例え違う世界の貴方でも
『パパ〜!今日見た夢のお話聞いてもらってもいい?』
「夢の話?またあの頃の夢でも…
その割には随分御機嫌だな どんな夢を見たんだ?」
キングは久々の休日を愛しの娘 レイと過ごしていた
勢いよく自身の胸に飛び込んでくる彼女を優しく抱きとめ 頭を撫で
彼女の言う夢の話に耳を傾ける
彼女が話すに夢の世界だと二人の立場が入れ替わっていたようだが
それ以外は何も変わらないのだと
それはつまり彼女が大看板「キング」であり キング 否アルベルの母親だったと話す
夢の内容を自身の少ない語彙を補うように身振り手振りで表現しながら伝える
それを聞いたキングは笑って
「ははっ それは随分酔狂な夢だな
…でもレイが母親とは その世界のおれが心配だな」と少し心配そうに夢の世界の自分の身を案じる
それを聞いたレイはその小さな頬を膨らませ
『…それってどういう意味〜!』と少し拗ねたように訴える
「レイは抜けてる所があるからな 母親をちゃんと出来てるのか心配なんだ」と愛しそうに娘の柔らかい頬をその大きな指で優しくつつく
『む〜…ちゃんと出来てるもん…多分
あ、でもね!』
「ん?」
『夢の世界の私はパパの事をすっごく優しい目で見てたんだよ!
パパと同じ優しい目で それってきっと夢の世界の私にとってもパパは大切な人ってことなんだよね?
そう考えると凄く胸がポカポカするんだ〜 』
と愛しそうに話す娘
「…そうだな つまりそれは夢の世界のおれにとってもレイは大切な人って事なんだろうな」と返してやると
嬉しそうに笑って 「うん!」と元気よく返事をする娘
ふと愛おしさが溢れて娘を抱き締め
考える もしかしたらレイの見た夢の世界は実在するのかもしれない
そしてどんな世界でもどんな出会い方でも今とは違う関係でも
きっと互いにとってかけがえのない大切な人なのだと
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「ねぇお母さん!今日見た夢の話聞いてもらってもいい?」
『…夢の話?またあの頃の夢でも…
その割には随分ご機嫌ね どんな夢を見たの?』