俺くんVS紅衣

俺くんVS紅衣

稲生・紅衣・メメ・虎屋のスレ主

念の為閲覧注意!

「やりにくい相手と当たっちゃいましたね...」

「おいおい 酷い言いようじゃないべか」

相変わらずフワフワと浮きつつ登場する京楽紅衣とそれを見て更に苦笑いが深まる俺くんだった

解説席では綱彌代継家が賭けの金銭を用意しつつ準備をしていた

「紅衣に賭けるのは癪なんでね 俺くんが勝ってくれると助かるが...さて」

会場に二人が揃い開始の合図が鳴る だが二人とも動かない

「おまえの始解『裏狩』は影が無ければ無用の長物 俺は全裸で発光しているから影なんぞないべ...つまりはおまえの選択肢は卍解しかない」

「確かにそうだね 俺もまさかこんな形で戦いづらい相手がいるとは今日まで思わなかったよ」

ようやく両者は斬魄刀を構える 共に"地"に足をつけて

「たまには文字通り地に足つけてちゃんとやろうと思ってね」

「いつもの下手くそな訛りが抜けてますよっと!」

先ほどとは違い眩い光を放つのは俺くん 煌びやかな十二単を着て佇むのは紅衣

紅衣の卍解は脱げば脱ぐほどに制御不能の骨を砕く風が増し周りを破壊していく

俺くんの卍解は光を背負い高速での戦闘を可能にする

「君には憧れってもんがあるかい?」

紅衣は袖の下から小さな黒いボロ布を取り出しそれを手に取る

「さあどうだろうね」

俺くんは素っ気なく答える もう既に攻勢に出る準備を終えて

「俺には持論があってね...この世で二人目に服をきた奴は理由はきっとしょうもない

寒さに耐えかねて着た?いや違う 火でも焚いて温まればいい

体を護るために着た?いや違う 危険なものに近づかなければいい

恥ずかしいから着た?いや違う 他の誰もが裸なのだから

なら着たのはきっと『初めに着た奴への憧れ』が原動力だ…ってね」


取り出していたボロ布は浅打へと変わる

「紹介しておくよ煌びやかなのが『ジュニー』こっちの質素な奴が『単』だ...

一応言っておくが二刀一対じゃあない 単に始解鉄扇の十三本目が『単』というだけだ」

俺くんは既に一歩踏み出している 風が吹き始めれば戦いは厳しいものになるためだ

「全く...せっかちだね じゃあこっちも『唐衣』だのだとか通り越して最後の一枚まで脱ぎますか!」

紅衣は浅打でちょいと指を斬る 怪しげで淫靡な匂いの乗せて香る風が吹き荒れ...しばらくして止む

そこには真っ当に死装束を着て浅打のような斬魄刀を持った一人の死神が居た

「初めて見ましたよ まともに服着てるの」

「だろうね...普段全裸だし さてやろうか!世界を焼き焦がすような熱を持たない形ばかりで本質を理解できていない刀だがあたりゃ痛いぞ!」

その戦場に熱はない まばゆい光と激しい風はあれど火のような熱は


戦いはそう長くは続かなかった 数度の打ち合いで勝敗は決した

「いやはや...それが君の『憧れ』か ひねくれものには眩しくて仕方ない代物だね...おまえ自身苦労してそうだ」

「俺の周りにいる人ひねくれものばかりですけどね」

お互いにとって太陽のような物に憧れた月と北風の勝負は月である俺くんの勝利で終わった

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