伽藍、あるいは空洞私には私というものがありません。どれもこれもが人から託されたものですその人から託されたもので私というものを埋めています。ですがどれだけ埋めてもどれだけ満たしても何処か空白を感じるのですですがその空白というのは案外優しいものでして、怒れるときも嘆くときも悲しむときもいかなるときも誰よりも寄り添い慰めてくれましたあぁ、空白よ。お前だけは常にいたが故に、ついぞ私というものはお前で埋まってしまったそして果てには、私というものは空白になるだろう