二人だけの秘密基地
とある小さな村で出会った一人の少年。
その年下の少年は手のかかる弟のような存在であり、共に遊ぶ親友であり、競い合うライバルであり、シャンクス達赤髪海賊団のみんな以外で、初めて強く意識した男の子だった。
そんな彼との関係性が大きく変わってしまったあの日の出来事を、私は生涯忘れることはないだろう。
あの日の彼の行動がなければ、私が彼にしたことがなければ、今とは全く違った関係になれたかもしれない。
そんなたらればを時には夢想してしまうがすぐに意味のないことだと頭を振る。"あの日"の"あの時"、起きてしまった現実は変わらないのだから。
「ししし、完成だー! おれ達だけの秘密基地!!」
小さな洞窟の入り口で一人の少年が喝采を上げる。彼はゴア王国に存在するフーシャ村に住む少年、ルフィだ。
その隣ではもう一人、特徴的な髪色と髪型の少女が疲労の伺える、しかし少年と同じくやり遂げたという顔をして頷いている。彼女の名はウタ。
「うんうん。散歩中にアンタが偶然見つけたこの洞窟、いい場所よね~。使えるようにするまでは結構大変だったけど」
その洞窟は周囲に生い茂ってる草木のおかげか遠くからは入り口が完全に見えず、近づいてもそこにあると確信をもって調べなければ容易に発見できない程だ。
それは確かに秘密基地にはもってこいの条件だが、その分必要な物資を運び込むのにとても苦労した。
使わなくなったタオルケットや布で座ったり横になれる場所を作り、廃材や捨てられる予定の家具で椅子やテーブルをセッティングし、ちょっとした荷物を置いておける木箱も複数用意した。
もちろん一度に全部集まったわけではないし、仮に集まっていたとしても一日で全部は持ち込めない。シャンクス達や村の大人達に協力してもらえば一日どころか半日で終わってしまうが、それでは意味がないのだ。二人だけの秘密基地なのだから。
「それにしても、ほんとよくこんな所見つけたわよね~。最初に見つけた位置からじゃなんにも見えないのに。野生のカンってやつ?」
共に偉大なる基地を作り上げた戦友の功績を半ば呆れながら、しかしやはり凄い男の子だと感じながらそう問いかける。照れ隠しもあってからかうようになってしまったのはご愛敬だ。
そんなウタの照れ隠しによる揶揄には気づきもせず、素直に褒められたと感じたルフィは語る。
「じーちゃんに鍛えられたからな! こっちを見たときなんかありそうだなーってピンと来たんだよ! ……うん、じいちゃんには……感謝しねぇとな……」
最初は胸を張って誇らしげにしていたが、最後には何か嫌なことを思い出したのかどんよりと落ち込んでしまう。そんな、普段の彼からは考えられない落ち込みようにウタが慌ててフォローする。
「ちょ、え、ルフィ大丈夫!? ……と、とりあえずせっかく完成したんだし、中で休も? ね?」
「うん……」
そうして小さな二人の影は寄り添うように完成したばかりの秘密基地へと入っていく。
「それで、なんで急に落ち込んだのよ」
床に座り、ルフィを落ち着かせるように背中から包むように抱きしめながら問いかける。先ほどよりは心もち元気になったようだが、それでもいつもと比べると全快とは言えなさそうだ。
「……じーちゃんにさ、鍛えられたっていったけどさ。……その時のこと思い出して……ウゥ」
「よしよし。ルフィ、辛かったら話さなくてもいいんだよ?聞いてほしいときはちゃんと聞いてあげるから」
頭を撫でながら優しく声をかけ、ルフィの反応を待つ。しばしの時が流れ、抱きしめられた温もりと姉のような気遣いに安心したルフィは意を決して曝け出す。
「夜のジャングルにさ、放り込まれたことがあったんだ。暗いし独りで寂しいし怖いしで必死に駆け回ってとにかく安全な場所を探してさァ……」
少女は予想していた以上の内容に一瞬呆けたものの、そのあまりの酷さに憤慨する。
