人生2周目の高家に生まれた直義妄想続き3

人生2周目の高家に生まれた直義妄想続き3



師直の不眠の終わり


師直が不眠で赤ん坊直義と嫁(ついで)を見守るのは、ブチ切れた嫁によって1週間で終わった。

「気が散るんだよボケェ!少しも気が休まらないさね!乳の出が悪くなったらどうすんだい⁈」

「…乳の出が悪くなるのか」

「食べ物や体調、ストレスで乳が出なくなるとか良くある話さね。全く、この子が腹一杯お乳が飲めなくなったらどうすんだい」

(家格から、師直のとこは乳母はいなさそうかな〜と勝手に設定)

「…食べ物」

「ストレスをスルーしてんじゃないよこの野郎。とにかく、出て行きやがれってんだ」

ガルガル期MAX嫁に追い出された師直。

でも部屋を出て直ぐの廊下でその夜は過ごした。

嫁は部屋の壁に無言で張り付いてないから良いやで見逃した。

取り敢えず、夜に目を離した隙に死ぬ事はなさそうだと安心。

嫁の乳が良く出るようにと、滋養のある食べ物を自ら調理して嫁の体調を気遣いようになったので、なかなかいい夫じゃないかと嫁の師直への評価が上がった。



師直と赤ん坊直義

はじめての寝返り


赤ん坊直義に泣かれなくなり、嫁に任されて小時間の子守を頼まれる師直。

「あー、ぴゃあ、みゃ、きゃ、みゃ」

見守る師直の視線の先で、直義がもぞもぞゆらゆら体を揺らしている。

(これは…!)

カッ!師直の両眼が見開かれる。

(寝返り…!寝返りをするのか⁈)

まだ寝返りをしたと言う話は嫁から報告されてなかったので、はじめての寝返りを見守る師直。

「あー、ぴゃうー、…ぴゃっ」

ゆらゆら揺れていた直義が、ころんっと寝返りをうった。

(出来た!!)

直義の初めての寝返りに、師直の目がさらにクワッと見開かれる。

(寝返りを…!天才か!この師直の子として生まれた直義様は、以前をも超えた天才…!この高一族を盛り立て繁栄させる逸材!天才!なんと愛らしい!)

ググッと前のめりになりながら、初めての寝返りをした直義をただただ見守っていたが,寝返りをしてからうつ伏せのままでもぞもぞ動いている直義を見てだんだんと心配になってくる。

(…これは、このままで大丈夫なのか?これでいいのか?)

子育て経験の無い残念パパ師直(人生2周目オイコラ)どうしたらいいのかわからずに無表情のままオロオロし始める。

(うつ伏せのままだと…窒息、するのか、もしや!)

大急ぎで直義を抱き上げ、全力高い高い状態にする。

「ぴゃっ、!」

片膝着いて両手で直義を掴み、天に差し出すようにして下から仰ぎ見る。

(…よし、呼吸はしてい、)

「ぷみゃあっ!ぴゃあ!んみゃあ!びゃう、う〜みゃあ!」

安堵からちょっと唇が緩んで眼差しも優しくなってたが、突然の猛スピード抱っこからの高い高いに直義かびっくりしてギャン泣き。師直固まる。

「なにやってんだいアンター!!子守りも満足に出来やしないのかい!」

猛スピードでやって来た嫁に怒鳴られて、高い高い状態だった直義を奪い取られる。

「全く、ちゃんと見るとか言っといてなんだい。こんなに泣かせて」

「あう、ぷー、ぴゃ、みゅ」

「ああ、いいこだいいこだ」

嫁にあやされて落ち着いて泣き止み出した直義を見ながら、なんか理不尽な気持ちになる師直。

「…寝返りをした」

「は?…そうかい、この子も日々成長してるってことさね。こんなにちいさくて生っ白くてぷにぷにしてても順調に成長してんだよ、可愛いねぇ」

嫁が直義に頬擦りするのを師直うらやましく凝視

(生まれた時の力入れたら死ぬ…の印象が強くてまだ上手く接触が出来てない。基本抱っこは嫁がいる時に、彫像のように固まって腕に抱っこしてる)

「寝返りも出来たなら、今度ははいはい、離乳食さね。より目が離せなくなるよ」

「離乳食…!」

カッ!師直が刮目する。

なんだいなんだいと嫁が直義をあやしながら師直に視線を向ける。

「任せておけ…」

クククク…と笑う師直。

そうして直義の離乳食は師直が用意するようになった。

すりおろし、うらごし、おもゆを作り。赤ちゃん直義の口にするもの全てを管理。

そして木さじでひと口ずつあげていく師直。

ごはんを食べさせてくれる師直に直義も慣れて泣かなくなり、ご機嫌よく笑うように。

(好き嫌いもせず、栄養バランスも完璧に食べる…ふ、流石は我が子、直義様。この頃はぴゃあぴゃあではなく、みゃうみゃう鳴けるように…この分では言葉も早いのでは…にゃあと鳴くようにも)

人間の離乳食を与えているのに、どうしても茶トラの仔猫の姿が重なって見えてしまっている師直だった。





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