会いに行ってどうした
※擬人化 ご都合主義時空※
※タイ→(←)エフです※
※引退辺りの話が入るので注意※
>>51の続きになります。
触れた手が離れていくのを惜しんだのを素直に認めた。ああ、そうだ、とタイトルホルダーは見上げながら思う。
レースの中でしか見えないものがあるようにレースではない場所でしか見えないものがある。
彼は結局、一生懸命で優しくて強いライバルだった。
甘えるなんて仕草をレースの日にはもちろん見ることはない。だからこそ強く、時には威圧的に見えたのだ。
それが今はただ少し不器用に見えるだけでそれ以外の感情も浮かぶ。
「タイトルホルダー?」
「……幸せに、なるんだな」
幸せになろうと思う。と言ったからにはそうなって貰わないと困る。確認するようにそう返せば、うん、と頷かれる。
そこで確信する。結局違う道に進んでもいつまでも忘れられないライバルに恋というには少し苦いかもしれない感情を持っているのだと。
だったらこっちだって、と強く想う。離れていても名が聞こえるように。強く走ると。
タイトルホルダーが今度は動く。自分よりも大きな手に触れた。エフフォーリアが少し驚いたように見つめてくるが嫌がる素振りはちっとも見えない。
優しさか、それとも