「は、はあ!? え、夜のジャングルにって一人で? ガープさんが一緒についてとかじゃないの!?」
今こうして語っているということは二人が出会う前、つまり少年がもっと幼少のころの出来事だということだ。その事もウタにとって怒りの燃料になる。
「うん、独りで。……でも、あんときの修行があったからこうしてウタとの秘密基地ができたしよ!」
抱え込んでいた苦い思い出を吐露したからか、その事がウタとの楽しい思いで作りにつながったからか最後には笑い声とともにそう締めくくる。だが、それがまだまだ強がりであることはウタにはお見通しだ。
「もう、その時つらかったのは本当なんだから無理しないの! ……ほら、慰めてあげるから」
「強がりじゃ……あっ」
そう反論するルフィを黙殺するかのようにウタは服の中に手を滑り込ませる。裾からお腹部へ、腹部かからズボンの中へするすると移動し触れる。
「いーからいーから。ほら、私に任せて……ね?」
甘く、労わるような囁き声とその間も動き続ける指。耳から、下腹部からの刺激にはやくもとろんとした表情になるルフィ。
その様子に満足感を得つつも貪欲に指を動かしどんどんと昂らせ、追い詰めていく。
ところがウタは唐突に扱くのをやめ手を抜き去ってしまう。
「んっ、え?」
いつもならそのまま達するまで続けるのだが想定していなかったタイミングで止められたルフィは困惑した声を出してしまう。
「そのままじゃ汚れて村に帰る時が大変でしょ。ほら、腰浮かして」
促しつつルフィのズボンと下着を脱がせていく。太ももまで降ろした後は抱き着いた姿勢のまま器用に足を使って脱がせる。
邪魔なものを取り払ったおかげか動きを制限されることもなくなり、再開した後は先ほどよりも大きなストロークで刺激する。やがて先端からヌルヌルしたものが溢れてきて、それを指、手のひらと塗しさらなる快楽を生み出していく。
ウタは堪能するかのように時には指でゆっくり撫でるように、時には強めに握って扱くように、根本や袋、先端や縊れ等思うさまに刺激していく。その感覚で興奮して荒くなっていくルフィの息遣いと、ニチュニチュヌチュヌチュといった粘着質な音だけが響く。
二人だけの秘密の場所での初めての行為という特別さも相まってか、その時はウタの予想よりも早く訪れた。ルフィが震え、先端から飛び出すそれはウタの指を穢しながらも確かな温もりを感じさせる。
「ふあ゛ー……」
「今日もいっぱい出たねーえらいぞーよしよし。……んむ」
出し切ったルフィに労いの言葉をかけながらキスをする。
自分がルフィをイカせたという優越感、大事な人にしてあげられたのだという誇らしさと嬉しさ。様々な気持ちを感じられるこの瞬間はウタにとっても非常に心地よいものであった。
そんな、確かな満足感に浸っていると不意に体が後ろに倒れ寝転がってしまう。そうなった原因はルフィが振り向き押し倒してきたからだ。
「ルフィ……?」
いつもならそのままだったり体勢を変えたり使う場所を変えたりとにかくもう数回搾り取るのだが、いつもと違う流れとなによりルフィの熱い眼差しに困惑する。
その困惑を感じ取り躊躇するルフィだが、意を決して口開く。
「ウタ、今日はおれがウタを気持ちよくしてえ。……いいよな?」
そういわれてはたと気付く。確かに自分がいつも主導権を握っていてルフィからというのはなかったと。
普段と違う雰囲気に戸惑い、ルフィからの攻めはどうなるのかという期待、ここで主導権を奪われたら年上としての威厳がという不安、この熱い眼差しもいいなあという気持ち。
それらが綯い交ぜになり返事をできないでいるウタにルフィが改めて宣言する。
「……イヤだったら言ってくれよ。やめるから」
そうしてルフィはウタに口づけをした。正確には、ウタの下の方へと。
「んえ!?る、ルフィ!?」
