仲間

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鳥籠


マダムを倒す

それはアリスも頭をよぎった事がある考えだが、当然疑問がある。何故自分達のボスを倒したいのか。何故アリスを選んだのか。

「ガスマスクさん、どうしてですか?」

「ガ…いや、いい。…簡単に言うとモモイちゃんに笑って欲しいから…」

「モモイの友達なんですか!?」

アリスは身を乗り出すが相手は首を横に振る

「友達…ではないかな。私が一方的に知ってるようなものだから」

そう言った彼女は話し始める。モモイとの事を、何故それが彼女にとってベアトリーチェに歯向かう理由になるのかを


アリウスは酷い様だった。トリニティから迫害されて逃げ込んだこの土地でも内乱が起きたりして他人との信頼なんて持てなかった。私はたまたま裕福な方だったのと幼馴染みみたいな人達と一緒だったから大きな争いに巻き込まれなかった。そんな日々の中、マダムがトリニティやゲヘナを敵とする事でようやく私達はアリウスとしてまとまった。ここに来たけど、私自身は人と話すのは苦手で1人で過ごす日もあった

モモイちゃんと出会ったのはそんな日々の中だった。いつもの私が行く場所に行ったらモモイちゃんが隠れてた。訓練から逃げてきたから匿って欲しいって。驚いたよ、モモイちゃんはサッちゃんですら手を焼く問題児って有名だったからね。え?そう。サオリって人が私の幼馴染みみたいな人。それで、その時は流されて匿ってたんだけど、モモイちゃんずっと喋ってたんだ。隠れて外に出た時のゲームが楽しかったとか妹のミドリちゃんと一緒にやったイタズラはこんなに凄かったんだよと自慢したりね。そんな話を聞いてるとミドリちゃんに場所がバレたんだ。それで連れ戻されようとした時に『お礼』って言ってマスクにシールを貼り付けていったんだ。…そうだよ。ボロボロになってるけど、この花のシール。外で買ったんだって、可愛いでしょ

それからもね、モモイちゃんが匿って欲しいって頼みにくるし、色んな事を話してくれるの。私は話す勇気が無かったからモモイちゃんの話を聞いてただけなんだけどね。ミドリちゃんも一緒にきてくれたりして………楽しかった。


ある日、訓練から帰って来たらモモイちゃんが問題を起こして制圧されたって聞いた。…ミドリちゃんも処分されたって話も聞いた。それ以来モモイちゃんが笑わなくなってしまって…私はとても後悔したんだ。もし、私が気づいていたらとか、私が止めれるような事を言えたらなんて事を考えて考えて。モモイちゃんはここにいるべき人じゃなかった。マダムはアリウスをまとめてくれた凄い人。でも、モモイちゃんの笑顔がなくなって初めて気づいた。みんなちゃんと笑えてない事に。マダムのやり方だとトリニティへの復讐を果たしたとしても何も残らない。今更だけど、これ以上悲しむ人が出る前に勇気を出して動かなきゃって思ったの


「…それが私がマダムに逆らう理由」

話を終えて一息つく。アリスの方を見るが彼女は黙ったままだ。

(…もしかして不味いかな?)

今までの態度からこちらに協力してくれると思ったが本当はマダムの手下のままなのかもしれない。もしそうだったら私は密告されて反逆者として処分されるだろう

冷や汗が流れる。瞬間彼女が勢いよく手を掴んだ

「ッ!?何「アリスわかりました!」…?」

アリスの顔を見るとその目は何か決意を込めているように見えた

「アリスがここに来た理由。それは勇者としてベアトリーチェを倒す事だったんですね」

アリスの声に力が入る。今までは元の世界に戻る事を第一に考えていた。しかし、ガスマスクの少女の話を聞き、彼女の覚悟を聞いた事で自分もこの世界で戦う覚悟を決めたのだ

「ガスマスクさん、一緒に頑張りましょう!」

アリスの言葉にガスマスクの少女は戸惑いながらも頷く




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