付き合ってるシュラリズ(甘くはないかもしれない)

 付き合ってるシュラリズ(甘くはないかもしれない)


 「ねぇ、二人で何処かに行かない?」

「そういえば武器の整備や新調が必要だっ

 たな、着いてきてくれるのか?」

「…うん」


「ねぇ、一緒にお風呂に…」

「辞めておいた方が良い。羽が散るから邪魔になるだけだ」

「…」


私、フェリジットはこの男、シュライグと付き合っている。経緯は省力するけど、恋人としてやれることは全てやっており、その頻度も多い筈だ。私の事を凄く大事にしていることも伝わるのだけど、一つだけ不満がある


「ねぇ…今日」

「対人稽古か?良いぞ」

「」


付き合ってからも変わらずクソボケであることだった。


 ――――――


私はシュライグが好きだ


 寡黙で感情表現に乏しい所もあるけど、人一倍痛みを知ってて誰よりも仲間思いな男だった。そんな彼の人柄を知って、いつの間にか好意を抱いていた。

 付き合う前から、彼には何度かアプローチをかけてたつもりだったが一向に靡かなかった。

 私の事は恋愛対象として見てないのか、ひょっとしたらアプローチを疎ましく思っているのかもしれない。そんな想いが募り続けて、何を思ってか、脈なしならいっそ嫌われる事承知で襲ってしまえば良いと考え、私は夜這いをしかける事にした。


そして当日、夜這いは失敗した。


 この日の為に選んだネグリジェを纏い、足音もたてずにシュライグに近づき、覆いかぶさった所で彼は目覚めてしまった。

 歴戦の勘が襲われる事を察知したのかどうかは分からない、結果揉み合いの末に私は取り押さえられてしまった。

 私の事を認識したシュライグは心底理解できないと言う様子で何故と聞いてきた、そのときの私は彼に嫌われたと思って自暴自棄になってたのかもしれない。今回襲った理由、そしてシュライグへの想いを洗い浚い叫ぶように吐き出した。なぜ好きになったのか、如何に彼の事が好きなのか、そしてすべてを吐き出して心が空っぽになって、この場に居るのが辛くなって立ち去ろうとした時、シュライグに引き止められ予想外な返事が帰ってきた。


「俺も好きだ」

たったそれだけの言葉、だけどそれだけで私を籠絡するには十分だった。


 そして、私以上にいかに私の事が好きかを語り始めた、散々聞かされてもまだ素直に受け止められなかったが、その後嫌と言う程わからされた。

 「ま、待ってシュライグ…!」

 「端からこうするつもりだったのだろう?今謝っておく。すまない、優しくは出来そうにはない。」

 「そ…んぅ!?」

 言い訳さえも許されず、紡ごうとした言葉もキスで止められて、彼の寵愛にされるがままに弱い所を調べ尽くされ、そして散々イカされて、もう意識が朦朧として彼から与えられる快楽に溺れながら――――

 けれど、そんな中でも…空っぽになった筈の私の心が溢れる程に満たされていくのが、実感できた気がした。

 

 翌日、シュライグは昨夜の件で謝り倒してきた。だが元は私からしたことだった為、恋人になるという条件付きで彼を許すことにした。


 ―――――


 そして今に至るわけだけれど、ご覧の惨状だ。


 確かに誘えは相手をしてくれるのは事実だし夜は積極的だ、だがそれ以外が全然ダメだった。自分からは誘わないし何なら誘っても何時ものクソボケが発揮されて有耶無耶になってしまう事も多い。夜はあんなにも私を求めてくれるのに…


…ひょっとしたらシュライグは恋人と言う肩書と夜の行為だけで概ね満足してしまっているのかもしれない。だけど私は違う!何というか、その、それ以外の事でもイチャイチャしたい!というわけで今回は直球でデートに誘おうと思った。出かけようではない、“デート”だ


「ねぇ…今日」

「対人稽古か?良いぞ」

「」


言葉が出なかった


クソボケも極まるとここまで来るのか。何食わぬ顔でテキパキと準備を始める恋人に今回ばかりは腹がたった、惚れた弱みも通用しない。だからつい、声を荒げてしまった。


「違うわよ!勝手に決めつけないで!!」

「フ、フェリジット?」

「私は!一緒に出掛けたいの!!」

「む、誰かと予定があったのか?すまない」

「」


何なんだこの男は、もう我慢の限界だった


「あ・な・た・と・よ!!」

「えっ」

「相変わらず戦闘以外は察しが悪いしその上クソボケね!「す、すまな」大体何よ!貴方からは全然誘ってくれなくて私ばっかり!「フェリジ」そのくせ夜ばっかり私を求めて!ヤれれば良いとか思ってんの!?「それは違」何よ!いっつも私のおっぱい吸ってるくせに!「グハァッ!?」」


畳み掛けている途中でシュライグが奇声を上げて叫びながら倒れてしまった。一瞬打ち負かしてやった事に優越感に浸りそうになるがここでふと思い出す



私 は 今 何 と 行 っ た ?


いっつも私のおっぱい吸ってるくせに!


 これは事実だ。二人っきりになるとしょっちゅう私の胸を揉んでいるし何なら吸ってくる、おかげで私の胸には彼の好意と独占欲の証である赤い花弁が散りばめられていた。

 いつの日か私のおっぱいが好きだから付き合ったのかと聞きいたけど、本人曰く「たしかに好きだがフェリジットが好きだからこそだ」との事だった。

 男としての本能がそれを求めるのか、それとも彼も自覚していない甘えたいと言う欲求がそうさせるのかは分からない。ただどちらにせよ、その行為に不快感は無く、寧ろ求めてくれる事がすごく嬉しかったからら彼が成すことを受け入れていた。


それはそれとして


一旦冷静になると周りの音もよく聞こえてくるわけで、見渡せば我らが同胞達が私達を見てざわざわしていた。これは完全に聞かれた、間違いない。


「フェリジット…た、頼むからそんな事を、大声で叫ばないでくれ…///」


 シュライグが真っ赤にしながらそう呟く。それを見て私がやらかした恥態を改めて認識してしまい、私もどんどん顔が熱く真っ赤になっていった。


「おめでとう!」


ふとキットの声が聞こえた、それを期に他の同胞達もおめでとうと言って拍手をし始める。本来は私達の仲が受け入れられた事を喜ぶべきなのだろうが、今の私に取っては羞恥を増幅させるだけだった


「ち、違…違うの……///」


とうとうまともに立てなくなり、私も倒れ込み顔を隠して蹲る。


こうしてシュライグのクソボケから始まった言い争い(一方的)は、両者共倒れで幕を下ろした。


ちなみにその後


「…フェリジット」

「何?シュライグ」

「…デートに行かないか?///」

「えっ…///










  





     …明日は槍が降るのかしら?///」

「」


 シュライグは二日程寝込んだ

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