今までしてきた中でルフィが触れることは幾度もあったが、それはあくまでウタが主導するものであったし表面をなぞるだけというソフトなものであった。だが、今日はルフィがそこに口づけをし、舐め、舌先で割って入ってくる。
なんで? 恥ずかしい。でも気持ちいい。もっと。やだ、恥ずかしい。ルフィに押し倒されたとき以上に様々な感情が渦巻き溢れてくる。
「んや……そこ、汚いよぉ……や、あっ」
思わずそんな言葉を口にするウタであったが、即座にルフィに否定される。
「ぷあ……ウタのだから汚くねえよ……」
返事をするために口を離すもののすぐに再開するルフィ。なぞり、内部を刺激し、滲み出る液体を舐めとりゴクリと音を立てて飲み込んでいく。ピチャピチャと淫猥な音が響き、それがウタの羞恥心をさらに煽っていく。
やがてウタの中で恥ずかしさよりも気持ちよさが勝ってきたところでルフィは思い出したかのように突起へも攻め入る。
「あっ!? ちょ、そこダメェッ……あ゛、つよっ……」
ウタにとっては中よりも敏感なその部分。じっくりと攻められ十分高まっていたところへの強烈な快感で思わず否定の言葉が出てしまうが、ルフィは彼女が本気で嫌がっていないのを感じ取り攻めを継続していく。
「あァ……や、あっ……るふぃ……も、あっ」
引き上げられ、押し上げられ一際強烈な快楽に頭を白黒させ思わずルフィの頭を手と太腿で抑え込んでしまう。快楽の余韻に小刻みにピクピクと震えるウタの肢体をルフィは優しく抱え、落ち着くのを待つ。
ウタの体が弛緩し拘束から解放されるも放心状態なのかウタはいまだに動かない。秘密基地に持ち込んだ毛布を掛け、彼女が復活するのをしばし待つのであった。
「……で、なんで急にあ、あんなことしたのよ!」
あれからもうしばらくの時が経過し復活したウタに問い詰められるルフィ。当のルフィはあっけらかんとした態度だ。
「いやーやっぱおれだけじゃなくてウタにも気持ちよくなってもらいたいしよー。ししし、気持ちよかっただろ?」
「な、ば! バッカじゃないの!?」
平然と宣うルフィに対し、ウタは耳まで真っ赤にして叫ぶ。確かに気持ちはよかったが、それでも恥ずかしさがゼロになったわけではない。
「……もしかして、気持ちよくなかったのか!? ……おれ、ウタに何もしてあげられないのか……」
気持ちいいと答えてくれると思っていたのにそうでなかったことに目に見えた落胆するルフィ。それをみていうべきか嫌でもと悩むウタであったが、誤解させたままは今後によくないと意を決して伝える。
「いやその……ちゃんと気持ちよかった、わよ……恥ずかしさも大きかったけど、さ」
「そうか!? いやーよかったァー本に書いてあったけどちゃんとうまくできてるか、おれ不安だったんだよ。よかったァー!! 」
親しい人への初の試みがうまくいったこと、相手からもお墨付きがあったことで安心して仰向けに寝転がるルフィ。そんなルフィにノソリとウタが近づく。
「その本ってベックマン? それとも村人の誰か? ……まあどっちでもいいけど。ねえ、ルフィ?」
「おう! って、ウタ、どうしたんだ?」
達成感に浸るルフィも思わず訝しむほど、今のウタの雰囲気は違っていた。
ウタが攻めてるときとも、ルフィが攻めた時とも違う妖艶な雰囲気。動作の一つ一つが何とも言えない色気を感じさせ、ルフィは思わずつばを飲み込む。
「ルフィが、悪いんだからね! あんな、あんなことして! もう、私が我慢することはないよね? ね!?」
そういうなりルフィの唇を奪い、貪っていく。それと同時に下半身に手を伸ばし、ゆっくり昂らせるのではなく素早く搾り取るかのように動かしていく。
その姿は、言うなれば捕食者。
「んぷ……ぷァ……はァ、ルフィ……!!」
「んむ゛……むゥ……ウタァ……」
これまでとはうってかわって、否、何か次元が違うとすら感じられるウタの豹変と攻めっぷりに困惑し思わず体を引くルフィ。そんな小さな変化すらも見逃さず、捕食者は追撃する。
