会話 参

会話 参

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《零士よ。貴様は恐神の母屋に戻らんのか》


「戻る必要がないですよ。あんな場所に居たくないですし。」


《吾は好むがな。

彼処には負が集う。童も壮丁も泣いては怒り、叱咤する。あの場所程狂っている領域はないだろうに。》


「僕は嫌ですけどね、恐神の家も住人も。皆気が狂ってる。」


《貴様からすれば彼処は地獄か。》


「無論、1年足らずしかいなくても高専が僕の居場所でした。」


《屋に成る程の心地良さか?其れともあの者達が居たからか?》


「両方ですよ。恐神の家にいた時より、ずっと息がし易かった。」


《ほぅ。聞けば聞くほど恐神の人間とは思えん。冷酷無比の小さき王。統べる事で生き永らえた現存の当主。澄み渡った魂の欠片も無い輩から、零士が産まれるとはな》


「それは父の事ですか。それともすぐに死んだ母の事ですか。」


《無論、両者だ》


「そうですか。今言う必要もなければ聞く必要もない話題でしたね。早く次の場所へ行きましょう。」


《何、もう少し気を持て。そんなに此処は似ているか?》


「えぇ、似ていますよ。あの村に。僕が生まれたあの家に。」


《...左様。ならば去くとしよう。吾は亥が喰いたい。》


「こんな時まで食い物かよ...」


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