伽藍、あるいは空洞

伽藍、あるいは空洞


私には私というものがありません。どれもこれもが人から託されたものです

その人から託されたもので私というものを埋めています。ですがどれだけ埋めてもどれだけ満たしても何処か空白を感じるのです

ですがその空白というのは案外優しいものでして、怒れるときも嘆くときも悲しむときもいかなるときも誰よりも寄り添い慰めてくれました

あぁ、空白よ。お前だけは常にいたが故に、ついぞ私というものはお前で埋まってしまった

そして果てには、私というものは空白になるだろう

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