俺/私は“白”が嫌いだった。

俺/私は“白”が嫌いだった。

通りすがりのSS大好きおじさん

ローside

俺の人生は真っ白だった。別に空白だとか刺激がないって訳じゃねぇ、同年代でも結構波瀾万丈な人生を送ってると自負してる。真っ白ってのは俺の人生は白色に塗れてたって事だ。

初めは白色に嫌悪感はなかった、寧ろちょっぴり誇りに思ってたりする、白い町“フレバンス”を構成する白の景色は全て珀鉛と呼ばれる鉛で構成されていた。俺はその景色が好きだった…あの時までは。

珀鉛には中毒があった。この症状はからだに“白い”斑点が出て高熱や激痛に襲われる。さらに恐ろしいのはこの病気は親から子に遺伝すると言うことだ、その結果感染病だと思われてフレバンスは国境を封鎖され俺以外は全て滅びた。俺は初めて“白色”を恨んだ。だが白の斑点を浮かべてたから(本当はちょっと違うが)俺の1人目の恩人“コラさん”に会えた、その点だけは、感謝してる。あの人は俺を差別せず、最後まで見捨てなかった、さらには【オペオペの実】と言う俺の命を助ける最後のキーを持って来てくれたのもコラさんだった。そんなコラさんを俺のたった一回のドジで失くしちまった。その日は“白い”大雪だった。

…俺が珀鉛病じゃなかったら、俺と出会わなかったら、俺が生きたいと思わなかったらコラさんは今も生きていたのか?そんな事をずっと考えてた。俺は二度目の“白色”に大事な物を奪われた。

モネside

私は“白色”が大好きだった。だって幻想的で、雪が降ったらシュガーもはしゃいでいたもの、2人で大きな雪だるまとか作ったっけ…周りの子供たちは私の肌も髪も白いからか“雪女”なんて揶揄って来たけど私は全然気にした事はない、寧ろ雪が好きだったから気にしてなかったのだけどシュガーを馬鹿にされた時は固めた雪玉を顔にぶちまけてやった。反省も後悔もない、当然の仕打ちだ。

そんな事もあって私は“白色”が好きだった、あの時までは。

ある日島は記録的な大雪だった、それに加えて海賊が取引の場所にこの島を選択していたのもあって島民たちは夜も眠れなかった。でもシュガーは違ったそんなこと知らないと言わんばかりに外で雪で遊んでいた、あの子は本当に雪が好きだ、今度こそ新記録の雪だるまを作るんだー!ってはしゃいでたわね…暗くなる前に家に帰れば大丈夫だと思った私は“引き止めずに”大雪が降り頻る外の世界に“2人”で飛び出した。飛び出してしまった。思えばそれが間違いだったんだ…

雪玉を作るために雪を集めてる時いきなり大きな屋敷がある方角が爆発した、不思議と“音がしない爆発”だった、海賊たちの喧騒が聞こえるけど“銃声”なんて聞こえなかった。だけどいきなり明るくなって炎が見えたら焦ってしまう。シュガーを諌めて家に帰ろうとしたのだけど雪が強くなってきて、更に周りも真っ暗で辺りなんて見えなかった、それでもがむしゃらに走ったのだけど、“黒い毛むくじゃらのコート”のような物を来た海賊っぽい男の人がすごい表情で走っていてその後ろにみるからに海賊がいたから脇目も振らず私達は走り出したその時、海賊が投げた爆弾が私たちの近くで爆発してシュガーと離れ離れになってしまった。私はすぐに辺りを探した、でも見つからなかった、諦めきれなかった私はずっと探し続けた。もう手と足の感覚がなかったのにね。だけど私はシュガーを諦めきれなかった。とうとう力が入らなくなって倒れ込んで命尽きるかと思ったのだけど、あの時雪だるま作りに賛成しなければ、家から離れなければ、喧嘩してでも止めていれば、シュガーと離れ離れになることはなかった?そう思わずにはいられない。私は大好きだった“白色”に世界で一番愛してる妹を失った、自分を保っていられなかった。でもその時助けてくれた恩人が“白い斑点の跡がある男の子”だった…私は“白い子”に救われた。

???side

あたしは“白色”が大好き、特に真っ白な雪が大好きね、雪を見ちゃうとつい大きな雪だるまを作りたくなっちゃう。でも世界で一番大好きな白はお姉ちゃんよ、肌も髪の色も真っ白でまるで絵本に出てくるお姫様みたい!大人になったらすっごく美人になるんだろうな…ちょっと羨ましいわ。お姉ちゃんは街の男の子達に虐められたらいつもあたしを助けてくれた、まぁカチカチに固めた雪玉を顔に当てるのはやりすぎだと思うけど…でもあたしまお姉ちゃんが虐められたら同じ事をするわ。似た物同士ね!ちょっと過保護なのが玉に瑕なんだけど、でもそんな事を気にしないくらい“モネお姉ちゃん”が大好き!…あの時までは、本当にそう思ってたの。

その日はね、あたしもみたことがないくらい雪が降ってた、だから今まででみたことがないくらい大きな雪だるまを作って街のみんなを驚かせようと思ったの、当然お姉ちゃんも誘ったわ、2人でやった方が早いもの、お姉ちゃんは雪が降りすぎて危ない、だとか。海賊が根城にしてるから今日はダメ、なんて言うけどいつもの心配性でしょ、お家に帰ることくらい大丈夫よ、そう思ったのだけど、お姉ちゃんが正しかった。いきなり騒ぎに巻き込まれて私達は離れ離れになっちゃった。でもお姉ちゃんはすぐに私を見つけてくれる。そうだ、かくれんぼみたいな物だと思えばいい。すぐに見つかっておうちに帰ってあったかいシチューを食べるのよ、デザートにはグレープもいいわね。ふふっ今から楽しみだわ、でもお姉ちゃんは見つけてくれなかった、最初は私のかくれんぼのスキルが上がったのだと思った、でもどんどん体が冷えて来て怖くなって来た、お姉ちゃん…まだ見つけてくれないの…?意識が朦朧したときに助けてくれたのが“ピンクのもじゃもじゃを着た人”だった、あたしはお姉ちゃんが待ってると言い外に出ようとしたが、外は暗く雪が激しいから危険だって言われた、此処で待ってればお姉ちゃんにも会えるとも、でもどれだけ待ってもお姉ちゃんは来てくれなかった。

…なんで?なんで?どうしてどうしてどうしてどうして!

そんな中ピンクの人がこう言った。私は捨てられたのだと。勿論すぐに反対したわ、お姉ちゃんがそんなことすることがない!でも言葉とは裏腹にお姉ちゃんは来ない。本当に捨てられちゃったのかな…さらに畳み掛ける様にピンクの人が「俺はお前を見捨てたりしない、俺と元に来い、今日からお前は俺の“家族”だ」とそう言われた。幼い私は抗えなかった。その瞬間から私はモネお姉ちゃんの妹“シュガー”じゃなく若様の家族“シュガー”として生きていくことに決めた。私を捨ててのうのうと生きてるお姉ちゃんなんて大っ嫌い。お姉ちゃんと離れ離れにした雪なんて大っ嫌い。こうして私は“白色”が嫌いになった。

そういえば若様の名前知らないや。え?ドフラミンゴ?鳥さんみたいなお名前ね!お姉ちゃんも鳥が好きだったのよ!そう言う私の表情はどんな物だったろうか、笑っていたのだろうか、それは若様しか知らない。


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