会議は踊る、団子の手も進む

会議は踊る、団子の手も進む


神永side in

で、セイバーを倒すために作戦を練るという話になったんだが…

「なんで俺たちは昼間っから街中に出て遊んで回っているんだ?」

俺とバーサーカーは両手に大量の紙袋を持ちながらひたすらに買い物して回っているライダーと美作に連れられていた。

「なんでって決まってるでしょ、偵察を兼ねてよ」

「だとしても買い物する必要あるか?」

しかも複数の観光地を見て回ってだ。

「あのねぇ、まずセイバーのマスターは時計塔から派遣されてるんだからどっかにホテルか何かを取ってるはずでしょ?」

だろうな、だからといってホテル周辺を回らないでなんで観光地を回っているのかコレガワカラナイ

「そして観光地の近くにはホテルが付きもの、特にああいった貴族っぽい魔術師なら格式高いとこを選ぶわ」

確かに、1回しか来ない可能性が高いこんな極東の土地に態々金をかけて工房を作るよりはホテルを借りてそこに簡易の工房を置く方が効率はいい

「だとしてもどうやって絞り込むんだよ、観光地を回るだけじゃ意味ないだろ」

「ホテル全体或いは一部にでも魔力での違和感があればそこに居を構えてる可能性は高くなるわ、それにこうやって周りの土地を精査しておけば戦闘時に有利になるでしょ?」

むぅ、そこまで言われてわ付き合わざるを得なくなるじゃないか

「主殿!あちらに美味しそうな団子の店がありました!そこで一旦休憩にしましょう!」

うちのライダーは観光モードバリバリ何だが?と言った目で美作を見ると目をそらされた。おい、誘っておいてそんな対応をするな

「そうね、そろそろバーサーカーも精神的な疲労が限界っぽいしお茶にしましょ」

そう言って二人でやいのやいの言いながら団子屋へと入っていく、バーサーカーはなんか若干やつれて

「な、何軒回るんだ…」

「少なくとも俺の経験上あの感じなら後6軒は回るな、ほら行くぞ。ここで休んどかないと後々響くぞ」

そう言いながらバーサーカーを連れて団子屋へと入っていく。

───

団子屋で団子とお茶に舌鼓を打ちながら

「とりあえず1度偵察してその後本格的に強襲って流れで良いのか?」

団子を食いながら美作に問う

「ですが強襲するにしても件の魔術師が例えばホテルの最上階に陣取っているのならば手間ですよ?」

「狙うんなら夜道或いは外を出歩いてる時が1番いいな、のがオレは戦いやすい」

戦闘を担当するサーヴァントのふたりがそれぞれ意見を出す、確かにバーサーカーの言うような条件なら俺達には地の利があるが

「出てくるわけないでしょ、魔術師にとって最も安全なのは自身の工房の中なんだもの、おかわり三本お願いします」

まぁそうだろうなと言う結論が返ってきた

「そうなると偵察するのは厳しいか?」

「まぁ侵入者を帰さない程度の結界は貼ってるでしょうね」

「そうなると行き当たりばったりでの戦闘になるな、それはそれで望むとこだが」

「いやぁ厳しいでしょう、やるのならばどうにかして外に引きずり出さなければ」

「つってもどうやんだよ、まさかホテルを丸ごと潰すとか言わねえよな?」

「無理ね、バーサーカーの宝具なら土台を崩してしまえば可能だけど神秘の隠匿的にアウト、それ以上に私達にそんな専門知識はないわ」

あるならやるのかというような答えを返してくる美作、いやまぁ俺も知識あるならやるんだが…

「やっぱ正面突破か、或いは屋上からの侵入か」

「正面突破の方がいいでしょう、幸い私には対魔力があります多少の魔術ならば無効化できます」

「それでも心配は残るわよ、セイバーの宝具とは貴方相性最悪でしょ?」

「むっ、そうですが…あ、焼き団子おかわりください」

団子のおかわりを注文しながら会議は踊っていく、しかしこの団子美味いな…

「小難しいこと考えねぇで正面突破で良いだろ、その方がわかりやすい」

バーサーカーは正面突破の案しか出してこないがぶっちゃけそれが最適解な気がするんだよな…

「狭いとこだとバーサーカーは本領を発揮しずらいからどうにかして広いところに出したいわね」

「いや、むしろそれは悪手ですね。セイバーの宝具は広い所で真価を発揮する対軍宝具、我らではあの範囲攻撃から逃れる術はないです」

「そうなると一番いいのはセイバーとマスターが同じ部屋でいるとこを強襲する事だな、範囲攻撃なら自分のマスターを巻き込みかねないからな」

何となく方針は定まってきた。

とりあえずはセイバー陣営の拠点を探しそこに強襲をかける。そしてなるべくセイバーとマスターを離さずに戦うこと、これが肝になるだろうな。

「というか単純に俺たちじゃあのトーマス相手に魔術戦しても勝てる気はしない、寧ろそれをされたら負けかねんぞ俺たち」

殆ど素人同然の俺と本人曰く「時計塔なら掃いて捨てるほど程度の才能」の美作だぞ?時計塔から派遣されてきた凄腕の魔術師相手に勝てる気はしない

「とりあえず方針は正面突破、これでいいわね?」

「「「異議なし」」」

ひとまず方針はこれで決定だ。さてちょうどおかわりの団子が来たからそれを食べるとしよう。

ふと、団子を頬張るライダーに視線を向ける、パッと見は年相応の少女にしか見えない、だが時折見せる姿はまるで1つの部隊を率いる将帥のようでどちらがライダーの本当の顔なのだろう。

そう思いながらお茶を啜った。

神永 side out

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