「コラ、逃げるなルフィ。……あむ」
濃厚な口づけをやめ、今度は下腹部へと顔を動かし咥える。ともすれば下品に思える卑猥な水音を大きく立てながら急き立てるように攻めていく。
矢継ぎ早の快楽にすっかり腰が砕けたルフィはなすがままであり、先ほど更新した最速記録を上回る速さで達してしまう。
「ん゛っ……ん……ふむ゛……ん」
2 回目だというのに十分な量で放たれたそれを咽ないように舌でコントロールしながら飲み下す。さらにはもっと、最後まで出し切れと言わんばかりに舐めて吸い上げる。
今までは大抵1回で終わり、2回目をやるにしてもじっくりと時間をかけた行為しかしてこなかったため、本日の2回目で受けた快感は異常ともいえる疲労と脱力感をルフィに与えていた。
「ほらルフィ、次よ」
「え、おれもうむ゛っ」
普段であれば呆けているルフィを愛おしく見守りながらしばしの時間共に休むのだが、一度タガが外れてしまったウタはもう止まらない。止まれない。
無理と反論するルフィの意見など却下し、さらに貪っていく。
あれから3回目も搾り終わり、4回目に向けてルフィへ繰り返し刺激を与えているが明らかに回復速度が落ちている。まだまだ自分は満足していない、これから、もっと、もっと。
その思いが通じたのかルフィ自身が元々回数をこなせるのかはわからないが再び屹立するソレを今度は自分自身にあてがう。
燃え上がる情動のままそのままズブリと迎え、特有の激痛をウタは感じ――ることはなかった。知識としてその瞬間は非常に痛いとしっていたため、頭の片隅ではどれだけの痛みなのかと覚悟もしていたのだが拍子抜けだった。
常日頃からスポーツ等で運動量が多い女性は自然となくなってしまうこともあるのだが、ウタが知る知識の中にはなかったため思い至ることはなかった。だが、痛みがないのならば好都合とばかりに思考するために止めていた動きを再開する。
「んっ、ふっ、ルフィっ! どうっ? きもちっ、いいっ?」
より深く繋がれた多幸感、初めてを奪った征服欲、初めてを捧げたという気持ち。そのすべてがウタを後押しし、激しく体を突き動かす。
そんな中ルフィもこれまでに感じたことのない気持ちよさと心地よさにウタへ手を伸ばす。
「きもち、い゛い゛! ウタっ、すご、い゛ひっ」
ルフィのその素直な吐露にウタは伸ばされた手をつかみ、二人はお互いに握り合う。それによって体重移動が楽になったウタはますます動きを激しくしていく。
互いの汗もとうに混ざり合い、もはや最初から一つだったかのように溶け合うように体を重ね、そして
「ふぁ……あひ、ぃ……」
「ん゛あ゛……すご、なか……あ゛ー、あっ……」
ルフィが先に果て体内に感じる勢いと熱で次いでウタも達し、トサリとルフィの胸にウタが倒れ込む。
様々な余韻で二人ともピクピクと体を震わせ満足に動けないでいるが、まだ繋がったままだ。
「はっ……はっ……はぁあ~……まだ……もっと……」
普段の体力差はどこへやら。
先に復活したウタがまたもや貪りを再開する。
もしもルフィが回復しなかったら今度はウタワールドでやるのもいいかな。なんて考えながらルフィに体をこすりつけていく――
そう、あの日から私達の関係は大きく変わってしまった。
元々ああいうことに関しては私が主導権を握っていたのだが、あれ以来完全に私が上位者となってしまったのだ。
たまにルフィが攻めになることもあるが反撃とか趣向変えとかではなく、単純にその後私に貪られるための前振りみたいなものだ。
そのことを後悔してるかと言われれば……違った関係を夢想することはあるが、後悔はないと断言できる。
だって、私の下で喘いでいるルフィはこの世のどんなものよりも愛おしいんだもの。
だからね、ルフィ?
「ウタ。……お、おねがい……」
そんな可愛い顔と声でおねだりなんてしちゃだめだよ?また数日かけて可愛がってあげるからね――