峙したランスロットは反撃できずに苦戦する。鎧を素手で殴るため、綺麗だった手もボロボロになって血が滲んでいく現地トリア。攻撃されてばっかりで十分な実力が出せず、今にも負けそうなランスロット。そんな2人を救ったのがギネヴィアだった。ギネヴィアはランスロットに、髪に挿していた花を渡す。それは、特異点中にランスロットからもらった、一輪の白いアザレアの花。

「ありがとう」

そしてそっとキスを交わすと、ギネヴィアは自身の固有結界に現地トリアを引き摺り込む。ギネヴィアの宝具。それは自身が死ぬ代わりに、相手に破滅の一手を辿らせる、自滅型宝具。

「あぁ、またあなたを置いていってしまうこと、どうか許してほしい・・・あなたの行先が、幸せなものであるように・・・

・・・愛してる、ランスロット」

しばらくして固有結界の中から出てきたのはもうすでに生き絶えている現地トリアと、すでに光の粒となって消滅しかかっているギネヴィアの2人。2人とも目元に涙の跡はあれど、穏やかな笑みを浮かべていた。ギネヴィアは愛するランスロットを守ることができた喜びからの笑み。現地トリアは穏やかで優しい破滅を迎えられたことによる笑み。2人の最期は、実に幸せなものだった。そんなことを、ランスロットとケイ卿が知るよしもなく。1人の騎士と、1人の王の慟哭が、城に響き渡った。王の腕の中には愛する妹の遺体があり、騎士の手の中には愛する人が遺した花があった。しばらくして、どちらが先に言ったのか、ランスロットとケイ卿による、最後の一騎打ちが始まった。


実際は、もっと早くにギネヴィアがケイ卿か現地トリアと共に死んでいれば、この特異点は消滅していた。それをしなかったのは、幸せそうなかつての夫と、幸せそうなかつて愛した自分の国を、自分の手で滅ぼすことになる葛藤。それも、ランスロットに会えたことにより、彼女の中で覚悟が決まってしまった。そうして彼女は現地トリアとの心中を選んだ。そんな彼女の選択がもたらした、王と騎士の一騎打ち。

流石に聖杯を所持しているケイ卿は強く、さらにギネヴィアの宝具の余波で少しダメージを負っていたランスロットは死んでしまう。

「とったーー!」

ケイ卿が勝利を確信したところで、彼女の宝具がランスロットだけにもたらすギフトが発動する。それは彼女が宝具を発動すると、ランスロットのみ、一回だけ生き返ることができるというもの。そして斬り捨てにより、最終的にランスロットが勝った。ギネヴィアが自刃しなければ勝つことはできなかった、何処までも空虚さと愛した人の献身が胸を打つ一騎打ちだった。


一騎打ちの末に倒されたケイ卿。朦朧とする意識の中で、現地トリアの遺体が横たわっているのを見つける。

「駄目じゃないか、アルトリア。そんなところで寝たら・・・」

最後の力を振り絞り、現地トリアに駆け寄って、揺すり起こそうとするケイ卿。それを見て、膝から崩れ落ちて泣くランスロット。いつまでも起きることはない現地トリア。

「しょうがないなぁ・・・」

そうしてケイ卿は、現地トリアを抱き寄せる。それは、かのピエタ像と全く同じ構図で。そうしてケイ卿は子守唄を歌い始める。自身の命が尽きるまで、彼は妹のために子守唄を歌い続けた。

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